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| ◆メドゥアス第３ラボ実験体保管庫（2008） |
アークＡＳＧ世界にある自治体、朝陽市の丘陵部の森林内にある半地下の施設。
秘密結社メドゥアスの３個目の研究施設であるが、メドゥアスの違法行為を調べるために、
ディガス大使のパドルが2011年に同施設を見つけた際には、既に廃棄された状態にあった。
施設の最奥部には、メドゥアスが実験を繰り返してきたメタロイドの“実験体”が発見当時も保管されており、
パドルと運命的な出逢いをすることになる“鉱物娘”ルイもここに保管されていた。
半地下の薄暗いギャラリーには、30体余りの石化された少女たちの裸像が並べられており、
ほぼ全員が既に意識を失った状態にあったが、唯一の例外が後にルイと呼ばれる33号実験体であり、
思考停止に近いものの、かすかな感情の発露をパドルが感知したことが、全ての始まりであった。
その後ルイに続いてエミが意識を取り戻し、サラが意識を取り戻したことで、
センターＤにつながる、より本格的な調査体制を確立することにつながったのである。
上記の“3人娘”の他にも、ユウやカオルといった“元少年組”、ジュリ、スイ、コナなどがここで処理された。
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【関連補記】
2008年頃に作成した集合画で、珍しい“フル３Ｄシーン”である（そのため結構重い^^;）
ＡＳＧシリーズ執筆初期に作成し、当時の主な舞台の１つだったメドゥアス第３ラボのイメージだ。
石化しているとは言え“素体”であるため、表サイトの挿絵には出来なかった（爆砕）
左からユウ、ミキ、エミ、サラ、ジュリ、カオル、ルイに当たる（前後順不同）
モデルとしては古く“第２世代”に当たるため、今とは細部のディテールや色彩が異なっている。
因みにＣＧキャラクターモデルの造形作業は、2004年頃のモデルを第１世代、2006年頃を第2世代、
2009年頃を第3世代、2012年頃を第4世代、そして2016年頃を第5世代と規定しており、
2022年現在も第5世代のモデルを改修して３Ｄ絵を描いている。 |
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| ◆アクエリアス・センター・リハビリルーム（2010） |
アクエリアスの役割はエグゼクターに対抗するだけではない。
世界各地で生まれた特殊なミュータントや、人体実験の被害者を保護するという役目もあるのだ。
そのため拠点があるアクエリアス・センターの地下に複数の保護施設が整備されており、
その中心的な設備の１つがリハビリ・ルームである。
石化処理を強制されたメタロイド系元実験体が「活動能力を取り戻す」ことなどを目的として整備され、
その後改装を繰り返して機能強化されていった経緯を持っている。
アクエリアス・センターが大規模改装された2034年を経て、リハビリルームのサイズも数倍に拡大されており、
2052年に保護されたエヴァノイド・セラコートの元実験体たちのリハビリにも活用されている。
エヴァノイド・セラコート実験体は60名を越すため、改装前のリハビリルームでは間違いなく足りなかった。
（その時点で既に保護されたメタロイド実験体などが数十名に上っていたのだ）
またリハビリルームだけでなく、その周囲の通路や階段室なども、リハビリに使えるように動線設計され、
リハビリルームの周囲数十ｍの圏内では、服を着ずに動き回ることも可能であった。
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【関連補記】
2010年頃に作成した集合画で、珍しい“フル３Ｄシーン”である（そのため結構重い^^;）
セラミック皮膜に密閉処理されたエヴァノイド系実験体のリハビリをイメージして描いたものである。
ＡＳＧシリーズに登場するメタロイド（鉱物娘）のように、全く動けない状態に「固められた」被害者が、
