GDW雑記帳

     

 
★考察70――2020年“コロナ・クライシス”についての見解(緊急追記版/2020年04月10日作成)
 

  日に日に新しい情報が追加され、事態の巨大化と深刻化が顕著になるため、緊急追記版を用意しました。
  基本的見解についてはこちらを参照ください(事態はより深刻化していますが基本見解は同じです)

 (4.4追記↓/4.10追記/4.19追記/4.27追記/5.15追記/6.13追記/7.10追記/7.30追記/
  11.19追記/12.17追記/2021.1.8追記)

 【4/4追記】

  4/3、世界の感染者累計がついに100万人を突破した。
  2週間近く前、「感染者100万越えの恐れもある」と自分で書いたが、まさかこんなに早くそうなるとは思わなかった。
  感染者累計が20万人を越えた辺りから、1週間ごとに倍増する情勢になっているようで、
  近頃では1日に数万人から10万人も一気に増えるなど、1ヶ月前から見ればブラックジョークのような展開である。
  (つまり1週間後の4/11頃には、200万人台に達している可能性も否定できないのだ)
  特にアメリカの感染爆発は顕著で、最悪の事態に陥っているニューヨーク州だけで感染者が10万人を越えている。
  現代都市の代名詞のようなこの街が今、コロナクライシスのホットスポットなのである。

  日本でも3/29に著名なコメディアンの志村けん氏がコロナ肺炎で死去した事件で、一気に衝撃と緊張が走った。
  更に首都圏を中心に、3月末からそれまでとは違う規模の感染者増大が起きており、不安が高まっている。
  4/4には東京だけで1日の感染者が100人を越え、全国で300人近い感染者を出した。
  1日に数千人から数万人の感染が報告される欧米に比べるとまだマシだが、明らかに新しい段階に入っている。
  現在の国内の死者は80人弱(クルーズ船を除く)だが、100人を越えるのも時間の問題なのかも知れない。
  これは別段悲観論ではなく、実はインフルエンザなどは毎年1,000人以上が亡くなっているのだ。

  世界経済の動揺も深刻で、3月下旬のパニック売りこそ1段落したが、都市封鎖や自粛ムードの影響で、
  世界的な不況風が鮮明になりつつあり、国連やIMFは「リーマンショック以上の景気後退」を強く警告している。
  ことここに至っては、実質的に“第2次世界恐慌”と呼べる状況になりつつあるのかも知れない。
  ウイルス拡大収束のメドも立っておらず、日本とIOCは東京オリンピックの1年延期を3/24に決定したが、
  その1年後に状況が改善していなければ、「オリンピック中止を余儀なくされる」という悲観論も出てきているのだ。
  事実上の世界恐慌ムードにオリンピック需要も破綻するとなれば、それこそ日本のダメージは深刻だろう。

  過去に起きたパンデミックに比べれば、実は今回のコロナクライシスはまだ「壊滅的な状況」とまでは言えない。
  1910年代のスペイン風邪では2,000万人以上の死者を出している(しかも世界大戦の最中だった)し、
  1950年代のアジア風邪で100万人、1960年代の香港風邪で50万人以上が亡くなっている。
  今後の感染拡大次第では、香港風邪やアジア風邪に匹敵する事態になる可能性はあるのだが、
  スペイン風邪クラスにはまだ大きな格差があり、それで世界的にここまで大混乱が起きていることが問題なのだ。
  何度も書いてきたことだが、ウイルス禍に対して現在の人類文明がどれだけ無力かということなのである。

  その1方で、追記2にも書いたように、今回のコロナクライシスが「世界を変える可能性」もあろうと思っている。
  パンデミックに対して免疫が足りない人類は、今まさにパニック状態で、差別事案も多発しているため、
  今後最悪の場合には、人種・民族差別問題が更に深刻化して、世界秩序がズタズタに引き裂かれる恐れもある1方で、
  この非常事態を乗り越えるべく、主要国が結束し、抜本的なシステム改革とイノベーションを誘発する可能性もあるのだ。
  どちらに転ぶかで、人類の未来が決まると言っても大袈裟ではない、そういう印象もあるのである。


 【4/10追記】

  どうやら、「昨日までの世界と日常は終わりを告げた」と考えざるを得ないようである。
  コロナクライシスの拡大と事態の悪化に歯止めがかからず、筆者の「嫌な予感」を上回る状況が繰り返しているからだ。
  最初に考察70を書いた頃には、「感染者数が100万人を越える可能性もある」とか、
  「第2次世界恐慌と言える非常事態になる可能性もある」などと書いたが、今それが本当に“的中”しつつあるのだ。

  別に「こうなると思っていた」などとドヤ顔で自慢するつもりはない。
  むしろ、筆者は「最悪の場合こうなる」と思っていたことが、今まさに現実となってしまったことに驚愕しているのである。
  筆者の想像力を越えるレベルで事態が深刻化していることを、さすがに認めざるを得ない。
  「昨日までの世界とは違う」というのは今や単なる比喩ではなく、現実の“大激動”だと考えられるのである。
  これまでの常識が覆され、過去の2つの世界大戦と同じく、世界秩序を根底から書き換える可能性さえ出てきている。
  感染拡大が始まって3ヶ月余りでここまで事態が拡がるなら、半年後には世界はどれだけ変わっているのだろうか。

  感染者の累計は4月初旬に100万人を突破した後、4/9には150万人に到達した。
  「4/11頃には200万を越えるかも」と書いたのは「1週間で倍増する」と仮定した話であり、さすがにそうなってはおらず(近いのだが)、
  感染爆発が起きた欧米などで強硬なロックダウン(都市封鎖)を実践した結果、成果が出てきているのかも知れない。
  ただそれでもこの数であり、潜在的にはこの5倍以上(数百万〜1,000万人以上)の感染者がいるという推測もある。
  確かに感染力の強さを考えれば、2009年のインフルエンザの時のように、数千万人単位の感染も絵空事ではない。
  死者数も4/9で9万人近くに上っており、今後数日以内に10万人を突破することはほぼ確実である。

