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★ＧＤＷ裏社会概論 統合ナンバー：TX-T13 |
ＧＤＷ世界観は、銀河社会という惑星と種族を超えた、銀河規模の大規模な文明共同体を持っており、
（銀河社会という用語は１つの国家や星間連合ではなく、複数の勢力が重なり合う社会的総称の意味で存在する）
この銀河社会を中心に様々な物語が繰り広げられている。
銀河社会は基本的に理性を重視し、平和的な種族間共生を常識としており、
これを実践し、銀河社会の安定を実現するために、独自のルールを遵守するスタイルを取っている。
そんな銀河社会にも、健全なルール遵守とは縁の少ない（あるいは意図的に無視する）世界が存在する。
いわゆる“裏社会”または“地下世界”と呼ばれる環境であり、テクトラクタのスラム地区など、
治安が不安定な場所を拠点として、反社会的かつ違法な取引が行われるケースが少なからず存在する。
幸い銀河社会がこうした裏社会の住人に支配されることは基本ないが、矛盾を抱えた問題となっている。
◆マフィア組織と過激派組織
理性を重視し、平和な種族間共生を実現した銀河社会にも“裏社会”は存在する。
銀河社会の全体的な秩序を脅かすほどに肥大化するケースは基本的に稀だが、潜在的なリスクと言える。
こうした裏社会は、文明社会の発展過程でほぼ必然的に形成されるものであるため、
（知性が生産者から消費者に進化し、開発者となる過程で良く、自意識や欲望が強く暴力的になるためだ）
ある種の宿命と言える現象であり、銀河社会においてもその宿命と無縁ではいられない。
裏社会を根城とする、代表的な組織の１つがマフィア組織である。
マフィア組織は裏社会における取引を行い、またそのやり取りを監視する“元締め”として存在し、
社会秩序が無法化しないためのバランサーとしての役割がある、１種の“必要悪”の側面を持っている。
財源を得るために違法な取引に関わることが多いが、裏社会の“行政組織”でもあるのだ。
そのためマフィア組織にも様々な個性が存在しており、テロリスト並みに強硬な行動を取る勢力から、
銀河社会の“表世界”と連動し、時に社会問題の解決に尽力する役目を果たす勢力もある。
１方、いわゆる過激派組織も、裏社会を根城とする代表的な組織である。
反社会的で過激な行動を正当化するため、殺傷事件などの犯罪事案に関わることが多く、
いわゆるテロリストと呼ばれる場合はほとんどがこの過激派組織である（厳密にはイコールではない）
ただし中には、マフィアの性格を併せ持つ過激派組織や、表世界で別の顔を持つケースもある。
大手を振って表世界を歩ける組織ではないが、隠れ蓑の選択肢は幾らでもあるのだ。
ただし銀河社会の治安組織（警察や軍隊・義勇組織など）も、こうした暴力性を内包する組織に対し、
決して無力であるわけではなく、抑止するために様々な対策を取っている。
銀河社会がこうした裏社会の住人に制圧されないのも、治安組織の抑止力が機能しているからなのだ。
また銀河社会の主力である開発者は、基本的に理性的で感情の暴走を恥じることが常識であるため、
暴力的に振舞う無頼が表世界にいれば、治安組織を待つまでもなく対処できる程度の知識はあるのだ。
（自ら鎮圧に動くばかりではなく、迅速な通報や退避により、被害を抑える行為を含む）
主なマフィア組織（過激派組織は別ページ参照）
◆宇宙海賊と漂流武装組織
理性を重視し、平和な種族間共生を実現した銀河社会にも“犯罪集団”は存在する。
多くの場合はマフィアや、その過程にある詐欺集団などであるが、中には主だった拠点を持たず、
星間宇宙を漂流しながら、略奪行為やテロ行為を繰り返すケースも存在する。
この前者が宇宙海賊であり、後者が漂流武装勢力である。
宇宙海賊（宙賊）はその名の通り、星間宇宙で略奪行為を繰り返すギャング集団である。
拠点を持たずに漂流するため、行動範囲が広く、また高いサバイバル能力を持っていることが多く、
ほとんどの場合はローカルな犯罪組織だが、稀に銀河を越えて暗躍し、テロ組織並みの脅威性を持つ。
構成員（戦闘員）のザイオノイド比率が高い場合、列強軍クラスでも手こずることもあるようだ。
１方海賊と名乗るものの略奪行為は少なく、冒険性を重視する“前向き”な集団も例外的に存在する。
漂流武装勢力はその名の通り、星間宇宙を漂流する強硬な武装勢力であり、
宇宙海賊と被ることも良くあるのだが、一般に宇宙海賊よりも大規模な“過激派”として振舞う。
中には擬似国家とも言うべきシステムを持ち、覇権拡大を意図して活動するケースもあり、
宇宙海賊よりも強大な軍事力を持つことが多いため、星間紛争の当事者となることも少なくない。
銀河列強クラスの正規軍ともなれば、こうした組織の撃退も可能なのであるが、
少なくない犠牲を覚悟する程度には手強く、その紛争事態が銀河の歴史に影を落とすこともある。
理性的な平和秩序である銀河社会では、こうした海賊や武装組織に対しても十分な抑止力を持ち、
