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★Ｐｒｏｊｅｃｔ Ａｐｏｃａｌｙｐｓｅ 黙示計画 統合ナンバー：EC-X20501（CSTS-ZOID3）【投稿エピソード】 |
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惑星Ｚｉのとある群島“マヴィノ諸島”。
今、この島は未曾有の危機に晒されていた。
謎の銀色の装甲を持つラプトル型ゾイドの乱入により島は混乱に陥り、殆どの人間は島から脱出していた。
しかし……まだ、一部の人間達はこの島に取り残されていた。
彼らは救援が来るまで、この脅威の満ちる地に留まらねばならないのである。
夜も更け、近海で吹く嵐の風の轟音だけが島に鳴り響く。
闇の中をホバーカーゴだけが土煙を上げながら、当面の目的地であるマナウィ研究所へ向かう。
今彼らがいるのは群島の重心であるプリデリー島であり、研究所は隣のマナウィ島に存在するが、
最大深度10ｍもない浅瀬が２つの島をつないでおり、十分に身長のあるゾイドなら渡ることが可能だった。
周りには“母船”となったホバーカーゴを取り囲むように各々のゾイドが展開し、敵の襲撃に備えて行軍している。
その中に……闇夜の中ですら、うっすらと白く浮き上がる４脚のゾイドが１体。
「……ふああぁ、退屈だなぁ」
自分の中で燻る睡眠欲求と闘いながら、イズキはライガーゼロのカメラやセンサーを注視していた。
とは言え、目に入るのは漆黒の木々と夜の暗黒のみ、刺激の無い情報にイズキの脳は睡魔に屈しつつあった。
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ＰＲＯＪＥＣＴ ＡＰＯＣＡＬＹＰＳＥ
プロジェクト・アポカリプス 黙示計画
★ 序章 第１部 ★
メカ生体ゾイド外伝――時空を越えた戦闘機械獣・後編
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「ちょっとイズキ、アンタ居眠りしてんじゃないでしょうね？」
いきなり通信機にエリルの声が飛び込み、萎えかけていたイズキの意識が発起した。
そこにケーニッヒウルフがライガーゼロの隣にやってきて併走する。
「やっぱり寝そうになってたみたいね。 んもうホントだらしないわね〜、しゃっきりしなさいよ。
これはゲームや試合じゃないんだから……」
「わ、わあってるよ。ってかお前はなんでいつもいつもそう突っかかって来るんだよっ？」
「別に突っかかってるわけじゃ……待って！！」
そんなイズキの挑発をエリルが遮る。
「な、なんだよ……？」
「レーダーに反応が……まさか！」
ケーニッヒウルフは一度歩みを止め、搭載されたヘッドバイザーを展開してあたりの様子を探る。
そしてヘッドバイザーに内蔵された暗視スコープが、密かに迫りくる相手を発見した。
「まさか、奴等か？」
「わかんない。皆気をつけて、何か得体の知れないのが来る！！」
エリルはホバーカーゴに緊急連絡を取った。
「えっ、何……？」
「何、じゃない！ 敵が近づいてるって言ってんの！」
エリルの怒声に通信機の向こうのイズルもホバーカーゴを停止させる。
そこにレイズタイガー、ゴジュラスギガ、凱竜騎、バーサークフューラー、ブラストルタイガーもやって来て、
エリルが示した方向を警戒する。
「奴等が来たのか？」
「だと思う、小型のゾイドらしき機影が複数こっちに近づいてくるから」
「よ〜し、こんどこそぶっ飛ばしてやるぞ！」
「ってあんた、今のそれじゃ武器が無いじゃない。アーマーを換装しておいた方がいいんじゃない？」
「そうか、それもそうだな。イズル〜悪いけど頼むわ！」
エリルの指摘を受けて、ライガーゼロは一旦のホバーカーゴのハッチを開けさせ、中へと引っ込んでいく。
一方、アッシュ達は来るべくして起こった事態にじっと身構え、木々に埋もれる闇を見据えている。