  日本も4/8についに緊急事態宣言が発令された……都市部の感染拡大が明らかに新たな段階に達したためだ。
  とりわけ4/9には、東京都で180人が感染し、全国で500人を越すなど、数字が一気に跳ね上がった感がある。
  感染者の累計はクルーズ船のケースを除いても5,000人に達し、拡大の加速に現状、歯止めがかかっていないのは確実だ。
  ウイルスが数日から10日ほど潜伏することを考えれば、仮に今回の緊急事態宣言によって抑止効果が働いたとしても、
  今後1週間ほどは感染拡大の加速が続く恐れがあり、累計1万人突破もここに来て視野に入ってきた。
  韓国のようなスピーディーな検査方式を採用していないのに目下、増え続けているという状況は数字以上に深刻である。

  強制力に限界がある日本のインフルエンザ等特措法に基づく緊急事態宣言は「実効性がない」という批判もあるが、
  ならばどうしたら良いのか……欧米型のロックダウンを実施するには更なる法改正が避けて通れない。
  しかもその場合、メディアや野党が不安を煽る「国民権利の侵害」の恐れもより高まることになるわけだが、
  強硬措置が必要な報道の1方で権利侵害問題をぶち上げるマスコミは、ダブルスタンダードだと認識しているのか。
  海外メディアも日本の対応を批判しているそうだが、日本政府が全国一斉休校要請を決定した頃、
  対岸の火事のようにウイルス騒動を見ていた海外メディアに、偉そうに言われる筋合いはないと思うのは筆者だけか。

  前途多難な状況で奮闘する政府を、無能だとこき下ろす評論家も後を絶たない……余りにも無責任ではないか。
  政府だって人間の集まりだ、完全ではないことは自明だが、そんなに欠陥があるなら何故対案を出さないのか。
  全世界が震撼している状況下で政府の奮闘を上から目線で批判する連中こそ、現実が見えていないのではないのか。
  先行き不安なのは誰も同じだ……この後に及んで対案なき批判を繰り返す連中こそ、目を覚ますべきではないか。
  政府のやり方に重大な欠陥があるなら、連名で対案を掲げて意見具申し、陳状を出せば良いのではないのか。

  どうして政府を悪役視することばかりに奔走するのか、筆者にはどうしても理解できない。
  ストレス発散のために政府をサンドバッグ代わりにしているとしたら、むしろ恥ずべきことではないか。
  こんな大混乱の中でも、敵を作り、イケニエを作りたがる人間の性は実に空しいと言わざるを得ない。
  「対案を主張するが聞いてもらえない」と思う者も居ようが、ならば新しい政党でも立ち上げて国を変えてはどうだろう。
  居酒屋談義で愚痴ばかり言っていても、世の中は何も変わらないはずだし、
  今まさに「新しい秩序」へと変わりつつある世界に、取り残されてしまうのではないだろうか。

  そして4/9には、IMFが「世界恐慌以来の景気後退がやってくる」との見解を示した。
  EU諸国は「第2次大戦以来の非常事態」を訴えているが、ここに来てコロナクライシスのフェーズは戦前まで飛んだ。
  1930年代に全世界を巻き込み、世界大戦の遠因の1つにもなった世界恐慌に次ぐ非常事態だというのである。
  つまりは今般の緊急事態が事実上、“第2次世界恐慌”と呼べるものだということを認めたということか。
  コロナクライシスはついに、人類文明が近代化して以降、最大級の非常事態と考えられるようになったようである。
  「歴史を動かす可能性」は1ヶ月くらい前から予感があったが、ここに来てそれが確信に変わりつつある。

  不謹慎かも知れないが、これはある意味、非常に“エキサイティング”でもある。
  (これは不安に押し潰されないためのプラス発想の1案であり、事態を軽視するわけでは決してない)
  私たちは今、「世界が大きく変わる瞬間」に立ち会っている可能性が高いからだ。
  これまでの常識が無意味に思えてくる、まさに「世界をひっくり返す」ほどの衝撃をコロナクライシスはもたらしている。
  それは往年のSFパニック映画のように、世界秩序をバラバラに破壊してしまう恐れもあるが、
  1方で人類の団結や新たな思想哲学の台頭、革命的なイノベーションを誘発させる可能性もあるはずである。

  それを見届けるために、取りあえずは「自分がウイルスに殺されないようにする」ことと、
  「自分が取り込んだウイルスで他人を殺すリスクを下げる」ために、できる限りのことをやるべきなのだろう。
  政府の休業補償が気が気でない低所得者も多いようだが、政府ばかり充てにしていても仕方ないのではないかと思う。
  昨年に物議を醸した「年金2,000万円問題」にも言えるが、自分で老後を組み立てるくらいの気概が必要だろう。
  (今更、国民年金だけに老後資金を依存している人もそう多くないと思うのは筆者だけだろうか?)
  そしてその気概があれば、政府に依存しない人生設計も見えてくるのではないだろうか。

  他人事で言ってるのではない……筆者も年収平均未満の人間だ、今の職を失えば生存の危機である。
  しかしそのために、政府の補償を充てにするのも楽観が過ぎるという考えはずっとある。
  例えばその手段が民間企業による積立式生命保険や企業年金、投資信託などという形になることはすぐに思いつくのではないか。
  (無論、緊急事態宣言で保険契約も出来ない状況になる可能性もあるので、その辺のフォローは政府に期待したいが)
  日本国民であり、納税者としての権利はあるが、選択肢が多い方が生存率も上がることは間違いないはずである。
  政府と余計な火花を散らさず、彼らに現下のウイルス対策に専念してもらうためにも、
  私たちが政府に無用なストレスを与えないようにすることも、祖国を愛する国民として考えるべきではなかろうか。


 【4/19追記】

  日本の感染者数累計が、ついに1万人の“大台”を突破する日が来た(死者数も200人台に達した)
  また緊急事態宣言自体は1週間前から7都府県に出ていたが、宣言が出ている都市部から他府県に人が移動するなど、
  緊急事態宣言が返ってウイルスの拡散をもたらしている可能性を考慮し、宣言を全国に拡大する決断を政府が下した。
  つまりここに来て、日本はついに“国家緊急事態宣言”を採択する事態に追い込まれたわけである。