再び活動出来る状態に回復する過程として、リハビリプログラムの設定を作っており、
これをエヴァノイド・セラコートに応用するという発想だが、実は草案自体は2003年頃から既にあった。
左からテラ、リア、キラ、ライン、サティに当たる（前後順不同）
モデルとしては古く“第３世代”に当たるため、今とは細部のディテールや色彩が異なっている。
因みにＣＧキャラクターモデルの造形作業は、2004年頃のモデルを第１世代、2006年頃を第2世代、
2009年頃を第3世代、2012年頃を第4世代、そして2016年頃を第5世代と規定しており、
2022年現在も第5世代のモデルを改修して３Ｄ絵を描いている。 |
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| ◆センターＤシャワールーム（2012） |
アークＡＳＧ世界にある自治体、朝陽市の港湾部にあるセンターＤ。
秘密結社メドゥアスに対峙するため、ディガス大使のパドルが設置した違法行為の監視施設であるが、
メドゥアスによって“石化処理”を強いられた、メタロイド系被害者の保護施設としての役割もある。
実際にメドゥアスから保護された、最終的に90名を越す“鉱物娘”はここが「第２の故郷」となったのだ。
（厳密に言えば“初代センターＤ”崩壊後に“別室”に保護されたケースを含んでいるが）
そんなセンターＤのほぼ中央にあるのがシャワールームである。
大きな湯船こそない、シャワーホースと鏡が並んだ四角い防水エリアであるが、
メタロイド被害者たちが、ここで定期的に自分の体を洗い流すことが出来たのである。
メタロイドは全身が無垢の鉱物であるため、有機物で出来た動物のような代謝機能はほぼないのだが、
それでも何日もそのままでいればホコリを被り、色褪せてくるのである。
（おースイちゃん、初シャワーかな？）
発声機能を持たないメタロイドは“心の声”すなわち念話能力でコミュニケーションを取る。
今し方シャワー中のルイが認めたのは、“初期3人娘”の１人であるエミが一緒に連れてきた小柄な鉱物娘。
ヒスイに似た色合いと質感からスイと呼ばれる個体であり、センターＤで初めて活性化された個体である。
スイ以前に活性化されたルイ、エミ、サラの３人は、いずれも“旧ラボ”で活性化されているからだ。
（そうです、ほらスイちゃん、ルイさんとサラさんだよ、ギャラリーにいた時いたでしょ？）
（はい、覚えてます！）
スイのヒスイ色の顔が嬉しそうにほころぶ……若い彼女はリハビリで回復する速度も速い。
ルイもエミも不自由なく動けるようになるまで１ヶ月くらいはかかったものだが、彼女はまだ１週間ほどだ。
（まぁスイちゃん、もうぎこちなさがほとんどなくなりましたね、凄いですよ！）
（あ……ありがとう、サラさん）
（ホント凄いよねぇ、これちょっとした才能だよねｗ）
周囲から注がれる賞賛の雨に、スイは草色の頭を掻いて照れ臭そうに笑った。
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【関連補記】
2012年に作成した集合画で、珍しい“フル３Ｄシーン”である。
実は2010年頃に試作したイラストの広義のリメイクに当たる（当時とはレイアウトが違うのだが）
パッと見、ルイとサラの２人しかいないように見えるが、よく見ると背景に置いた鏡とメタリックな壁に、
エミとスイのシルエットが反射していることに気付くだろう……つまりシーン内には「４人置いている」のだ（笑）
シャワーを浴びるサラの“水滴描写”もさりげなく３Ｄモデルの実験になっている（テクスチャマップを応用した）
時系列的にはスイが活性化された直後頃、第５章の後半くらいのイメージである。
因みにこの時点では、エミとスイは「１世代古いモデル」になっている（苦笑）
2012年頃に作った第４世代のモデルを使用しているが、現在第５世代モデルでリメイクしているものとは、
体形のバランスだけではなく色彩も異なっている（特にスイはぐっと緑色が濃くなった）のだ。
まだ「白っぽいヒスイ原石」のイメージが濃かった頃のモデルというわけである。