すると、その方向から微かにゾイド特有の金属的な歩行音が響いてきた。
そして遂に接近者達がその姿を現す。
――だがそれは昼間の銀のゾイドではなく、黒い蜥蜴型ゾイドであった。
しかも１匹ではない。
「ヘルディガンナーだと？ ばかな、この島には野良ゾイドはいない筈だが……」
正体を現したのは陸戦用蜥蜴型ゾイド“ヘルディガンナー”であった。
しかも識別信号も搭乗者反応もない無人機だ。
しかし、この島の野良ゾイドは既に全て駆逐され、試合の選手にもヘルディガンナーで参加した者はいない。
レイズタイガーやゴジュラスギガ達はヘルディガンナーを追い払おうと威嚇の唸り声を上げるが、
ヘルディガンナーの一団は怯む事なくじわじわと迫ってくる。
そして、先頭のヘルディガンナーはいきなり歩行スピードを上げ、突進しながら背中のビーム砲を撃ちこんで来た。
「なにっ！？」
ゴジュラスギガとバーサークフューラーがＥシールドを展開しビーム攻撃を防ぐ。
しかしそれと同時に後続のヘルディガンナー達も攻撃を激化、背中の砲から激しい光線の雨を降らしてきた。
あるものは挙動を見て躱し、あるものはＥシールドでそれを弾き返す。
「なによっ、旧型ゾイドのクセにっっ！！」
エリルは怒りの声を上げながらライフルやミサイルを乱射し、傾れ来るヘルディガンナーの群れを迎撃する。
しかし、予想以上に素早い相手の動きで敵は群れを散らし、ミサイルと砲弾と躱していく。
そしてヘルディガンナーの方も負けじとビームを撃ちこんで来る。
「そうはさせない！ ビームエネルギー吸収システムＯＮ！！」
今度はそれを凱龍輝が機体に装備された集光パネルで吸収、無効化していく。
だが、吸収エネルギー値を見たセイナから驚愕の声が漏れる。
「何？ こいつのエネルギー値、ただのロングレンジアサルトライフルのエネルギーでは考えられない……！」
「こいつら！ 普通のヘルディガンナーと違うぞ！！」
現在、ヘルディガンナーは旧式化して久しい弱小ゾイドとされている。
しかし、この機体達は機動力、俊敏性、そして攻撃力、全てが従来の性能を超えていた。
どうにか一体一体を各個で撃破していくが、湯水の如く湧き出る敵を前に、数で劣るアッシュ達は次第に追い詰められる。
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「くっ、こんなに沸いて来られてはエネルギーをチャージする間もないわい！！」
あまりの敵の勢いにバーサークフューラーも凱龍輝も、そしてブラストルタイガーも、
切り札である荷電粒子砲およびサーミックバーストを放つ暇は無く、近接武器でヘルディガンナーの相手をせざるを得ない。
その時、木々の間からヘルディガンナーの群れを割ってさらに巨大な黒い影が彼等の前に立ちはだかる。
「新手！？ なんだあのゾイドはっ！？」
獣脚類恐竜型ゾイドのようだが、その姿はあの銀のゾイド同様彼らが今まで見た事の無い姿をしており、
ヘルディガンナーと同じく全身を漆黒の装甲に覆われ、その装甲の隙間や眼部から漏れる淡い黄緑の光がより異様さを強調している。
その黒い恐竜型ゾイドは金属の咆哮を上げながらゆっくりと彼等に近づいてきた、魔獣の如き殺気を放ちながら……
「お前の相手はこの俺がしてやる！！」
新しい敵にゴジュラスギガが挑みかかる。
しかし、あろうことか黒いゾイドは自分よりも一回り以上は体躯のあるゴジュラスギガの特攻をガッシリと受け止めてみせる。
「なにぃっ！？」
グリッドは思わず驚愕の声を上げる。
格闘能力なら無類のパワーを誇るゴジュラスギガの攻撃を中型クラスのゾイドが受け止められるなど、常識では考えられない。
黒い恐竜型ゾイドの装甲から漏れる光が一段とその輝きを増していた。
「こんの、なめるなぁ〜〜〜！！」
一方、ケーニッヒウルフもミサイルとライフルを撃ちまくり、ヘルディガンナーを撃破していく。
その時、一つの黒い影が疾りケーニッヒウルフを突き飛ばす。
「きゃあああっ！」
機体もろとも激しく投げ出され悲鳴を上げるエリル。
