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★ＣＲＹＳＩＳ ＵＮＤＥＲＷＯＲＬＤ 統合ナンバー：EX-ATT18501R（MCX21601R） |
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エヴァンス。
2000年代以降、世界に大量出現した“ミュータント”の１種である。
女性的な容姿を持つことで共通するが、性機能的には必ずしも女性ではなく、
若い男性（男子）から“突然変異”した者が多く（ただし女性起源も少数いる）、
普通の人間とは異なる、カラフルな髪や肌の色を持っていることも特徴の1つとして知られる。
2000年代の前後からちらほらと出現し始めていたが、“大発生”したのが2016年のことであり、
この年に50万人を越えるエヴァンスが世界中で一気に発生することで、
人類は「人知を越えた異変が人類を襲い変化を要求している」可能性を無視出来なくなったとされる。
何しろ全人類の１万数千人に１人程度は、この時エヴァンスに変異したことになるのだ。
人口10万人程度の町なら、数人は必ずエヴァンスがいるくらいの比率であり、少数民族並みである。
2016年に起きた事件は“エヴァンス大爆発”と呼ばれている。
エヴァンスは単なる性転換ミュータントというだけではなく、優れた“環境浄化能力”を持つことでも知られる。
これは１種の波動能力に当たるが、この時代の人類社会はまだその実態を知り得ていない。
エヴァンス以外にも“異能”の持ち主がちらほら現れ始めており、その異能も波動能力の発現だったのだが。
これから地球を襲うことになる“惑星変動”に人類文明は大きな影響を受けることになるが、
エヴァンスもまた、そうした大変動の中で生まれたものだと後世では解釈されている。
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ＣＲＹＳＩＳ ＵＮＤＥＲＷＯＲＬＤ
クライシス・アンダーワールド 狂気の殿堂≪外伝≫
エヴァンス姉妹群像 〜第１次エヴァンス大爆発2016〜
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≪日本 〜相澤姉妹の場合〜≫
北海道・札幌市の郊外にあるニュータウン。
その１角にある住宅の１つで、今まさに新たなエヴァンス変異体が誕生していた。
住宅の表札には“相澤”の姓が掲げられている。
そんな“相澤家”の浴室に、１人の“少女”が湯船の中で困惑の表情を浮かべていた。
ほんのりとピンクがかった色白の肌に黄色味の強い若草色の短髪、そしてビリジアンの瞳が印象的である。
かなりグラマーな体形であり、胸部に盛り上がる豊かな双丘は湯面の上からもはっきりと分かる。
湯面の下に見えている肢体も女性そのものだが、下腹部には縦に１本の“スリット”が見えている。
全体に発育の良い体形とは裏腹に、そこだけ未成熟の幼女のようにも見える。
「――はぁ」
湯船の中で顔を赤らめ、可愛い声で小さな溜息を吐く“少女”――いや、“元・少年”と言うべきだろうか。
そう――“彼女”こそ、この日ここで新たに生まれたエヴァンス変異体の１人であった。
名はワタル（渉）、年齢はまだ12歳である。
それなりに背が高く、見た目は高校生くらいに見えるのだが、実は昨日まで「小学６年生の男児」だったのだ。
それがいきなり、身長170cmを越えるようなグラマーな“女体”に変異したのだから困惑して当然だろう。
まだ第２次性徴を迎える前ということもあり、異性への関心がそれほど強いわけではないのだが、
それでも自分自身がいきなりこんな姿に変わって、動揺しない方がおかしいというものだ。
お湯の中に沈めている右手がふと、下腹部に向かった……戸惑い気味に、その指が“スリット”を撫でる。
びくっ、と小さく震え、頬の赤みが濃くなり、思わずワタルは目を瞑った。
昨日まで「そこにあった」はずのものが今は影も形もなく、代わりに見慣れないスリットだけがある。
まだ自分に起きたことに実感が持てないが、そこに触れると自分が既に「男児ではない」と思い知らされる。
「――はぁ」