エミも第５世代モデルで、それまでの「青緑調」から「濃緑調」に色相を変えている。
エメラルドグリーンといえば青みがあるが、本物のエメラルド結晶は結構濃いビリジアンだからだ。 |
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| ◆アクエリアス・センター・リハビリルーム2013（2013） |
アクエリアスの役割はエグゼクターに対抗するだけではない。
世界各地で生まれた特殊なミュータントや、人体実験の被害者を保護するという役目もあるのだ。
そのため拠点があるアクエリアス・センターの地下に複数の保護施設が整備されており、
その中心的な設備の１つがリハビリ・ルームである。
石化処理を強制されたメタロイド系元実験体が「活動能力を取り戻す」ことなどを目的として整備され、
その後改装を繰り返して機能強化されていった経緯を持っている。
アクエリアス・センターが大規模改装された2034年を経て、リハビリルームのサイズも数倍に拡大されており、
2052年に保護されたエヴァノイド・セラコートの元実験体たちのリハビリにも活用されている。
エヴァノイド・セラコート実験体は60名を越すため、改装前のリハビリルームでは間違いなく足りなかった。
（その時点で既に保護されたメタロイド実験体などが数十名に上っていたのだ）
またリハビリルームだけでなく、その周囲の通路や階段室なども、リハビリに使えるように動線設計され、
リハビリルームの周囲数十ｍの圏内では、服を着ずに動き回ることも可能であった。
エヴァノイド・セラコートは絶縁性を持つＺＦＣ結晶の皮膜に全身を覆われているため、
そのままでは視界を持たないことから、人工網膜フィルムを目の部分に貼って視界を補完している。
（厳密に言えば既に呼吸も止まっているが、セラミック皮膜との同化で生命維持が可能になっているらしい）
このためリハビリを行っているエヴァノイド・セラコートは、しばしば目だけ淡い光を帯びている。
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【関連補記】
2013年に作成した集合画（現サイトに反映したのは2021年であるが^^;）
セラミック皮膜に密閉処理されたエヴァノイド系実験体のリハビリをイメージして描いたものである。
ＡＳＧシリーズに登場するメタロイド（鉱物娘）のように、全く動けない状態に「固められた」被害者が、
再び活動出来る状態に回復する過程として、リハビリプログラムの設定を作っており、
これをエヴァノイド・セラコートに応用するという発想だが、実は草案自体は2003年頃から既にあった。
2010年頃に描いた3Dイラストとほぼ同じシチュエーションだが、細部を掘り下げており、
人工網膜フィルムによる視界の補完という設定もこの間に生まれた新たなディテールである。
（2008年頃には既にコンセプトがあったが、デザイン上の設定が確立したのが2010年代であった）
因みにこの集合画には左からエヴル、キラ、ヴィナ、ピスが登場している。
同時期にこれ以外のメンバーのキャラ絵も試作しているが、多くが仮着色段階で完成していないorz |
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| ◆ＡＢＣメタロイド同化タンク（2015） |
少女たち４人が服を奪われて閉じ込められたのは、妙に甘い匂いが立ちこめる数ｍ四方の部屋だった。
そして間もなく部屋の天井から、チョコレートに似た粘性のある液体が注ぎ込まれる。
少女たちは不安の表情を浮かべて液体から体を反らすが、液体は部屋を呑み込むように嵩を上げる。
部屋にはドアがなく、天井の穴以外は継ぎ目もない……まるでビンの中にいるようだ。
実際、そこはある実験のために作られた“タンク”だったが、４人の少女たちには全く知らされていなかった。
「何するの、やめてよ、助けて！」
チョコレートに似た液体は間もなく少女たちの下半身を呑み込み、上半身へとせり上がってきた。