動きを止めたそれは、背部に２門の砲塔と翼のような刃を持った黒い犬のようなゾイドだった。
先に現れた恐竜型ゾイドとおなじく、こちらも見たことの無い不気味なゾイドである。
体勢を崩し、無防備となったケーニッヒウルフにその敵は止めを刺さんと飛び掛ろうとした。
その刹那、全身をダークブルーの装備で覆われたライガーゼロが現れ、
黒い犬型ゾイドを牽制、相手も本能で危機を察し攻撃を止めた。
それは高機動型アーマーを纏ったライガーゼロの高速戦闘形態“ライガーゼロイェーガー”であった。
「待たせたな！」
「遅い！！」
エリルの怒声がライガーゼロの通信機から響き渡る。
「んだよもう……で、こいつ等は何なんだよ？ 昼間の銀のゾイドじゃねえのか？」
「知らないわよ！ とにかく敵って事は間違いないみたいだけど……」
正体不明の犬型ゾイドは不利である事にも関わらず退こうとはしない、唸り声を上げながらにじり寄ってくる……
直後、そいつは後部のブースターを吹かし、突っ込んできた！
背中にはブレードのような武器が鋭く光っている。
ライガーゼロの方もブースターを素早く動かし、相手の攻撃を間一髪で避ける。
相手の直線スピードは純粋高速型のゼロイェーガーさえ軽く上回っていた。
敵の方もＵターンして、今度は背部のビーム砲を撃ち込みながらゼロイェーガーに挑んで来る。
「まっすぐ速けりゃいいってモンじゃねえぜ！」
ライガーゼロイェーガーも背中のブースターを素早く稼動させ、機体を左右に揺らしながら、敵の攻撃を避けていく。
最高速は劣っていても、機動性と運動性はライガーゼロイェーガーの方が上。
不規則なジグザグ走行なら敵の攻撃はそう当たらない。
しかし、こっちも迂闊に近づけば相手のブレードとキャノン砲の餌食になる。
総合的には互角と言え、勝負は中々つかず、互いの間合いを伺いながら駆け回り続ける。
その時、ゼロイエーガーの後方から砲弾が犬型ゾイドに降りかかった。
ケーニッヒウルフからのミサイル攻撃だ。
「今よ！！」
イズキに向けてエリルの声が響く。
相手もその攻撃を躱そうと横に飛ぶ。
だが、そこには既にゼロイェーガーが飛び込んでいた。
「おりゃあああっ！！」
ゼロイェーガーのストライクレーザークローが黒い犬型ゾイドの体に食い込み、そして装甲と内部機構を斬り裂く。
犬型ゾイドは、断末魔を上げて倒れ伏し、動かなくなった。
「ふう……やった……！」
「お、おい……」
ケーニッヒウルフの通信機に何かおどおどしたようなイズキの声が入る。
「何よ？」
「ん、まぁ……その……なんだ………あんがとよ」
「ん？ 何……？」
「な、なんでもねぇよ……」
「あっそ…… ふふっ♪」
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一方――
「うおおおっ！？」
黒い恐竜型ゾイドの砲撃を受け、腹から煙を上げてゴジュラスギガが仰け反る。
強靭な防御装甲を誇るゴジュラスギガも相手の重火力には苦戦を強いられていた。
特に背部のキャノン砲の威力は凄まじく、これ以上受ければ致命的だ。
「くっ、なんとかして近づかねえと……」
「グリッド！ どいて！」
そこに蒼い鳥のようなメカが乱入し、恐竜型ゾイドの頭部に体当たりする。
凱龍輝の支援用ゾイド“飛燕”だ……恐竜型ゾイドは突然の乱入者に一瞬気をとられる。
その隙をグリッドとゴジュラスギガは見逃さず、すかさず相手に組み付く。
「おおおおりゃああっ！！」
グリッドの声と同調するようにギガが咆哮を上げ、力いっぱいに敵の腕をもぎ取る。
その衝撃で相手はフラフラと後退し、今度は背後からレイズタイガーがエクスプロードバイトを恐竜型ゾイドに叩き込んだ。
牙から流し込まれた超エネルギーが敵の全機能を破壊し、恐竜型ゾイドもその機能を停止した。
「うむ、敵の数が減ったぞ！ これでも喰らえぃ！！」
直後、ブラストルタイガーのサーミックバーストがヘルディガンナーの群れに炸裂し、その大多数を焼き払う。