  まぁ3月に全国一斉休校要請を出した時に、「感染拡大のピークを遅らせて対処する」方向を政府が示していたので、
  現状の感染拡大ムードはその「遅らせた感染拡大」が到来したのだろうと考えることも可能だろう。
  ウイルスの検査体制や感染者を収容する病床も足りているとは言えず、医療崩壊を防ぐための措置だったわけだが、
  そうして“先送り”した「本当の正念場」に、日本もついに到達してしまったということか。
  1ヶ月前はまだ、東京オリンピック開催の是非で揉めていたことを考えると、国内の空気も随分変わった印象である。
  中国でウイルス拡大の報告がなされて3ヶ月余りで、日本も文字通り「後がない」情勢になってしまった。

  片や海外では、「ウイルス拡大の責任」を巡って主要国が火花を散らす外交戦ムードが訪れている。
  中でも舌鋒鋭いのは貿易問題でも対立する中国とアメリカで、お互いに「お前らが悪い」と言い合ってる状況だ。
  確かに中国の情報公開の不透明性は如何ともしがたく、当初海鮮市場とされたウイルスの震源も今は疑われており、
  「武漢市内のウイルス研究所から漏れた」説が再びクローズアップされている(武漢の死者数が過小評価されていたという報道もあった)
  生物兵器説は都市伝説や陰謀論の域を出ないものの、研究所からの漏洩自体は必ずしも否定できない所はある。
  とは言えパンデミックが現在進行形の状況下で、よくやるものだという印象はぬぐえない。

  先日200万人を突破した感染者累計の3分の1を抱える“第3の震源地”になったアメリカとしても、
  「どうしてこうなった」というやりきれないストレスは溜まっているはずで、その矛先を覇権のライバルに向けている形だ。
  中国もプライドの高さでは世界トップクラスなので当然負けじと激しく言い返しており、
  「アメリカ軍がウイルスを持ち込んだんじゃないのか?」と外交部高官が言い放って大炎上する事態もあった。
  またこれと同時に責任回避を意図してか、「ウイルス対策援助外交」を中国は本格化させており、
  「中国の経験が世界を救ったのだ、むしろ感謝して欲しい」と居直りも見せた……中国らしいと言えばらしいが。

  先の貿易問題で“米中冷戦”がクローズアップされた時、「貿易関係がある以上厳密には冷戦ではない」との指摘もあったが、
  “コロナクライシス後の世界”でアメリカを中心とした西側諸国が「中国締め出し外交」を加速させるという説もあり、
  そうなるとますます“冷戦ムード”が高まり、世界恐慌後の“ブロック経済体制”に似てくるという懸念もある。
  過去の歴史はその先に、第2次世界大戦という「人類史上最悪の戦争」を起こしてしまったからだ。
  コロナクライシスがもたらした不穏な分断が、人類文明の未来にとどめを刺す結果にならないことを強く祈りたい。
  バチカンのフランシスコ教皇は「新型コロナは環境破壊に対する自然の反応かも」と言ったが、厳粛に受け止めたいところだ。
  ウイルス禍という“自然災害”に便乗した覇権争いが、裏目に出ない保証はどこにもないのだから。

  未だに「新型コロナは所詮軽いインフルエンザだ」と言い放つ、ブラジルのボルソナロ大統領の「強がり」も他人事ながら気がかりだ。
  (過去のコロナウイルスと肺炎死者の統計から見れば、インフルエンザ以下という指摘は誤りだと言わざるを得ない)
  “ブラジルのトランプ”と揶揄されるボルソナロ大統領は自国経済至上主義のスタンスを貫き、
  昨年のアマゾン火災でも「反体制組織とその支援企業が火を付けたのだ」と言い放って物議を醸したが、
  ウイルス問題を露骨に軽視していた、1ヶ月前のトランプ米大統領の態度を、より極端化させたように見えるところもある。

  トランプ氏はその後、「これはさすがに不味い」と思ったか、問題対処のトーンを切り替えているが、
  ボルソナロ大統領の頑迷さ次第では、BRICSの雄の1つであるブラジルの繁栄が傾く恐れもありそうで不穏である。
  この辺は同じくトランプ氏と対比された、フィリピンのドゥテルテ大統領の方が要領は良さそうである。
  中国を警戒しつつも経済交流は受け入れたし、ウイルス問題の対処も比較的早かったからだ。
  東南アジアもマレーシアやインドネシアで感染拡大が続いており、予算を許さない情勢が続いている。
  ウイルス克服をPRしたい中国もまだくすぶっている……さてコロナクライシスの“夜明け”はいつ来るのだろうか。

  (追記の追記:緊急事態は5月末に解除されたが、7月に入って再び感染拡大が顕著になった)


 【4/27追記】

  日本が広義の“大型連休週間”に突入した。
  政府はこのシーズンを「外出自粛による感染拡大防止の象徴的な週間」と位置付けているようだ。
  思えば筆者も日本で感染拡大が目立ち始めた先月、「GWが1つのヤマかも」と見なした記憶がある。
  コロナ禍が春で終わるのか夏に続くのかの境目がこの時期だと考えたためだ。
  (4/30追記の追記:政府は緊急事態宣言を延長する方向で固まったと後に報道された)

  最近、これまで感染拡大が続いてきた主要都市部で、感染者の増加に減速傾向が見られているらしい。
  東京都心や大阪梅田など、政府などが目標とした「人出8割減」の1部達成もあった。
  日本全国で見ればまだ“未達成”の地域も多いのだが、これは一定の成果と言って良いのではないか。
  今回のコロナ禍は第2波、第3波が来る可能性も指摘され、早期に感染拡大が起きた北海道では、
  再び感染者が増えて“第2波”の懸念が強まっているなど、なお予断は許さないのだが、
  不安を煽る暗いニュースばかりがこの1ヶ月ほど続いた中で、数少ない“良い兆候”とは言えよう。