麻酔のような成分でもあるのか、嵩が上がると共に足下の感覚が覚束なく、力が入らなくなっていく。
「何これ、力が抜け――あっぷ、ゴボッ！？」
１人の少女が脚がもつれたか滑らせたのか、倒れ込むように液体の中に沈んだ。
しばらく液体の中でもがいていたが、やがて液面は静かになる。
溺れてしまったのか――残された少女たちは更に混乱し、徐々に集団パニックのような空気を帯びていく。
「やだ、助けて――殺さないで！」
「いやぁ、力が抜ける――助けて……ぅぷっ――」
１人、また１人と液体の中に沈み、ショートカットの少女が１人、セピア色の液面の上に残された。
その少女も既に下半身の感覚が覚束なく、液面の水位は既に胸の中央を越えている。
「いや、やめて……お願い、助け――ゴポッ、コプ――」
そこまで言いかけて、下半身の力が抜けた彼女もまた、液体の中に落ち込んだ。
無我夢中で膝を曲げ、上半身を持ち上げるが、もう液面は頭の上にあり、もがいても届かない。
先に溺れてしまった少女なのか、足先に何かが当たるが、どういうわけか人体とは思えないほど「硬い」。
（何これ……先に溺れた子？……うそ、硬いよ、人間じゃないみたい……！）
それが何を意味するのか理解するよりも早く、少女自身の体もまた急激に自由を奪われていく。
手足の動きが止まり、体の感覚が奇妙に変わり、半ば溺れてとても苦しいのに、呼吸まで衰えていく。
（どう、なってるの……苦しい……死にたく、ない……タス、ケテ……ダ…レ…カ……――）
数十分後、少女たちを覆っていたチョコレート色の液面が下がり始めた。
いつの間にかタンクの底に微細な穴が開いており、そこから液体が抜けていったのである。
抜かれる液体も、先ほどのような不透明な“粘液”ではなく、水のようにサラサラと流れ落ちていく。
しかし液体から解放されたはずの少女たちは、既に微動だにしない。
溺死してしまったのか、いや――その姿は、もはや“人間”のそれとはかけ離れていた。
タンクの底には、チョコレートにそっくりなセピア色の“少女像”が４体、音もなく並んでいる。
先ほどまで少女たちが沈んでいたチョコレート色の液体が、そのまま彼女たちを覆ってしまったかのように。
そして彼女たちは、まだ死んではいなかった……死んではいなかったが。
（………？………！………――）
既に思考は止まり、一切の動きはない……まさに彼女たちは、チョコレート色の彫像と化してしまったのだ。
死んではいないが、思考はなく、意識も不明瞭な「生きたチョコレート細工」のような状態に。
口は開いているが既に呼吸はなく、見開いた目にも既に瞳の影はなかった。
膝を立てたショートカットの少女も、既に自分がどういう姿勢で固まっているのかすら、分からなかった。
生きているのかも、死んでいるのかも、既に考えられる状態ではなかった。
このタンクは、ＡＢＣとＭＢＳが関わる、派生的なメタロイド実験施設だったのである。
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【関連補記】
2015年に作成した集合画。
「固めジャンル界」で定番の「チョコ固め」をネタにした絵であるが、チョコ固めそのものではなく、
メタロイドの亜種という設定であるため、あくまでも「チョコレートに似た有機鉱物の石化体」である。
2010年に作成したシェラたちの派生形で、メタロイド・セルロックという分類がこの時確立した。
樹皮の成分であるセルロイドに似た（そのものではないが）有機鉱物のメタロイドという設定であり、
チョコに似ているが溶けたりはしないのである（をぃ）
また脇ネタとして、シェラたちとは違って「微妙に色が濃い」設定になっていたりする（笑）
これはシェラたちの時は「５人で処理された」が、こちらは「４人」であるため、
少女たちの体に浸透した同化溶液の「１人当たりの量」が多かったためという解釈になっている。
そのためシェラたちは「ミルクチョコレート」のような質感と色になっているが、
こちらのキャラ（膝を立てているのがサイだ）は「ビターチョコレート」の質感と色になっているのだ。