最後に残ったヘルディガンナーもバーサークフューラーによって粉砕されていた。
敵の攻撃はようやく止み、周りには火砲で出来たクレーターと残骸から立ち上る黒煙だけが残った。
「ふぅ……これで全てか……」
「くっは〜 ……ったく、昼間の銀のゾイドと言いこの黒いゾイドと言い、一体何だってんだ？」
「ヘルディガンナーはともかく、あとの２機は見たことないわ……」
「おかしい……いくら野良ゾイドだとしても、それがいきなり襲ってくるとは。
しかもこいつ等も軍隊のように行動が統制されていた。まるで昼間の銀のゾイドみたいだ……」
殆んどの面々が、正体不明の敵について疑問の言葉を口にする中でデュークだけがもう一つの事を考えていた。
昼間戦ったヴェイムの“島の宝”と言う言葉が、なんとなく彼の中で連想される。
「宝……まさかな」
彼はスクラップと化した黒いゾイド達の残骸を見下ろしながら呟いた。
「にいさ〜ん、みなさ〜ん。大丈夫ですか〜？」
と、各ゾイドの通信機にイズルの声が入る。
「あ〜、なんとかな〜」
「さぁ早くホバーカーゴに入って。また来るかもしれないよ！！」
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――しかし、イズルの悪い予言は的中してしまう。
「…………！！ あの上に何かいます！！」
真っ先にその存在に気付いたのはセイナだった。
他の面々もその声に驚き、その方に目をやる。
平野を見下ろせる崖の上、其処には……巨大な４つの影が聳え立っていた。
彼等が自分達に気付いたと察したその影達は崖から滑り降り、または飛び立って彼等の前に立ちはだかる。
１匹は昼頃に島を襲った銀のゾイドをずっと大きく、かつ生態的にしたようなラプトル型ゾイド。
そいつが最初に口火を切った。
「私は“バイオ四天王”の１体！ “バイオメガラプトル”！！」
もう１匹は、鈍い黒金色をしながら頭部に黄金の２本角、鼻先に胴体と同じ色の角、合計３本の角を持ったトリケラトプス型ゾイドだ。
そのゾイドもまた、同様に叫んだ。
「俺も同じく“バイオ四天王”が１体！ “バイオトリケラ”！！」
続いて、毒々しい深緑の装甲を持ちながら背部に鋭いトゲ、そして両前脚に銀色の剣を装備したケントロサウルス型ゾイドも。
「俺様の名は“バイオケントロ”！！ “バイオ四天王”だ！！」
最後に細身でありながら、淡く青色に発光する翼を持つプテラノドン型ゾイドが言った。
「“バイオプテラ”……“バイオ四天王”……宜しく♪」
一同は呆気に取られ、言葉を失う。
人語を喋るゾイドなど……彼らは初めて遭遇したのだ。
どうやらスピーカーではなく、ゾイド自身が発言しているのは間違いない。
「な……なんだお前等！？」
「……んな……ウソ……！？」
「何よアレ……気持ち悪い……」
「……喋るゾイドじゃと……」
「まさか……あいつ等があの銀のゾイド軍団のボスだというのか……？」
驚愕する一同に、バイオ四天王と名乗ったゾイド達は不敵な態度で語りかける。
「ほぅ……中々興味深いゾイドに乗っているな、ニンゲン共。
“バイオラプター”を潰したのは貴様らか？ “メタルＺｉ”の武器なしで闘えるとは意外だな」
「ふん……まぁラプターではそれほど強い衝撃やエネルギーには耐えられんからな」
「ぎゃはははは、こいつは斬り甲斐がありそうだなオイ！！」
「な……何だこいつら、何言ってやがんだ！！」
「黒のゾイド……まさか、さっきのヘルディガンナーや恐竜型の奴もこいつ等が！？」
と――相手はこちらの疑問に答える間もなく攻撃を開始してきた。
「ウラァ！ 喰らえぇ！！」
いきなりバイオケントロの背部に聳えるバックランスがミサイルのように飛び出し、彼らに雨のように降りかかる。
その攻撃を一同は素早く避け、それぞれ戦闘に体勢に入る。
「むん、なんのぉっ！」
ブラストルタイガーの前足と腹部のショックカノンがバイオケントロに放たれる。
バイオケントロは衝撃でよろめくが、やはりその特殊装甲にはダメージは与えられない。