  世界でもオーバーシュート(感染爆発)が起きた欧米で、感染拡大に鈍化の兆しが見られており、
  まだ“第1波の終わり”に過ぎないのかも知れないが、1つの区切りを迎えたとの見方が少なくない。
  1週間ごとに感染者が倍増する急拡大シーズンは少なくとも越えたように見えるところがある。
  3月下旬〜4月上旬の加速度が今も続けば、感染者累計はすでに400万人を越えていて良いはずだが、
  4/27現在の集計では300万人ほどで、決して少なくはないが加速だけはしていないのである。
  (ただその1方で死者は20万人を越え、感染累計に対する致死率は高止まりしている)

  潜在的な感染者はもっと多いと言われて久しいわけだが、ここ1週間ほど徐々に減速してきた理由が、
  「いきなりオーバーシュート諸国が感染者数を隠蔽し始めた」というのも不自然な話だろう。
  日本でも「PCR検査が少ないから感染者も少ないのだ」とはよく言われているが、
  死者数もそれほど爆発的に増えていないところを見れば、実態もさほどかけ離れていないように思う。
  オーバーシュート諸国の場合、医療崩壊に加えて“葬儀崩壊”も起きていると聞くからだ。
  葬儀も埋葬も追いつかずに、安置所に遺体が積み上げられ続ける“死屍累々”状態らしいのである。

  世間には陰謀論的な世界観で政府や公的機関に不信の目を向ける人々が一定数いるが、
  考察70にも書いたように、人間だって全知全能の神ではないのだから間違いも犯せば抜けもある。
  仮に謀略的な企てをしていたとしても、それを完璧に遂行出来る保障はないのだ。
  (そもそも完璧な謀略が遂行可能ならば、それをリークできること自体が論理的矛盾なのである)
  筆者はそう思うが故に、「完全に正確ではないかも知れないが大きく間違ってもいない」と見るのだ。
  ……中国みたいに「新規感染数人」と言われたら「ホントかょ?」と思うかも知れないが(苦笑)

  1方でシンガポールのように、明らかに“第2波”と考えられる拡大期が来たところもある。
  シンガポールの感染者数は既に1万人を越え、日本と大きな差がない。
  人口600万人に満たず、香港と余り規模の変わらない都市国家だと考えれば深刻である。
  日本で最も大規模な感染拡大が起きている東京都だって、人口1200万人に対して4000人弱だ。
  ただ死者数は少なくまだ30人未満で、100人を越えた東京より「マシ」な面もある。
  上記の通り北海道でも「再度増え始めた」ことで不安が高まっている。
  (日本自体、感染が始まったのは2月頃だったわけで、実は既に第2波のピークなのかも知れない)

  また日本に限らず、新型コロナを「インフルエンザと似たようなもの」と考える人が一定数いて、
  日中に日なたに数時間置けばウイルスが減少するという研究もあるらしいので、
  インフルエンザのように「夏になればきっと収束するに違いない」と信じる人たちがいる。
  確かに「似たようなもの」という考え自体は間違いじゃないのだが、上記のシンガポールのように、
  「赤道直下でも新型コロナの流行が起きている」事実は汲み取っておくべきだろう。
  筆者はシンガポール旅行経験があるが、この国は1年中真夏日が続く“常夏”なのである。
  似ているかも知れないが「全く同じ振舞いをする」とは、未だかつて誰も証明できてはいないのだ。

  ただ日光が殺菌消毒に効果的というのは間違いないことで、これは紫外線が1種の放射線だからだ。
  真夏に直射日光にさらされるというのは、“大自然の放射線治療”に等しくもあろう。
  ただしこの分脈は、人工放射線と同様「浴びすぎるとむしろまずい」ことも同時に意味している。
  細菌やウイルスを殺す放射線というのは、つまり「人間の細胞にも本質的には悪影響」なのである。
  人体は痛んだ細胞をすぐに処分して再生する能力があるから、細菌よりしぶといだけなのだ。
  細菌やウイルスだけを殺して人畜無害という都合の良い処方箋は、余り期待しない方が賢明だろう。
  またこの論理は「健康維持で自然治癒力を高める」ことこそ、最良の処方であることを示唆している。

  筆者的に見れば、このGWを含めた5月は「復習シーズン」ではないかという感覚も持っている。
  これまでのコロナ対策が妥当だったのか否か、本当に今後感染は収束して行くのか、
  ウイルス治療で何が有効なのか、というテーマを「改めて見極める」時期になるのかも知れない。
  感染の世界的な急増で恐慌じみた大パニックが起きた時期から1ヶ月余りが経過し、
  少しは冷静にこの事態を観察できるようになっていくのではないか――と思う筆者は甘いだろうか?


 【5/15追記】

  日本政府が全国に出していた緊急事態宣言のうち、39府県の宣言を解除することを決めた。
  全国の緊急事態宣言からほぼ1ヶ月が経過し、1〜2週間に渡って新規感染報告ゼロの県が増えており、
  油断は出来ないものの、確かに一定の感染抑制効果が出ているように見えるためだろう。
  1時は1日に200人以上もの感染が報告された東京都も、10〜30人程度と明らかに減少しており、
  日本における新型コロナウイルスの“第1波”は峠を越えたと言えそうだ。

  日本全国の累計感染者数は現在17,000人ほど(クルーズ船の集団感染を含む)であり、
  1ヶ月前に比べると明らかに増えたものの、確かに記録的な拡大が続く欧米から見れば控え目な数字だ。
  PCR検査の少なさなどが度々指摘されるが、死者数も700人ほどに留まっており、
  (見えないところで記録的な感染爆発が起きているなら、医療機関はもっと深刻な状態のはずである)
  先進主要国G7に属する7ヶ国では、文句なしに最少の結果を出していることは誇って良いはずだ。
  付け加えれば、この17,000人のうち既に、1万人以上が快復して退院していることも重要なポイントだ。

