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★Ｐｒｏｊｅｃｔ Ａｐｏｃａｌｙｐｓｅ 黙示計画 統合ナンバー：EC-X20501（CSTS-KABI2）【投稿エピソード】 |
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虚空に浮かぶ青い星“地球”。
その星めがけ、小さな火の玉が突っ込んでくる。
よく見れば☆型の物体に、ピンクの球状の生き物が必死に掴まっている。
この生き物の名は“カービィ”。
ある事情と事件で、この地球より遥かに離れた惑星“ポップスター”から地球にやってきたが……
「うっ……うわ〜〜〜〜〜〜んっっ！！」
……彼は現在、地球の引力に掴まって激しく落下中。
その地球にある国――日本の、とある山沿いの小さな町。
「ママ〜、おっきな流れ星」
「あら本当、大きいわね、願い事出来るかしら」
その流れ星は、そのまま町の裏山へと消えていった。
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ＰＲＯＪＥＣＴ ＡＰＯＣＡＬＹＰＳＥ
プロジェクト・アポカリプス 黙示計画
★ 序章 第１部 ★
星のカービィ異聞――迷い込んだ英雄
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んでもってその翌日――
（……ココは何処？ ボクは誰？）
……どうにかカービィは生きていた。
生身で大気圏突入しよったクセにほんまタフやなこいつ。
（はっ、そうだ！ あの青色の星に引き寄せられて……大変だ！ ――って暗いし、動けないし！）
なんとか動き出そうと、短い手足をばたつかせてもがきまくるカービィ。
それから十数分後……ようやくの事で脱出に成功する。
……どこかの地面の中に頭からめり込んでいたようだ、隕石かお前は。
「はぁはぁはぁ……死ぬかと思ったよ、もう……ってココは、どんな星なんだろう……」
あたりを見回せば、自分の星でも滅多に見ないほど大きな木々や草花が生い茂っていた。
その大きな植物群に少し気圧されるカービィ。
「ふ〜〜ん、なんかおっきいなぁ……あっ！」
間もなくカービィは、近くの大岩の横にめり込んだ自分の飛行アイテム“ワープスター”を見つける。
恐らくこの星に落下の際、カービィが振り落ちた後に岩に激突したのだろう。
その機体にはところどころ焦げ目が付き、そのイエローのカラーはくすんでしまっている。
「あ〜〜、ボクのワープスターが〜〜……大丈夫〜？」
カービィがワープスターに呼びかける。
すると、その機体が淡く明滅する。
「良かった〜〜、生きてた〜〜、でもこれじゃしばらく飛べないなぁ。どうしよ……」
移動力の大半をワープスターに頼っているカービィにとって問題である。
ワープスターが自己修復するまでカービィは遠くへ行く事も、この星を脱出する事は出来ないだろう。
「う〜〜〜ん……困ったな」
――ぐるるるる
「あう……お腹すいたな……」
……カービィのお腹が何処なのかは不明。
カービィは食べれそうなモノを求めて山中を彷徨い歩く。
と、やがて山の中腹にあたるであろう部分に出る。
すると其処には……
「あ……あれ何だろう？」
その山の下には……この星の住人――人間達が住む町が、大きく広がっていた。
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「うわ〜〜〜、大きいなァ……デデデのお城ほどじゃないけど、ボクの家の５倍はありそう……」
山から下りたカービィは、町の道を歩きながらその家々の大きさに圧倒されていた。
あまり大きな住人の居ないポップスターでは城などない限り、ここまで大きな建造物を作る事は稀だからだ。
身長１ｍを超える体格を持つ種族自体、少数派なのである。
「あっ……？」
今度は家と家の間にある細い路地に置いてある、数十cmほどの藍色の丸い容器を見つける。
「なんだろ……アレ……食べ物の匂いがする。なにか有るかな？」
不思議な芳香――カービィの鼻って何処や――のする物体に興味を示すカービィ。
早速蓋を開けて藍色の容器――ポリバケツに潜り込む。
「う〜〜〜ん、生ゴミばっかりだぁ……」