それどころか――その熱量を吸収したのか、背中からバックランスが再生するようににょきにょきと生えてきた。
「痛ってぇな、この野郎――って、全然効かねぇけどなぁ♪」
「ちっ、一気に片を付ける！！」
バーサークフューラーは口腔とバスタークローを開き、荷電粒子砲を一斉に発射した。
しかし、その射線上にバイオトリケラが立ちふさがり、熱線はバイオトリケラの眼前で雲散霧消してしまった。
相手の襟巻き？からは淡い光が放たれ、まるでシールドのように自身を包んでいる。
「――効かぬと言っただろうがっ！！」
今度はバイオトリケラが口から波動弾を放って反撃を開始し、バーサークフューラーも負けじとＥシールドを発し防御する。
「“バイオラプター”！お前等らも行って来い！！」
バイオプテラが叫ぶと、森の奥からバイオラプターと呼ばれた昼間のゾイド達が十数体ほど飛び出してきた。
やはり――昼間のゾイドは彼らの配下であった。
「くっ……やはりな……貴様ら！！ 目的は何だ！？ 何故我等を攻撃する！？」
「それは――貴様らが“ニンゲン”だからだ……！！」
バイオトリケラが敵意と憎悪を込めた声で叫び、再び波動弾を放つ！
「隊長！！」
レイズタイガーの前に立ちはだかったゴジュラスギガが、Ｅシールドで攻撃を防いだ！
「くっ！やるしかないか！」
言葉がわかるならばできる限り争いたくないが、聞く耳がないのならば仕方ない。
全員は再び臨戦態勢に入り、バイオ四天王も敵をめがけ一斉に踊りかかってきた。
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真っ先にバイオケントロが前脚両脇のビーストスレイヤーで彼らに斬りかかる。
それを飛び出してきたバーサークフューラーがバスタークローでかろうじて防ぎ、摩擦で互いの武器から激しい火花が噴き出していく。
「オラオラオラオラァ！！」
「ぐうっ……」
ホバーカーゴを守っているレイズタイガーの３連ピンポイントレーザーとショックカノンで牽制し、
そこに凱竜騎も横薙ぎで荷電粒子砲を放ちバイオラプター群を一掃していくが、他の面々の援護まで気が回らない。
「くっ、こいつのパワーはさっきの恐竜型……いや、デスザウラー以上かっ！？」
ゴジュラスギガもバイオトリケラの猛攻を防ぐので精一杯だ。
「ぬおおぉおおぉぉ！！」
「アハハハハ！ そんなの当たらないよぉ！！」
ブラストルタイガーも全身の砲で空を飛ぶバイオプテラに攻撃するが、素早く飛行するバイオプテラにすべて躱される。
一方、ゼロイェーガーとケーニッヒウルフはバイオラプターの一群を相手にしていた。
数と力で勝る相手にケーニッヒウルフはミサイルとライフルで、ゼロイェーガーは機動力を武器にどうにか凌いでいた。
「くっ、いくら口が弱点ったってこれじゃ無駄弾だわ！」
「くっそ……こうなりゃイチかバチかだ！」
イズキはゼロイェーガーのスラスターを吹かし、相手に突撃する。
バイオラプター達はそんな無謀な特攻を蹴散らそうと、口を開け炎を形成していく。
しかし、その炎が放たれる寸前で先頭にいたバイオラプターの口腔にゼロイェーガーの爪が炸裂、
内部機構にダメージを受けたバイオラプターは崩れ落ちた。
勢いで相手側の後方に回ったゼロイェーガーは素早く方向転換し、虚を突かれて混乱した相手に再び挑みかかった。
「図に乗るな、ニンゲン！！」
と、今度は其処にゼロイェーガーの頭部めがけ、バイオメガラプトルが大爪を振りかざして飛び掛って来た。
ゼロイェーガーは間一髪で躱すが、敵はすかさず尾を振り回し、ゼロイェーガーを弾き飛ばす！
「――がぁっ！？」
激しく地面に叩き付けられ、動けなくなるゼロイェーガーの横脇腹をマウントで踏みつけるバイオメガラプトル。
「イズキ！！」
ケーニッヒウルフがゼロイェーガーを救出しようとミサイルをバイオメガラプトルに向けて放つ。
しかし、バイオメガラプトルは口から放った巨大火球弾でミサイルを全て破壊し、ケーニッヒウルフを牽制した。