因みに最後に抜かれた液体は、成分同化後の“上澄み液”なのである。
イラストは左からメイ、レイ、サイ、ネイに当たる。
ショートストーリーで最初に足腰が立たなくなって同化溶液内に沈んだのがネイであり、
２番目に沈んだのがレイ、３番目がメイという設定だ。
最後に沈んだサイの脚に当たっていたのは、既にほぼ石化しつつあったネイの脚というイメージである。 |
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| ◆ＡＢＣメタロイド同化ベース（2017） |
「――入れ」
１人の“少女”が、真っ暗な部屋に裸で半ば強制的に押し込められた。
「ここは何？」
「聞く権利はない、さっさと入れ」
「ちょっと、待って――」
少女を押し込んだマスク姿の男は、そのまま部屋の扉を閉めて鍵をかけた。
実はこの少女――元々は“少年”である……背が高くグラマーな女性の姿に「改造された」のだ。
そのまま数週間ほど、実験室のような所に閉じ込められていたが、突然呼び出されたのだ。
暗闇の中で、彼は何気なく自分の胸を触った……バレーボール大の膨らみで、柔らかい感触がある。
その一方で下半身には、男性ならあるはずの器官が存在しない。
何もないわけではなく、女性器に似たスリット状の器官が、やや前寄りに付いている。
この姿になって数週間が経つが、今も「グラマーな女性の姿にされた」実感が十分ではないらしい。
意識はまだ、改造される前の“少年”のままなのである。
「――はぁ」
小さな溜息も、女性のように可愛い……“彼”にとっては、そのことも違和感でしかなかった。
「ここは何なんだ…… ――あれ、脚が動かない？」
そして間もなく、彼は自分の脚が動かないことに気付いた……床にくっついてしまったかのように。
そして何やら生暖かい液体のような物体が、脚を這い上がってくる感覚にも気付いた。
「何なんだよ、これ……ちょっと、どうなってるんだよ、早く出してくれよ！」
生暖かい感覚は下半身を包み込み、胸当たりまで這い上がってきた。
温められたローションのような感覚自体はそう悪くないが、このシチュエーションが奇妙でしかない。
しかも包み込まれてしまった下半身は、既に力が抜けるように自分の意思に応えなくなっているのだ。
その時部屋の電灯が付いた――ホッとしたのも束の間、衝撃的な光景が視界に入る。
「――！！？ これって、まさか……！！」
目の前に、今の自分とよく似た、グラマーな体形の、メタリックな“少女像”が立っている。
苦悶の表情を浮かべたまま動きを止め、目には瞳の影がなく、まるで金属人形のように見えるが、
時折足下から震動が伝わって、プルプルと機械的に震えているのが分かる。
色合いこそメタリックだが、実際にはラバー人形のようなものらしい。
しかしその異常なディテールは、嫌な予感しか感じさせない……これはただのラバー人形じゃないのでは。
下半身が上手く動かない中で、首を捻ると、似たような少女像が他にもいることに気付いた。
１人は膝をつき、１人は立っている……目の前にいるのを含めて、視界には３体の少女像が見える。
立っている方は後ろを向いているが、膝をついている方は苦悶の表情を浮かべた横顔が見える。
その足下はよく見えないが、膝下から床と１体化しているようにも見えるのがこれまた奇妙だ。
そして何気なく自分の胸元を見て、更なる衝撃を覚えることになった。
「――！？ これって、そんな……ウソだろ！？」
既に胸の上まで上がっている生暖かい感覚の正体は、水銀のようなメタリックな液体だった。
そしてその色は、視界に見えている３体の少女像と、全く同じなのである。
既に自分の意思を反映しない下半身が、それが何を意味するのか、残酷な可能性を突きつける。
「そんな、イヤだ……こんな状態になんて、なりたくない！」
だがメタリックな液体は容赦なく、伸ばした腕を包み込み、首筋から頭に近づいてくる。
両手が包み込まれるや否や、その指先からも力が抜けていくのを“彼”は感じた。
「やめろ、イヤだ……君らも、こんな仕打ちを認めるのか、何か言ってくれよ！」