  世界最大の感染爆発が起きたアメリカでは既に140万人もの感染者と8万人を越す死者を出しており、
  (人口で日本の2.5倍ほどの国で、日本の100倍以上の死者を出しているのである)
  ここ1〜2週間はロシアやブラジルでも感染拡大が鮮明になっている。
  またシンガポールや韓国など、第2波を示唆する新たな集団感染が起きた国もあり、
  多くの感染証専門家が言うように、確かに今回の新型コロナは一筋縄では行かないことが分かる。
  パニックで右往左往する段階は既に過ぎたと思うが、安心するにはまだ早いのだ。

  日本でも北海道のケースが第2波の兆候を出しているので、油断禁物であることは確かだろう。
  筆者の印象でも、連休明けの日本は明らかに交通量も通勤者も増えた感があるが、
  (とはいえ、コロナ騒動が深化する前に比べれば、それでもまだ少ないところはあるのだが)
  油断して気を抜くと、第2波の猛威が一気にやってくる可能性は警戒しておいた方が良いかも知れない。
  4月の感染拡大も、3月の連休が引き起こしたという説があることを教訓にすべきではなかろうか。

  その1方で、長引く自粛ムードの“同調圧力”で、今後ストレス疾患が増えるという予想もある。
  個人的な事情などで休業できない店舗に、脅迫電話などをかける“営業妨害”も少なくないそうであり、
  この辺りは、反日世論に支配されて異論が言えない韓国と、日本も大して変わらないなという印象はある。
  恐らくは「ほぼ単一民族」であることが、こうした脅迫的な同調圧力の背景なのだろう。
  日本はよく「ほぼ単一民族の国」と言われるが、考えてみれば韓国も同じなのだ。
  皆が同質に見えるからこそ、右に習えでないと気が済まない頑固な人々が出てくるのではなかろうか。
  連帯意識というのは国家が結束するのに重要だが、裏返せば紛争の種になるので厄介である。

  また振り返ってみれば、このムードは福島原発事故の際の風評被害とそっくりである。
  放射性物質も新型ウイルスも、多くの人々に不安をもたらす見えない脅威に違いあるまい。
  (皮肉なことに、実態をそれなりに知っていれば、パニックになるほどではない点でも似ている)
  そして復興のために努力する人々に向かって、ひねくれた“外野”が心無い言葉を浴びせる光景も同じだ。
  こうした“人間心理のダークサイド”の問題には、もっと真剣に取り組む必要があるように思う。
  福島事故の時も書いたが、人心の闇は、時に放射能やウイルス以上に猛威を振るうことがあるのだから。

  もちろん対策には順序があろうが、ならばこそこれからはまさに「メンタルケアの段階」だろう。
  阪神・淡路大震災でも、東日本大震災でも、熊本地震でも、西日本豪雨でも、東日本台風でも、
  緊張で張り詰めた段階を過ぎた頃の被災者の心のケアが、その後の復興情勢を左右してきたはずなのだ。
  ただ今回の新型コロナは、まさに日本人全て、いや全人類が“被災者”の立場でもあるわけで、
  (しかも震災や台風のように一過性の災害ではなく、まだ収束の見込みは立っていない)
  どれだけお互いをリスペクトし合い、癒し合うことが出来るかも問われているのではないだろうか。

  政府が言うように(これは日本だけの話ではない)「新型コロナとの共存」も今後模索されるのだろう。
  ずっと自粛ムードやロックダウン状態が続けば、経済も生活も破綻してしまうからだ。
  ホモ・サピエンスはリスやクマのように、冬眠できるような生態の生き物ではないのである。
  こうした共生の試み自体は歓迎すべきことで、新型ウイルスのリスクを「常に想定内」にして行動できるなら、
  そのライフスタイルは間違いなく、これからの人類文明にプラスの影響を与えるはずなのだ。
  これまでの大災害と同じように、新型コロナも「復旧」から「復興」に向かう道が待っているように思う。


 【6/13追記】

  「新たな日常様式」によるアフターコロナ、いや“ウィズコロナ”の時代が始まった。
  収束の見通しが不明な新型コロナウイルスと「共存する」生活様式を持つことで、何とか経済を回そうという試みである。
  5月下旬に全国規模の緊急事態宣言が解除されて以降、6月に入ってから一気に人出が増えた感もあり、
  今週末以降(つまり6月に入ってからの人出増加の約2週間後)の感染状況がどうなるかが注視される。
  6/12時点では大きな再拡大の波は日本には来ていないが、油断は出来ないのだ。
  (感染者10〜20人程度の増加が続く東京では1時不安の声が聞かれたが、3月末のように急増する兆候は今のところない)

  その1方で、コロナ自粛要請などの影響で売り上げが激減した事業者などを対象にした“助成金(持続化給付金など)”や、
  全国一律で実施された国民1人当たり10万円の“特別給付金”の進行状況が大きな混乱を起こしているようである。
  とりわけ特別給付金制度は、4月に決定してから2ヶ月近く経つにも関わらず、給付が実現したのが国民の3分の1程度で、
  電子申請にしろ書類申請にしろ(いちおう給付を受けるか否かの回答が要る)添付書類の不備や2重申請のため、
  その確認に追われる自治体の対策チームが実質的にパンク状態に陥っているという話を聞く。
  つまり日本は“医療崩壊”の危機こそ回避したものの、今まさに“行政崩壊”が起こりつつある状況なのである。

  こうした混乱を受けて安倍政権を攻撃する野党や左派マスコミの姿勢は論外であるが、
  世界を襲った緊急事態の対策に、日本の行政システムが全く追いついていない状態が露呈したのは問題である。
  これは安倍政権の問題ではなく、IT革命の号令が叫ばれてから約20年、変化に適応するための機会があったにも関わらず、
  上手く行かなかったことに対して大きな反省と改善が必要な問題だと言えるだろう。
  (野党の1部は安倍政権以前のトラブルまで安倍政権の所為にするかのような主張をするのでますます論理が破綻している)
  デジタル改革への挑戦という大きなうねりに対して、日本は余りにも保守的すぎたのだ。