再び、小さな溜息が漏れる……声質も女性のように高いが、それについてはそんなに違和感がないようだ。
音は変化しているのだが、年齢的にまだ“声変わり”していなかったからだろう。
その時――ふとカチャリ、と音がしてバスルームのアコーデオンドアが軽く開いた。
「――あっ……う、うわっちょっ、姉ちゃん！？」
湯船の中で思わず狼狽するワタル……頬の赤みがひときわ濃くなった。
「あっ、ごめん――そ、そうだよね、まだ慣れられないよね」
風呂場を覗きかけて思わず引っ込む顔――こちらもかなり背が高く、空色の長髪が異彩を放っている。
ワタルの“姉”に当たるミノル（実）だ……実は“彼女”もエヴァンスである。
“元・弟”であるワタルよりも３歳年上で、現在15歳……３年前、実はワタルと同じく12歳の時に変異した。
最初はミノルも動揺したが、３年も経てば今の自分が新たなアイデンティティになっている。
けれどワタルがまさに、３年前のミノルと同じ境遇になっているのだ。
脱衣室に立つミノルは長身だ……実は身長180cmほどもあり、変異後のワタルよりも高い。
こちらも胸が大きく、肌の色はワタルより濃いが、普通の日本人のそれと余り違いはないだろう。
しかし“普通の人間”ならあり得ない空色の頭髪と、エメラルドグリーンの瞳が独特の雰囲気を放っている。
こうした普通の人間にはない色彩は、エヴァンスではしばしばある特徴である――ワタルの髪もそうだ。
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「背中――流してあげようかと思ったんだけど……ダメかな？」
アコーデオンドアを挟んで中にいるワタルは黙っている……困惑の気持ちが分かるだけにミノルも複雑だ。
今でこそ慣れたが、ミノルも３年前は情緒が不安定だったものである。
数十秒ほど、経っただろうか……ふとドアの中から小さな声がした。
「べ……別に、良いけど……」
その言葉に、ミノルの表情が明るくなった……前向きになろうとするワタルの行動に大きな希望を感じたのだ。
ミノル自身そうだったが、エヴァンスは最初こそ強く動揺するものの、
周囲が拒絶しない限りにおいて、その境遇を受け入れるのも比較的早い傾向があるのである。
「じゃ、じゃあ……入っても、良いかな？」
「……う、うん……良いよ」
相変わらず困惑の表情のまま、うつむいて言葉を返すワタル。
それから１分も経たないうちに、アコーデオンドアが再びカチャリ、と音を立てて開いた。
そこに――既に脱衣して一糸まとわぬ“元・兄”ミノルの肢体が立っていた。
柔らかい笑みを浮かべて、ミノルが洗い場に入ってくる。
ワタルは緊張した表情で、そんなミノルを戸惑いがちに眺めている。
背が高く発育が良いこともあって、ミノルの容姿はあたかもグラビアモデルのようだ。
もっとも――実年齢12歳のワタルには、まだグラビア写真というのがどういうものかも分からないのだが。
ミノルは膝を付いて体を流す……湯を浴びると、グラマーな肢体が更に輝きを増した。
「……どうしたの、ワタル？」
「……い、いや、その……ね、姉ちゃん、恥ずかしく、ないの？」
ワタルのそんな言葉に、ミノルはにっこりと笑顔を返した。
「――全然、大丈夫だよ♪ ……まぁ、ワタルには、まだピンとこないかもね――でも」
「……でも？」
困惑気味に聞き返したワタルに、ミノルは細い指を立てて再び笑顔を浮かべた。
「大丈夫……ワタルも、すぐに慣れるよ――ボクも、そうだったからね」
「……そ、そうかな……」
「もちろんさ――今は分からないだろうけど、慣れるまでそんなに時間はかからないはずだよ。
それに今なら、ボクがワタルに色々と、教えることだって出来るからね」
「そ、そっか……兄ちゃ――あいや、姉ちゃんは……そうなった時に、苦労したんだよね」
「ふふ、そうだね……あの頃は大変だったなぁ♪」
にこにこと笑みを絶やさずに言うミノルに、ワタルは再び軽く眉を潜めた。
「……大変だったのに、笑えるんだ？」
「大変だったよ――でも、もう３年前だからね……とっくの昔に、慣れちゃったよ♪
さぁワタル、そろそろ湯船から出ようか――のぼせちゃうよ？」
「えっ……？」
「何言ってるの、背中流そうって言ったじゃない」
「あ、そうか……そ、それじゃあ――」