残念ながら、これは生ゴミ用のゴミバケツであった。
カービィは何でも飲み込むタフな生き物だが、さすがに腐った生ゴミには食欲がわかない。
当ての外れたカービィがポリバケツから出ようとすると……
「でよ〜〜〜、それでさ〜〜〜」
「え〜〜〜、まじかよ〜〜」
（――はわっ！？）
その通りを２人の“人間”が通っていた。
カービィは思わず身を竦め、バケツの中に隠れる。
「え〜〜〜っ、なにアレ？ アレがこの星の生き物？ それにしてもデカイよ……」
自分達とはあまりにも違う体形と大きさ、その顔付きや各部の構造の存在にカービィは驚愕する。
昔に似たようなキャラに会った事は有るが、ぶっちゃけそれらとは比較にならない。
彼等が過ぎ去ったのを見て、カービィはポリバケツから出てくる。
（あううう……どうしよ……）
言いようの無い戦慄がカービィを包み込む。
すると……さらに大勢の者たちの声と気配が迫ってくるのを感じる……
「〜〜♪♪」
「次、何処へ行く〜？」
「あ〜〜、はい、わかりました」
（ひゃあああっっ！）
カービィは素早くジャンプして、家の塀から屋根へと飛び乗り彼等の道から逃れる。
「ふぃ〜〜〜っ、危なかったよ〜〜〜」
だが、その屋根から周りを見渡せば、周辺の道には全て彼等――人間の姿があった。
カービィは彼等の縄張りに入ってしまった事に気付く。
（もし……捕まったら……ボクが喰われるかも！？ ……きゃああああっ！）
カービィは恐怖の余り、心の中で悲鳴を上げながら逃げるように家から家へと飛び移っていく。
その恐怖に根拠は無いが、度重なる非常事態に混乱し切ったカービィにもはや正常な判断は不可能だった……
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……んで早くも夕方。
カラスが無く橙色の空の下、カービィは１人、家の屋根の上で空を見上げながら途方に暮れていた……
「あぁ……ボクはこの星でどうなってしまうんだろう……？ それにしてもお腹空いたな……」
空腹と絶望がカービィを襲う。
すると、どこからともなく暖かく香ばしい香りがカービィの鼻――だから何処やねん――を擽った。
「ん……この匂いは……」
匂いは自分が立ってる建物の中から漂ってくる。
その匂いが一番強く感じる面のガラス窓から恐る恐る家の中を中を覗けば……
大きなテーブルの上に並べられた複数の皿と料理の数々。
白いご飯を筆頭に若鶏のから揚げ、大盛りのサラダ、その他諸々が幾つも並べられている。
なんて事ない夕食のお膳。
「うわぁ〜〜〜〜」
カービィの大きな口から、大瀑布の如きヨダレが流れ落ち、雨樋を伝って流れていく。
空腹に悩む今のカービィに、これほどの御馳走は無い。
其処に、この家の住人らしき女性――主婦だろう――が入って来た、素早く窓枠の外へ隠れるカービィ。
「さ〜〜て、これでよしっ」
その主婦はテーブルの上に厚切りのハンバーグを４つほど置いた。
恐らく、他の家族の夕御飯であろう。
（イイなぁ〜〜〜……）
――プルルルル プルルルル
「あっ、電話」
と、主婦はその場から立ち去った。
カービィはせめて匂いだけでもと、思わず窓ガラスに手をかける。
するとガラッという音を立ててガラスがスライドした。
流石は平和な日本、無防備である。
「開いてる……」
今やカービィの前にあるのは、ほかほかと湯気の立つ夕御飯達だけ……
「ゴクッ……」
だが、それらはこの家に住む者達の物である――流石に勝手に食うのは一瞬気が引けたが……
「もうダメっ！ いただきまぁ〜〜す！」
一昼夜何も食べていない上、大移動後で疲労困憊のカービィに、もはや理性はなかった。
数分後――主婦が奥から戻って来た。
だが、其処に残っていたのは……白く光る綺麗なお皿達のみだった……
「あら……誰かしら、綺麗に片付けてくれて……えっ？ ええええぇぇ〜〜〜！！？」
その家に夕御飯を奪われた主婦の驚愕の声が響く。
そしてその後……
「あ〜〜〜っ！ 俺の御飯が消えてる〜っ！」
「ボクのおやつが無い〜〜！」
「冷蔵庫の中身が〜〜〜！！」
同じ様な悲鳴が町の彼方此方で上がっていった。
「ケップ……美味しかった♪」
身も心も満たされて、家の屋根の上で幸せそうに微笑むカービィだった……
いや少しくらい罪悪感持てよお前、平和の勇者やろ。