  緊急事態宣言解除後、テレワーク方式をそのまま維持した企業がある1方で、日常が戻ったと言わんばかりに、
  一挙に人出が感染拡大前に戻ったかのように急増したのも、“現状維持バイアス”に支配された日本ならではの風景だろう。
  筆者が勤務する仕事場も、デジタル改革に対しては及び腰であり、顧客情報保護の観点から実はインターネット回線すらない。
  こうした極端に保守的な“デジタル不信”が日本中に蔓延っている可能性は小さくないと思われる。
  地方行政も昔から民間以上に保守的な体質なので、なにをか況んやということなのだ。
  これから確実に世界中を席巻するであろうウィズコロナの激動に、本当に日本はついて行けるのだろうか。
  (しっかり状況を理解すればカバーが早いという長所も日本にはあるが、そのためにも理解を早めたいところではある)


 【7/10追記】

  世界の感染が再び拡大傾向を強めている。
  原因の1つは冬を迎えた南半球での感染拡大本格化であるが、北半球も落ち着いたとは言えない。
  最大の感染国アメリカではフロリダ州など南部で再び感染者が増加し、
  ロシアやインドでも感染拡大が衰えておらず、感染累計の総数を押し上げる1因となっている。
  この点で、以前から漠然と言われていた「夏季に収束する説」は実質的に否定されたことになる。
  (ブラジルの注目の陰に隠れるが、チリなども人口比では既に感染者が1%を越えている)

  世界の感染者累計は6月末についに1,000万人を突破し、死者総計も50万人を越えた。
  特に死者数は、1960年代に起きた新型インフルエンザ流行“香港風邪”に匹敵しつつある。
  今後更に数十万人が死亡する可能性も指摘されており、100万人を越えれば1950年代のアジア風邪と並び、
  戦後最大規模の感染症流行事態となる(スペイン風邪は桁外れに大きいが戦前の流行であるためここでは除外する)
  アメリカに次いで感染者が多いブラジルでは、新型コロナを軽視していたボルソナロ大統領も感染した。
  幸い症状は軽いようであるが、これで多少とも見方が変われば良いのだが。
  (イギリスのジョンソン首相も自ら感染した後、見方が少し変わり深刻視するようになった印象がある)

  日本も緊急事態宣言解除後、しばらくは比較的落ち着いた状況が続いていたが、
  6月末から再び感染増加傾向に転じ、7/2に東京都で2ヶ月ぶりに100人を越えたのを皮切りに、
  数日間その状況が続いた後、7/9にはついに感染者が220人を越えて過去最多を更新する事態となった。
  全国で1日に700人以上が感染した4月初旬の事態に比べるとまだマシと言えるのだが、
  懸念された“第2波”の襲来を強く疑わせる情勢になっているのである。
  この拡大傾向で、日本の感染者累計もついに2万人の“大台”を越える事態となった。

  6月以降、往来の人手が一気に増えた感があり、「また拡大するのでは」という予感もあったが、
  9日の“過去最大値”は新たなフェーズの感があり、他道府県はそれほど劇的には増えていないものの、
  大阪でも緊急事態解除後最多となる30人の感染者が判明し、不安を払拭できない状況だ。
  ただ厳密に言うと、緊急事態宣言前とはPCR検査の環境も変わって数倍程度に増えているため、
  同じ条件で感染者が増えたとは言えず、単純に比較するのは安易なところもある。
  感染者の内訳も、今のところ夜の繁華街での若者の比率が高く、高齢者などに広く波及してはいない。

  もちろん油断できない状況に変わりはなく、「緊急事態宣言の再発令」が強く懸念されているのは報道の通りだ。
  「再発令すべき」との声が一定数ある1方で、外食業界などその影響をダイレクトに受ける側からは、
  「あの自粛強制ムードが再発したら今度こそ経営が持たない」という不安の声も大きい。
  感染予防措置などが緊急事態宣言前とは変わっているため「発令は必要ない」という意見もあるのだが、
  今後の感染拡大次第では、世論の不安ムードを制御できなくなる恐れはあるだろう。
  冷静である限り日本人の秩序的な振舞いは素晴らしいが、その1線を越えた時が恐ろしい。

  1年延期が決まった東京オリンピックの開催にも暗雲が立ち込めている。
  海外の流行問題以前に、開催地の東京がウイルスを抑止できないとしたら“致命傷”だからである。
  またウイルス騒動に振り回される結果、東京の地価情勢も大きく様変わりするとの説がある。
  “3密”の回避が困難な都心を避け、更にテレワーク標準化で「都心の価値が激変する」というのだ。
  最悪の場合コロナクライシスは、東京の価値そのものを“暴落”させてしまうかも知れない。

  国家安全法が成立・施行された中国の“香港問題”が今大きな注目を集めている。
  “1国2制度”が事実上破綻し、香港が言論統制を受ける主要都市の1つに過ぎなくなったことで、
  香港の金融センターとしての地位が今後“暴落”する可能性が懸念されているが、
  東京もコロナクライシスの情勢によっては、「対岸の火事では済まない」恐れがあるのだ。
  もしも香港の“没落”に東京の“失墜”が重なれば、東アジアはますます暗いムードになることだろう。
  ネガティブ・スパイラルに日本はまたも飲み込まれるのか……まさに正念場である。


 【7/30追記】

  “第2波”の襲来は、7月末に差し掛かって更に濃厚になった。
  世界の感染者累計は1日に30万人近い驚異的なペースで増え続けて一気に1,600万人を突破し、
  (1週間で100万人増えていた頃も驚きだったが、今やその2倍以上のペースだ)
  死者数も66万人を越えていよいよ1950年代のアジア風邪に迫ろうという勢いを見せている。
  その“感染爆発”のフロントはブラジルを始めとした南半球の諸国であるが、
  アメリカの感染もなお衰えておらず、ヨーロッパでも収束したとは言えない情勢にある。