ミノルの言葉を受けて、ワタルはゆっくりと、湯船から立ち上がった。
ミノルより若干背は低いものの、グラマーさではいささかも劣らない色白の肢体が、湯面の上に現れる。
そんな“元・弟”の姿を、ミノルは座ったまま眺めている。
「ワタルも――良い体してるなぁ」
「そ、そうかな――あっ、ちょっ、姉ちゃん！？」
何かに気付いたように、ワタルは顔を赤らめて、体の向きをミノルから逸らした。
ほんの数秒だが――自分の無防備な裸体を、ほとんど正面からミノルに見せていたことに気付いたからだ。
わずか数秒ではあるが、自分が慣れない“女体”に余り違和感を持っていない瞬間があったらしい。
実は――これがワタルが「エヴァンスである」証拠の１つなのだ。
エヴァンスは外観こそ女性に似るが、体質的には女性でも男性でもなく、羞恥心も少ない傾向がある。
変異して間もない場合まだ戸惑いが強いが、慣れると「裸を見られる」ことさえ、どうでも良くなるのだ。
ミノルは既にその境地を知っているから、ワタルのリアクションをしっかり確認していた。
「えっ何……ボク何もしてないよ？」
「えっあっ……い、いや、そうだけど……ううん、何でもない」
再び困惑した表情で、洗い場に膝を付くワタル。
端から見れば――見る者などいないが――完全に“姉妹”だが、実は“元・兄弟”なのである。
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≪南米ペルー 〜アノグレス姉妹の場合〜≫
ペルー中部、首都リマの近郊にある海岸沿いの集落。
低所得者向けの小さなアパートの１室で、ふと若者らしき、呻き声のようなものが上がった。
「――ぅっ、くっ……うぁっ、あぁっ……！」
体を両手で抱きしめるように、膝を付いて座り込む、インディオ系の少年。
その頭髪が今まさに、ザワザワと腰辺りまで急激に伸び、見る見る赤みを帯びていく。
半袖の下から見える腕も、薄褐色に近い色合いから、柑橘類を思わせるオレンジ色に変わっていった。
「――どっ、どうしたの、兄ちゃん！？」
突然の呻き声を聞きつけて、“少女”が１人、部屋の中に駆け込んでくる。
こちらも人間離れしたゴールドイエローの肌と、山吹色の長髪が印象的な容姿である。
しかしその“少女”は、目の前で急激に変化していく少年に、何故か複雑な表情を浮かべている。
どうやら“兄”に起きている事態が、「ただの体調不良ではない」ことを、“彼女”は知っているらしい。
因みにさっきまでシャワーを浴びていたらしく、濡れた体にバスタオル１枚だけ巻いた状態だ。
そして間もなく“異変”は落ち着いた――だが、少年は困惑に満ちた表情で、自分の体を見つめている。
紅色の長髪も異彩を放つが、フルーツのようなオレンジ色の肌も独特だ――瞳も緑色になっている。
そして体格も“異変前”よりも少し、大きくなったように見える。
その１方で肩幅は比較的狭く、上半身には「さっきまでなかった膨らみ」がシャツを押し上げているのだ。
少年は目尻にうっすら涙を浮かべて、駆けつけた黄色い肌の“少女”に視線を向ける。
「……ぴ、ピアス……」
「……に、兄ちゃん……兄ちゃんも、ボクと同じだったんだね……」
「お、同じ？……って、何だこの声！？」
ピアスと呼んだ“少女”に返答しかけて、少年は思わず自分の喉を触った。
“異変”が始まる前の声とは全く違う、まるで女性のようなハイトーンボイスだったからである。
ピアスはそれを見届けると、バスタオルを巻いた姿のまま歩み寄って、少年の前に屈み込んだ。
そして――おもむろにその黄色い手を、少年の胸元にぐっ、と押しつけたのである。
「えっ、ピアス何を――ってぅわっ！？」
――ふにゅ、と胸元に感じた違和感で、少年の全身が痙攣するように震えた。
困惑の色を顔全体に浮かべている少年に対して、ピアスは落ち着いており、むしろ笑顔さえ浮かべている。
「兄ちゃんも――イールも、ボクと同じだったんだよ」
「お、同じって……」
「うーん、そだね……今はまだワケ分かんないよね……じゃあさ、取り合えずシャワー浴びない？」
「えっ、ど、どういう――」
「だって兄ちゃん汗だくじゃん、取り合えず汗流そうよ」
「……あ、あぁ……そ、そうだな……」
ピアスに言われるままに、少年――イールはふらふらと立ち上がり、シャワールームに向かった。