「……くっそ、てめえら、俺達になんの恨みがあるって言うんだ？」
横倒しになったゼロイェーガーのコクピットでイズキが悔しそうに呟く。
と、バイオメガラプトルがそんな彼の心を読んだかのように、そしてこの場にいる人間全員に聞こえるように答えた。
「……我ら――いや“ゾイド”に取って、“ニンゲン”は“害虫”でしかないからだ！」
その言葉に、イズキ等一同は一瞬息を呑んだ。
「ニンゲンは我らよりはるかに小さく、そして弱い……なのにニンゲン共は支配者を気取り、
ゾイドを自分の都合の良いように作りかえ操る――実に馬鹿げた話だ、ニンゲンにそんな権利があるのか？
鋼の体も持たぬ貴様らが、我らの上に立とうなど愚かの極み……理解できるか、脆弱なるニンゲン共よ。
貴様らを滅ぼし、“この星”を――我らゾイドの手に取り戻すのだ！！
それが我ら“バイオゾイド”の……そして我らが主“バイオティラノ”様の望みなのだ！！」
バイオメガラプトルが高らかに咆哮する。
そして、それに同調するように他のバイオゾイドも吼え猛る。
「なんだと……？」
「人間を――滅ぼすですって？」
「じょ……冗談だろ？」
あまりの事に、“ニンゲン達”はそれ以上の言葉が出ない。
「これで終わりだ！ ニンゲン！！」
喋り終えたＢメガラプトルがイズキとゼロイェーガー止めを刺そうと大爪を高く振り上げた――その時！！
「――やらせはしない！！」
どこからともなく砲撃がバイオメガラプトルめがけ放たれ、バイオメガラプトルはそれを躱すべく、ゼロイェーガーから離れる。
バイオメガラプトルがその撃ってきた方向を見ると、高速で向かってくる青い獅子型ゾイドが現れた。
頭部には青と金色の鬣を持ち、半透明のフェイスガードを付け、そして背中には巨大な大刀を背負っている。
先ほど（中編参照）――バイオラプターに襲われたイズキを救ったゾイドである。
「き――貴様は……！」
その青い獅子型ゾイドは背中の太刀を横に倒し、バイオメガラプトルに突進する！
バイオメガラプトルは高く跳躍しそれをかわす。
そして獅子型ゾイドはそのまま、バイオ四天王と人間達のゾイドが戦う乱戦場に突っ込んだ。
獅子型ゾイドは彼らの間に割って入り、刀を振り回してバイオケントロ、バイオトリケラを牽制した。
これには他の者達も更なる驚愕を見せる。
「なんだ……あのゾイドは！！」
「むぅ……また変なのが出てきおったぞ！？」
「敵なの……？ それとも……」
だが獅子型ゾイドの標的はどうやら――バイオ四天王のようだ。
先ほどまでライガーゼロたちを翻弄していた四天王も、そのゾイドの刀には怯みを見せる。
空を飛んでいたバイオプテラも降りることなく、空で様子を見ているだけだ。
そしてバイオトリケラが、青いゾイドの名を忌々しそうに呼んだ。
「おのれ――ここでも我らの邪魔をするか、“ムラサメライガー”！！」
その声に、ムラサメライガーと呼ばれたゾイドを目撃したイズキは呟く。
「あれ……ムラサメライガーって言うのか？」
イズキのゼロイェーガーは敵の気がそれた隙に素早く形勢を立て直し、皆の元へ後退する。
四天王は他の者達を無視し、ムラサメライガーと呼ばれたゾイドの排除に躍起だ……それほど恐れる物があるのだろう。
ムラサメも刀を縦横無尽に振り回し、敵を牽制していく……なるほどこの場においては、飛び道具よりも有効かも知れない。
だが、流石に４対１では分が悪く、じわじわと追い詰められていくのが解る。
「いかん！！あのライオン型ゾイドを援護するんだ！！」
はっとアッシュが叫んだ。
体勢を立て直した一同が再び攻撃しようとした――その時だった。
「！？ 何だ！？」
再び――ゾイドの反応がおかしくなる。
まるで昼間と同じように何かに察したように唸り、猛り、パイロット達の操作を正確に受け付けない。
コクピットの計器やディスプレイも激しく明滅し、各表示が異常な反応を示している。
それと同時に島の全域に大嵐の如き地響きと旋風が迸った。
「これは……！ あの時と同じ！」
「に……兄さん！ この島の空間が……おかしくなってる！」