周囲に見えている少女像に訴えかけるが、反応はない……機械的に震えるが、自発呼吸は見られず、
意識があるのか、いや「生きているのか」さえ、定かではない。
そしてついに、メタリックな液体が頭部に達した……髪を覆い、顔を回り込むように目や口に押し寄せる。
「やめろ、イヤだ……助け――ゴブッ！？ カパッ、ヴァッ――！！」
液体が目を包み込んで視界を暗黒に変え、口の中に押し込むように入り込み、容赦なく喉に潜り込む。
しかも下半身からは、明らかに肛門など、別の穴から何かが染み呑んでくる感覚があった。
液体に包まれた口は上手く動かせず、言葉にならない呻き声しか出て来ない。
「ヴァッ、ア”ッ……ヒュ―― （イヤだ、助けて……呼吸が！？ 苦しい！！）」
そして間もなく呼吸も止まった……潜り込んだ液体が、食道や気管を包み込んでしまったらしい。
瞼の隙間や鼻の穴の奥にも液体が入り込み、生暖かさと痛さが同時に襲ってくるが、
全身は力が急速に抜け、もがくことさえかなわない。
そして“彼”のやけに黄色い、本人にも違和感のある叫び声が失われて、数分ほどが経過した。
さっきまで、「グラマーな女性の姿に変えられた元少年」がいた場所に、メタリックな少女像が立っている。
足下は床と半ば同化し、上がってくる震動に機械的に震えるが、自発的な活動の兆しはない。
周囲には似たような４体の少女像がある……“彼”の背後にも、膝を立てた少女像が１体いるようだ。
しかし、“彼”にはもはやそれを認識する術はない……体の自由も視界も、そして呼吸も失われてしまった。
（……！？……！！……、……）
まだかすかに意識は残っているようだが、思考は停止し、感情の発露だけがある状態のようである。
自分が周囲に見えていたメタリックな少女像と「同じ姿になってしまった」という現実を認識出来たのか、
それさえも、既にこの段階では客観的に把握することがかなわなくなっていた。
目から瞳の影が消え、苦悶の表情を浮かべたまま固まったメタリックな顔が、無機質に震えるだけである。
事情を知らない者が見ても、悪趣味なラバー人形としか思われないだろう。
このラバー人形がほんの数分前まで、少年の意識を持ったグラマーな女性という“人間”だったことなど……
ここはネヴァダ山脈の地下にある、エグゼクターの生物兵器研究拠点ＡＢＣの実験室の１つ。
セラミック粉末を練り込んだメタリックなラバー樹脂を用いた、新型のメタロイド研究が行われていたのだ。
しかしそれが表沙汰にされるには、“彼”の変異から更に10年以上の時間が必要であった。
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【関連補記】
2017年に作成した集合画（ただし2018年に加筆修正したものである）
「固めジャンル界」で時折ある「ラバー固め」をネタにした絵であるが、単にラバーで拘束しているのではなく、
セラミック粒子を内包するメタリックなラバーと「同化した」メタロイドの変化形である。
実は1999年頃にも類似のキャラがいるが、設定が確立したのは2010年代に入ってからだった。
「生きたラバー人形」なので、他のメタロイドのように硬くはないが、自力で動くことは出来ないのである（鬼）
（厳密に言えば解放後に「活性化される」設定だが、この絵の時点では動けないのだ）
イラストは左からフィーム、ケイム、ランス、テム、テオに当たる。
しかもこの５人はエヴァノイド・セラコートと同様に「ＴＳキャラ」でもある（爆）
強制的にグラマーな女性の姿に変えられた“元少年”をラバー人形に変えた悪趣味な実験なのだ（爆砕）
実はいちおう“強化人間”としての設定もあり、体が柔らかいのはもちろんであるが、
しかし「サバイバルナイフを通さないほど結合が強い」ため、実はとても打たれ強いのである。
ただし自力で動くには活性化処理に加えて、「意識伝達用のワイヤー回路」を埋め込む必要がある設定で、
処理される前の状態では自力活動どころか「意識も封印される」設定だったりもする（鬼）
セラミック結晶を含有するため「単体では絶縁効果がある」設定なのである。 |