そして戸惑いがちにシャツを脱ぐが――直後に硬直した。
その胸元に形成された形の良い双丘……さっきまで、なかったはずのものだ。
自分に何が起きたのか薄々気付きつつ、認めたくないのか、絶句しているイールの後ろから、
バスタオルを取ったピアスが近づいた……グラマーなゴールドイエローの肢体が露わになる。
脱衣室代わりの小さな洗面台の鏡に写ったピアスの裸体に、イールは目を見開いた。
「えっ、ちょっ、ピアス何を――」
「もう――薄々分かってるよね、兄ちゃん……ズボン、下ろしてもいい？」
「えっいや、その……」
「不安なのは分かるよ、ボクもそうだったからさ……でも大丈夫、心配しないで――」
そう言うと、ピアスは“兄”の許可を待たずに――ズボンをパンツごと一気に下ろした。
「――！！」
「さ、汗を流そう、イール」
一糸まとわぬ２人の“少女”が、一緒にやや小さなシャワールームに入った。
先に入った赤い髪とオレンジ色の肌の“少女”が、さっきまで“少年”だったイールである。
そして後から入ってきたのがピアスだ……実はピアスも純粋な女性ではない。
そう――ピアスはエヴァンスである……そして“兄”イールも、エヴァンスに変異したのだ。
シャワールームに入ったものの、困惑と動揺のためか、蛇口に手が伸びず宙を泳いでいる。
それを見たピアスが、率先して蛇口を捻った……降り注ぐ生暖かい水が、イールの全身を濡らす。
シャワーの水滴を浴びて、呆然としていたイールも、やっと我に返ったようだ。
「……そんな……ボクまで……変わるなんて」
我には返ったものの、動揺を隠せない“元・兄”の肩に、ピアスが柔らかく手を添える。
「大丈夫だよ……今度はボクが兄ちゃん――いや、“姉ちゃん”を守るからさ」
「姉ちゃん……か」
自嘲めいた表情で苦笑するイール……ある程度“観念”したらしい。
肩に添えられたピアスの手からは、体温とは違う、暖かい“エネルギー”が流れ込んでくる。
それは緊張していたイールのオレンジ色の体を、柔らかく解きほぐしていった。
「大丈夫だって……最近多いんだよ、ボクやイールみたいに“変わってしまう”人たちがさ」
「……そ、そうなのか？」
「まぁ……ウチにはテレビもラジオもないからね――でも、“コミュニティ”に行けば分かるよ。
落ち着いたら姉ちゃんもおいでよ、もうイールも“仲間”なんだから」
これが――“エヴァンス６人衆”の２人として後に知られる、“アノグレス姉妹”誕生の瞬間だった。
当時ピアス９歳、イール14歳のことである。
ピアスはとても９歳に見えない――イールも14歳とは思えないが――グラマーな容姿だが、
これはエヴァンス変異体にはよくあることで、変異後に大きく成長することの方が少ないのだ。
変異後も持続的に背が伸びたのは、サーラなど１部の“高位体”だけである。
因みに――２人がエヴァンス・コミュニティの“顔役”になるのは、数年後のことである。
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【Meking Memo／設定補記】
2024年に作成した、シークレット・コンテンツ向けのショートストーリーである。
“ＴＳミュータント”エヴァンスの“元兄弟の新姉妹”をネタにしたものである（笑）
“相澤姉妹”の妹（元・弟）であるワタルも、“アノグレス姉妹”の姉（元・兄）であるイールも、
共に第１次エヴァンス大爆発が起きた2016年に変異しているため、まとめて１話に仕上げた。
片や日本、片や南米で起きている話だが、いちおう共に2016年のエピソードである。
アノグレス姉妹のコンビは1992〜1993年頃に連続して作ったキャラクターであるが、
相澤姉妹のコンビは姉（元・兄）のミノルが1996年頃、妹のワタルが2003年頃のキャラになっている。
裸体のエヴァンス群像はコミュニティセンターでの風景イメージが多いのだが、
今回はワタルやイールの“変異直後”をイメージしているため、それぞれの自宅の浴室を想定し、
“姉妹水入らず”（爆）でスキンシップ（？）している絵になっている。 |
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