「んなもん解って……！」
異変に気付き、バイオ四天王もムラサメライガーも動きを止める。
「畜生、何だよ何だよ何だよ！！」
「こ、これは……まさか！ ――またしても！？」
「隊長！！上を！！」
セイナの声を聞き、アッシュほか一同が空を見上げる。
島の上空には、天を引き裂いて島を飲み込めると思えるほどの大きな穴が開いていた。
するとその大穴から、雷のような光の束が次々と島中に放射され始めたではないか。
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「――ぐああぁ！隊長！！」
まず――ゴジュラスギガが光に包まれ、消えた。
「グリッド！！」
「隊長！ 危ない！」
「ぬぉおぉぉ！？」
さらにレイズタイガーと凱龍輝も、ゴジュラスギガと同じく謎の光に飲み込まれる。
ブラストルタイガーも同様だ。
「にいさあぁん！！」
「きゃああ！！」
「！！ ちぃっ……！」
更に特大の光がホバーカーゴ、ケーニッヒウルフ、バーサークフューラーを包み込み、次々と消し去っていく。
「イズル！ エリル！ くっそおおぉぉ！！」
仲間や弟の消失にイズキが絶叫する。
「な、なんだこりゃぁあぁ！？」
「おのれぇえぇ！！ 何事だというのだぁっ！？」
「おっとっとっと、これは不味過ぎる……メガラプトル、一旦退いた方が良いんじゃ――」
一方のバイオゾイド達も突然の異常事態に混乱を隠せず、撤退を開始しようとする。
「……くそぅ、ムラサメ！！ 貴様だけは！！」
しかし、バイオメガラプトルだけは、なおも執拗にムラサメライガーを狙い、しゃにむにムラサメライガーに飛び掛る。
ムラサメライガーは降り注ぐ光る雨に気をとられて反応が一瞬遅れ、相手の接近を許してしまう。
「――！ うおぉおぉぉっ！」
そこにゼロイェーガーがバイオメガラプトルとムラサメライガーの間に割って入る。
不意を突かれたバイオメガラプトルは思わず後ろに反復し、彼らから距離を取った。
イズキにしてみれば、もはや直感だけの反応動作による行動であった。
「ハァハァハァ……！！ ――うっ！？」
その直後、イズキのライガーゼロ、そしてムラサメライガーもまた光の束に包まれ、空の穴に吸い込まれるように消滅した。
しかし、光の雨が止む事は無く、それどころか、その数はますます激しくなり、しかも光の束の幅はさらに巨大になっていく。
まず、彼らが目指していたマナウィ島が直径数十kmもの光の柱に包まれ、マナウィ研究所ごと、
そして中に配備されていたゾイドもろともまるで霞の如く消し去った。
やがて、空の穴からさらに巨大な光の柱がプリデリー島の中心に放たれ、それはそこから津波のように広がり、島全体を包み込む。
大地も、山も、森も、施設も、そしてそこにあったゾイド達もその光の渦に吸収されて行った。
その現象が収まったあとには……何も無い、荒れた海だけが残された。
マヴィノ諸島は――消えた。
しかし、これで“終わり”ではない――そう、これはまさに“始まり”だったのだ。
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| （本編７章に続く） |
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【Meking Memo／設定補記】
2007〜2009年頃に飛石武氏が投稿したエピソードを再編したもの。
『メカ生体ゾイド』のクロスオーバーを想定して執筆された“序章”であり、
旧ＯＷ企画及びＰＡシリーズでは現代の地球が主な舞台となるわけだが、こちらは未来史の惑星Ｚｉが舞台であり、
ゲームにもなった『ゾイドインフィニティ』及びアニメ『ゾイドジェネシス』の世界観をベースにしている。
大陸間戦争時代が１段落してから開催された競技としてのゾイド戦闘に参加したキャラクターがメインになっており、
そこに更に未来史に登場するバイオゾイドが敵として襲来するシナリオになっている。 |