彼らによって銀河を無秩序化されるリスクはそれほど高くはないが、さりとて全くないわけでもなく、
中には列強軍と互角に戦えるほど強大なケースもあるため、侮れない存在なのである。
（「銀河炎上事態」を引き起こすヴァーツの機動師団も、広義の漂流武装勢力の１つである）
◆非合法研究組織と秘密結社
知性発展の過程で、暴力的に振舞いがちなゾアクロイド種族が出現することがあるように、
組織の発展過程においても、銀河社会に影を落とす“非合法性”を帯びることが時折存在する。
お世辞にも人道的とは言えない生物兵器の研究や、違法ドラッグなどの開発や売買に関与し、
銀河社会の安定を阻害する組織も存在し、暗躍していると言われている。
タイランタ連邦に属するＴＢＬのように、こうした非人道的な機関が軍事国家に支えられることもある。
銀河社会では他個体侵害行為に相当するため明らかに違法だが、無視されることもあるのだ。
こうした裏社会の研究組織、または秘密結社の中には、科学的な研究をする組織だけでなく、
魔術を含む波動制御術式の研究や、哲学的な探求を行う組織も存在する。
現実世界のテロ組織の背景にしばしば宗教があるように、思想面に特化した秘密結社もあるのだ。
例えばその代表格が、魔神オメガが主催すると言われている“闇の使徒”である。
この組織は“闇属性の追求”とそれを実証するための挑発・扇動行為を主に行っており、
多くの警察機関からマークされているが、単独で列強と交戦可能な軍事力は保有していないのだ。
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【Meking Memo／設定補記】
1990年代からイメージ自体はあったが、具体化したのは2000年代以降である。
ＳＦやファンタジーに限らず、異世界創作では定番とも言うべき“悪役組織の土壌”の解説であるが、
理性的で平和を重視する銀河社会のコンセプトと矛盾しないように、バランスを考えているのが特徴だ。
ＧＤＷ世界観は欲望に満ちた暴力的な組織が、世界を支配するような構造ではないからである。
多様性の１面としてそうした悪役組織も認めるが、あくまでもイレギュラーという考え方であり、
チート級に強大な悪役勢力が、銀河列強を滅ぼして成り代わるような事態はほとんど想定していない。
例外的なケースもないわけではないのだが、あくまでも例外的なケースであり、
大多数の裏社会組織（マフィアや過激派）は、表世界の治安組織で抑止可能という設定になっている。
異世界創作では我が物顔に振舞う魔王キャラやその支持団体を、選ばれた英雄が撃退するような、
“ヒーロー依存”の世界観が多いため、ＧＤＷ世界観はそうではないことを強調しておく。
星間安全保障概論にも書いているように、ＧＤＷ世界観はヒーローに依存する構造ではないのである。
この辺りは世間の異世界創作の“ステレオイメージ”に流される人が多いため釘を刺しておく。
裏社会の住人や、そこで暗躍する暗黒面の持ち主も肯定するが、あくまでも多様性の１側面であり、
その多様性に基づいて様々な風景を描き出すことが、ＧＤＷ世界観の創作目標なのだ。
ところでマフィア組織を“必要悪”として扱っているのは、単なるダークヒーローへの憧憬ではない。
これは日本のマフィアである“ヤクザ”の歴史を分析したある研究者の説に基づいており、
ヤクザの原点が「暴力団」ではなく、むしろ「自警団」のような役割を持っていたことに由来する。
（「海賊」の原点が、しばしば海運を監視する「水軍」であったのも似たようなものだろう）
正規の警察組織が、全国の治安維持を専門的に任され、それが概ね可能になったのは近代以降のことで、
それ以前は警察機構と連携したり、時には独断で治安維持を担当する民間組織があったようだ。
こうした民間の統治機構の役割が近代以降に薄れたことで、彼らの社会での立ち位置が失われた結果、
「生き残り」を模索する過程で「裏社会」や「反社会」に身を投じたケースが多いと言われているのである。
つまりマフィア組織は最初から悪だったのではなく、社会発展の過程で生まれ、ある時代に活躍したが、
やがて不要なものとして削ぎ落とされ、“闇に墜ちた存在”だったということである。
これはＧＤＷ世界観における、破壊者やゾアクロイドの定義と似たところがある。
ＧＤＷ世界観における破壊者やゾアクロイドは、ファンタジーや神話における魔物や悪魔に相当するが、
一神教における神話のような“絶対悪”ではなく、「進化のイレギュラー」として捉えている。
メンタルが十分に発展していない状態で「強大すぎる力」を得たなら、暴走もあり得たはずなのだ。
子供に本物の銃やナイフを持たせたら何が起きるのか、想像できない人は少数のはずである。
そして銀河社会は、こうした「発展過程の必然的な闇」も、可能なら受け入れる社会でありたいのだ。 |
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