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同じ頃――こちらは深宇宙。
広大な黒い虚空と其処に輝く無数の光点……
その中に浮かぶ、ひときわ巨大な輪を広く束ねた、人工建造物らしき存在……
カービィを追ってこの異宇宙へとやって来た仮面の騎士“メタナイト”はここにいた。
「何だココは？ こんな巨大な構造物は初めて見る……」
剣のような小型宇宙艇からその建造物を眺める彼も圧倒される。
その大きさは間違いなく、１つの惑星ほどもあろう。
と、其処に大小様々な宇宙船らしき物が出入りする大きな穴を発見する。
「む、あそこから入れるか……」
メタナイトは興味も手伝って、そこから進入を試みる。
巨大な宇宙船の陰に隠れ、どうにか宇宙港らしい場所に到達する。
そしてその構造物に入ったメタナイトはさらに驚愕した。
まるで構造物そのものが巨大な都市のように天上、壁面にも居住区らしき建物を持っていた。
さらにその街には自分等より大きく、かつ構造の異なる生き物達がアチラコチラを歩いている。
トカゲのように鱗を持つ者、鳥のような翼を持つ者、眼だけが異常に大きい者など、
その種族の多様性は自分のいた星にも負けない。
しばらく立ち尽くしていたが、すぐに冷静さを取り戻して事態を把握しようとする。
「……ココは異星人達の星か？ もしくは人工要塞か……？ カービィもココに居るのか？」
残念ながら貴方の“ライバル”は別の惑星ですねー。
やがて彼は、本来の目的である“自星の異常の原因追求”のことを思い出す。
「とにかく情報を集めるとしよう……」
メタナイトは情報収集をしようと行動を開始する――しかし、それは困難を極めた。
何分、自分が持っている情報が少なすぎる上、あまつさえこの体形を見て困惑する者も少なくない。
あからさまに蔑視するような者が居ないだけマシだが、ココでは自分はマイノリティのようだ。
「ポップスター？ 知らんなぁ、そんな惑星は」
「空間の異変？ そう言われても、重力異常とか恒星の周囲だと珍しくないし……」
「というか君、その剣をしまいなよ、鞘がないのかい？」
収穫と言えばこの場所が“オリオネスゲイト・テクトラクタ”という場所であり、
各星々の星人の集う駅や交易都市のような存在であるという事くらいだ。
当然の如く、自分の星に関する情報は全く無かった。
「困った物だ……これではなんの情報も集まらない……どうしたものか」
彼は１人、スカイレーンに突き出した塔状の建物の上で思いに耽ながら、戦友でありライバルの名を呟く。
「カービィ……」
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| （本編初登場／本編初アクション） |
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【Meking Memo／設定補記】
2009年頃に、飛石武氏が投稿したエピソードを2024年に再編したものである。
旧ＯＷ企画時に飛石武氏が提案した、「星のカービィ」のカメオ出演に絡むエピソード・ゼロに当たる。
いかにもゲームキャラらしいファンシーなカービィが、現実世界（そのものではないが）の人間たちと出遭い、
どのような冒険を展開するのか、投稿当初は全く想像が付かなかったのだが、
“凝り性”の飛石氏らしく、上手い具合にまとめている（その辺は本編の方を参照願いたい）
因みに草案時点では、カービィ世界のラスボスであるダークマターが魔神オメガと接触するシーンがあったが、
この辺りのプロットには具体的な流れが固まっていないため、今回はオミットすることにした。
（もちろん今後再登場させることも可能だが、アレンジが要るように思う）
因みに所々で地の文が関西弁でツッコんでいるが、これはG-maの文体である（苦笑）
またメタナイトがテクトラクタに飛来するシーンも、少し弄っている。
草案ではもっと辛辣に相手にされないイメージだったが、銀河社会は理性が確立した秩序という設定なので、
情報が集まらないまでも、露骨に差別するような相手は少ないという環境に変えている。
この辺は『スターウォーズ』などの既存ＳＦの先入観に加えて、
2009年当時はまだ銀河社会というコンセプト自体、確立していなかったのも１因であるorz |