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| ◆エヴァンス・コミュニティ・ゾーン（2019） |
南米ボリビアの小さな盆地にあるアンデス・ミュータント・コミュニティセンター。
そこには2000年代から世界に現れた性変動ミュータント、エヴァンスの大規模な交流拠点が存在する。
この種の交流拠点“エヴァンス・ゾーン”は他のミュータント・コミュニティセンターにもあるが、
最も大規模なものがアンデス・センターにあり、敷地全体の３分の２を占めていると言われている。
（他のゾーンは“交流施設”の域を出ないが、エヴァンス・ゾーンは“リゾート公園”に等しい規模があるのだ）
素体（裸）でいる時の方が能力発揮に制約がなく、開放的な気分になるエヴァンスの気質を反映し、
交流を広げるために敷地内には複数の大規模な“沐浴場”が作られている。
水深の浅い温水プールのような設備であり、古代ローマの大浴場を思わせる半屋外の構造を持つ。
こうした沐浴場が、エヴァンスにとっては重要な「社交の場」となるのだ。
時に2025年――第２次エヴァンス大爆発を経て、人類社会にもミュータントの知識が浸透してきた頃、
アンデス・センターにあるエヴァンス・ゾーンの沐浴場も一層の賑わいを見せていた。
エヴァンスは女性的な容姿で共通するが、肌の色や髪の色は多様で、赤や青の肌も存在することから、
まさに異世界の風景を作り出しているところがあり、多くのエヴァンスは男児を起源とするために、
女性ヌーディストの交流拠点とは、また違う独特の雰囲気を持っているのである。
男児の感覚を残す気が強い個体も多く、そうでなくても中性的な人格の持ち主が多いからだ。
この日はアンデス・センターの“広報委員長”である、イール・アノグレスの姿が見える。
初期のエヴァンス変異体の１人で赤い髪とオレンジの肌が特徴であり、ピアス・アノグレスの“元・兄”だ。
浴場内に立っている赤い肌のエヴァンスはレオス・フレウス、鮮やかな紫の肌はヴィレス・カール。
共に同一色相の髪や肌を持つモノキス系統で、レオスとヴィレスは出身地も近い（共に中米出身だ）
その後ろにいる青白い肌のエヴァンスはアロン・リシェードで、北米からこの地を訪れている。
ほぼ中央には日本からやってきた相澤実の姿も認められる。
“彼”も初期のエヴァンスであり、ジャパン・ミュータントセンターのこちらも“広報委員長”として有名だ。
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【関連補記】
2019年に作成した集合画で、珍しい“フル３Ｄシーン”である（そのため結構重い^^;）
南米ボリビアにあると設定している、アンデス・ミュータント・コミュニティセンターのエヴァンス・ゾーンで、
エヴァンス設定特集の種族挿絵（シークレット仕様）として作ったイラストでもある。
合計12名のエヴァンス個体が登場し、全てに固有のキャラクター設定がある。
（これだけのキャラクターが１枚の絵に登場するのも、何気にウォルベの挿絵イラスト以来である^^;）
ショートストーリー本文にあるように、設定上2025年に撮影されたということになっており、
その時代に誕生していないエヴァンス個体は、実は画面に登場していない。
……まぁ2022年の第２次エヴァンス大爆発より後に変異した個体は、全体に少数なのだが（汗）
左手前からレオス・フレウス、クレイ・リーアン、イール・アノグレス、
その後方（第２列）に相澤実、ヴィレス・カール、ヴァイラ・ギルバート、
更に少し後方（第３列）にアリアス・リーとアロン・リシェードを配置しており、
沐浴場のアウトラインを縁取る通路には大島卓、ラック・フェリウス、ヴィノ・エリスを配しており、
最後方（やや上の小道）にフェイル・クロイスを置いて画面を引き締めている。
アジア系の肌色と黄色い肌が“多数派”だが、様々な肌の個体がいることが分かる（笑） |
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