  日本でも7/23に感染者が一気に900人を越えたのを皮切りに“新たなフェーズ”に入っており、
  7/28には1,000人に肉薄したかと思うと、翌7/29にはあっさりと1,200人を突破した。
  (追記の追記:30日にも同様に1,200人を越す新規感染者が報告されている)
  緊急事態宣言が出ていた4月頃とは、感染の有無を調べるPCR検査の1日当たりの検査数も、
  医療機関が確保している新型コロナ専用病床数も、共に数倍程度に増えているため、
  4月頃と同じ感覚で比較するのは早計だと思う(検査数の倍数以上には増えていない)のだが、
  それを考慮しても「新しい拡大期が来た」と結論付けざるを得ないように見える。

  PCR検査の数が4月頃の数倍と書いたように、当時と同程度以上の感染拡大が起きるなら、
  陽性者の数も数倍、つまり2,000〜3,000人程度くらいになった時だと筆者は考えるため、
  その数字に到達していない今は「まだパニックに陥るほどではない」と思うのだが、
  それでも8月を前にして、一気に4ケタの線を越えてきた情勢には正直ちょっと困惑している。
  「夏になれば収束する」と3月頃には多くの人が考えていたことを思うと、
  私たちの感染症への理解がどれだけ甘いものだったかをつくづく思い知らされる結果である。

  3月頃でも、シンガポールやインドネシアといった赤道直下の国々で流行が起きたのだから、
  今回の新型コロナを季節性インフルエンザなどと同一視するのは余りに安直なのだが、
  人々に刷り込まれた“日常常識”はそれほどまでに支配的な影響を持つということなのだろう。
  エボラ級の毒性があるわけではないので、極端に不安がるのも理性的ではないのだが、
  最低限度「インフルエンザ以上」であることは、これまでのデータからほぼ証明されている。
  対策を立てる上で、せめてそのくらいの認識は持っておきたいところだ。

  今の感染拡大の加速度が続けば、8月中に累計が2,000万人を越えることになるだろう。
  死者数が70万人を突破するのも時間の問題に見え、その先はまさに「歴史的な猛威」となる。
  上記の通り、1950年代に流行したアジア風邪(インフルエンザ)が死者100万人と推測され、
  1960年代に流行した香港風邪(インフルエンザ)が死者50〜70万人と推測されているので、
  新型コロナの流行規模は今まさに香港風邪の段階を超えつつあるわけである。
  1910年代のスペイン風邪は被害が1ケタ大きいので、そこまでには至らないと思うが。

  日本も今後、1日当たりの感染者数が2,000人を越えて来ると“緊急事態クラス”になると思う。
  とはいえ、アメリカやブラジルは今も1日当たり数万人単位の感染者を出しているし、
  死者も1日当たり1,000人単位で増えていることを思うと、日本の情勢はまだマシな方だろう。
  WHOも「日本は感染抑制の成功例」と評価している……別に調子に乗る必要はないが、
  まるで暗黒時代がやってくるかのように戦々恐々とするのは極端というものだ。
  伝染病以上に怖いのが、理性を失った人々の集団心理であることは抑えておくべきだと思う。

  悩ましいのは、新型コロナの感染抑制の重要なポイントが「人と接触しないこと」だ。
  日本人は濃厚なスキンシップ文化を持たないが、世界ではむしろ珍しい様式と考えられており、
  キスやハグが日常の国は欧米だけでなく、世界のかなり普遍的な光景でもある。
  日本人でも「誰とも接触せずに引きこもる」のがどれだけ大変かは今更言うまでもなかろう。
  “第2波”を強く示唆する日本の新たな感染拡大も、“夜の街”が震源の1つだったが、
  人間同士がリアルで接触し合うのは、本来「動物の本能」に等しいのである。

  “濃厚接触”が起こりやすい繁華街が批判の槍玉に挙げられがちであるが、
  人間が他の哺乳類と同じく、スキンシップによる愛情表現を本能に持っている限り、
  これを完全に抑止することは困難だし、「本能を否定する」本末転倒な解釈になり兼ねない。
  本能には乱暴な性質もあるため、それは理性的に制御すべきだが、否定すべきではないはずだ。
  だから1日も早くワクチンや治療薬を確立し、「接触が悪ではない」環境を作るべきだろう。
  そしてこの経験を未来でも活かせるよう、よりシステム化を進めるべきだと筆者は思う。

  経験不足から起きた“コロナパニック”を、人類は2度と繰り返すべきではないのだ。


 【11/19追記】(1部追記はそれ以降の情勢を含む)

  11/18、日本の新型コロナ新規感染者(1日当たり)が初めて2,000人を突破した。
  狭義の第2波に当たる7〜8月のピーク(1,600人台)を越えてすぐに出てきた大きな数字であり、
  実質的に“狭義の第3波”が始まったと見ている専門家が多いようである。
  (追記の追記:後日には東京の日当たり感染者が500人を越え、大阪でも400人越えとなった)

  狭義の、と書いているのは、「世界全体で見れば今はまだ第1波」という見方があるためだ。
  日本はもちろん、ヨーロッパにしろアメリカにしろ、地域的に見ると幾つかの波が存在するが、
  世界全体の感染者累計グラフでは、目立ったピークが認められないのがその理由である。
  中国で1月に流行が始まってからずっと、世界全体では“右肩上がり”で増え続けているのだ。
  地域によっては波があっても、世界的には感染拡大がぐるぐる循環している状態であり、
  「広義の第1波ピーク」はまだ来ていない、という解釈があるのである。

  とはいえ日本だけで見ると3度目の大きな増加が目立っており、
  感染防止強化を図らなければ、今後数週間で1日当たりの感染者が数千人になるとの説もある。
  特に急増が目立って見える北海道や東京では、緊迫感が高まっているとの見立てもある。
  西日本も京阪神で再び増大が目立ってきており、今後の推移が注目される。
  ただ夏にも書いたが、PCR検査の数自体も増え続けていることから、
  表の数字を単純に感染の急拡大と見るかには異論もあろうかと思うが、油断できないのは確かだ。

  世界でも新しい情勢が出ており、10〜11月のヨーロッパの感染者急増が目立つ。
  とりわけ1ヶ月で累計感染者が2倍以上になったフランスでは、再びロックダウン措置が取られ、
  気付けば感染者累計が200万人に達しているなど、まさに激増と言える状況になっている。
  全世界の感染者累計は5,500万人を越え、死者数は130万人に達し、なおも増える一方であり、
  感染抑制が上手く行かねば、来春までに死者数が200万人を越えるという悲観的な予想もある。
  またWHOによれば、既に数億人が感染している可能性があるという見方もあるらしい。
  実際、各国が実施する抗体検査などの情報から、公表数の数倍の感染者は推測が十分可能である。

  1910年代のスペイン風邪などと比較すればまだ死者数は少ない(10分の1以下である)が、
  単一の感染症流行では“戦後最大”の犠牲者数になっており、
  既に季節性インフルエンザの2〜3倍の犠牲者が出ているという事実は受け止める必要がある。
  今なお「ただの風邪」「インフルエンザ以下」という見方の人がいるようであるが、
  極端志向で悲観視する必要はないものの、インフルエンザを凌ぐ流行であることは確かなのだ。
  しかも今冬は「インフルエンザと同時流行」の懸念もあるため、気を抜けない。

  その1方で、ワクチン未完成の現時点で既に8割の感染者が回復しており、
  無症状の感染者もいることが分かっているため、高齢者などに感染させるリスクに気をつければ、
  絶望感に打ちひしがれるような事態ではないという視野も必要である。
  人間は“理論武装”しない限り、どうしても“極端論”に走る癖があるので気をつけたいものだ。
  世界はもっと複雑であり、デリケートであると同時に逞しくもあるということである。
  (追記の追記:11月末までに感染者累計は6,000万人を突破しており、10月末が約4,500万人であったため、
   1ヶ月の間に感染者が1,500万人以上も増えた計算になる)


 【12/17追記】(1部追記はそれ以降の情勢を含む)

  日本の新型コロナ“第3波”が更に目立ってきている。
  12/17、東京の1日の新型コロナ感染者数が800人を突破した。
  12/12に初めて600人を突破してから、1週間も経たないうちに3割近く増えた形だ。
  この間、全国の1日の感染者数も3,000人を越えており、感染者累計は20万人に迫ろうとしている。
  (追記の追記:12/21に日本の感染者累計は20万人を突破した)
  既にアメリカが1国で1,500万人を越えているため、感覚が麻痺しそうであるが、
  この数字は春先の“第1波”頃、感染爆発が起きたイタリア辺りと同じ数なのである(ただし死者は少ない)

  夏頃に「1日の感染者数が2,000〜3,000人くらいになると深刻かも」などと書いたが、
  今まさにそういう状況になっていることになる……ただこの文脈はPCR検査が増えたことを踏まえて、
  「春先と同じ条件では評価できない」ことを示すつもりで書いたものであり、
  これは現在にも当てはまる……つまり、PCR検査の数は「夏場を越えている」はずなのだ。
  達成できているかは分からないが、政府は「1日に2万件の検査」を目標にしており、
  1日1,000件未満だった春先、数千件程度だった夏場と共に、同じ条件では評価できないのだ。

  もちろん「だから大丈夫」などと言いたいわけではない……実際に入院患者数は増え続けており、
  重症者向けの病床が埋まりつつある状況は“医療崩壊”の危機が絵空事ではなくなっていることを示す。
  11月に始まった第3波の感染抑制策は今のところ奏功しているとは言いがたく、
  市民も“コロナ慣れ”しているという指摘がある……慣れは油断につながる「悪魔の誘い」であり、
  神経質になるのもどうかとは思うが、このままでは2度目の緊急事態宣言も視野に入ってくるだろう。
  新しく変異したコロナが感染を広げているという指摘もあり、一筋縄では行かない。

  世界でもこのところ、コロナ関係では余り明るい話題を聞かない。
  最も早く認可されたコロナワクチンの初期接種が始まったのは、唯一の明るい兆しと言えるが、
  1部でアレルギー反応が出ていると報道されており、今後のフォロー次第とも言えるが、
  胸を撫で下ろすにはまだ時期尚早と言えるのではないだろうか。
  年明け1〜2月辺りにワクチンの効果がどれくらい出ているかが、試金石の1つになるかも知れない。

  感染者の世界累計は7,000万人を突破し、アメリカのコロナ死者はついに30万人を越えた。
  初夏の予測では「死者20万人」との数字に大騒ぎだった気がするが、既に越えてしまったのである。
  アメリカ国内はコロナ不況に大統領選での分断情勢に、まさに七転八倒しているような雰囲気がある。
  春先のコロナ優等生だった韓国やドイツでも、このところ新たな感染拡大に不安が高まっている。
  特にドイツは1日の死者が1,000人に迫り、医療崩壊の瀬戸際にあると言われている。
  韓国も総数では日本より少ないものの、ソウル首都圏等で数百〜千人単位の感染が連日報道されているのだ。
  更に共産国家ならではの強引なやり方で第1波を抑え込んだ中国でも、新たなクラスターが報告されている。

  世界の死者累計は160万人を越えており、200万人越えという“暗い大台”もハッキリ見えてきた。
  何しろこの1ヶ月で明らかに死者が20万人以上増えているのである……“大台突破”まで30万人余り。
  死者数の増大に歯止めが利かなければ、リアルにあと1ヶ月余りで越えてしまうのである。
  もはやこのラインを越えるのはほぼ確実な情勢であり、更に次のライン“300万人”に達するか否かが、
  ワクチンの効果次第、というのが客観的な見方ではないかと思う(冷徹であることは認める)
  人類史に暗雲をもたらした戦後最大のパンデミックは、どこに“落ち着く”のだろうか。

  ところで“今年の漢字”は「密」に決まったそうだ……流行語にもなった言葉だろう。
  記者会見の場で都知事が言った「密です密です」という言葉がネットなどで注目を浴びたが、
  年末に至って2020年を振り返ると、まさに全人類が新型コロナに振り回され、右往左往した年であった。
  たった1つのキーワードに世界中が支配されるような事態は、世界大戦くらいかと思っていたが、
  新型コロナはまさにそうしたケーススタディの1つとして、歴史に残る事件となったと言えるだろう。