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★ＣＲＹＳＩＳ ＵＮＤＥＲＷＯＲＬＤ 統合ナンバー：EX-ATT18501R（AQC24301R） |
（注）当ページには年齢制限情報が含まれております、ご注意ください。
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地下組織アクエリアスの役割は、謀略集団エグゼクターに対抗するだけではない。
世界各地で生まれた特殊なミュータントや、人体実験の被害者を保護するという役目もあるのだ。
そのため拠点があるアクエリアス・センターの地下に複数の保護施設が整備されており、
そしてその１角には、複合的な入浴設備なども作られている。
もちろん保護したミュータントや、ジェネティックの“元実験体”のために作られた設備である。
そう広いものではないため、改装で何度も増築されており、2034年に更に全面的に改装された。
そのジェネティック元実験体向けの共同浴場に、白磁のような質感の３人組が体を洗っている。
メタロイドのミオ、ティア、アイだ……いずれも2010年にＭＢＳ関連施設で“石化”されており、
その８年後の2018年にアクエリアスに保護されたものの、意識が戻ったのは2037年と、
石化されてから27年も後のことであった……その間に「人間だった時代」の記憶も欠如しており、
今の名前は意識を取り戻してから、新たに与えられたものである。
（ティア、背中はあたしが流そうか？）
（え、いいの？ 助かるよ……まだ肩が上手く上がらなくてさ）
スポンジシートで体を洗っているのがティアだ……その横からアイが話しかける。
話しかけるといっても肉声ではなく、テレパシーともいうべき“心の声”なのであるが。
メタロイドは肉体的には「ほぼ石像」のため、肉声を出せないケースが多い。
しかも３人の体は強固なセラミック結晶に置き換えられているため、絶縁性が非常に高いので、
耳の穴に荷電結晶体を埋め込んで初めて、意思疎通が可能になるのだ。
更に目の部分にも人工網膜フィルムを貼っている……そのままでは目も見えないのだ。
瞳の影がないために視線の方向は分からないが、他の部位とは少し色彩が違うのが分かる。
人工網膜機能の起動中は、フィルムが淡く発光するためである。
（あ、いいな……あたしも流して欲しいですっ）
（おっけ、ちょっと待っててねミオ、順番だからさｗ）
時に2043年――３人が他の同志と共に意識を取り戻してから、６年が経っている。
人間に戻ることはかなわないが、自分の意志では動けるようになった。
ただ意識が戻ってからすぐに動けるようになったわけではない……リハビリの時代が数年あった。
そしてティアが言うように、今も完全に自由自在ではないのである。
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ＣＲＹＳＩＳ ＵＮＤＥＲＷＯＲＬＤ
クライシス・アンダーワールド 狂気の殿堂
アクエリアス・センター 〜ジェネティック保護区画2043〜
（※アンデス・ミュータントセンターのエピソードを含む）
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ほぼ同じ頃――南米にあるアンデス・ミュータントセンター。
その奥にあるミュータント向けの医務室で、新たに“復元”された“元実験体”が休んでいる。
“元エヴァノイド・フリージス”のラングである。
2025年にＡＢＣの人体実験で象牙質の体に“硬化”された実験体の１人であり、
２年前――2041年にボリビアの山岳地帯にあるＡＢＣの地下施設から保護された。
そう……ちょうど竜王有志が展開していた時、アンデス地震の最大余震によって崩壊した施設だ。
復元処理を受けたラングは、外骨格を身にまとう女性型のエイリアンのように見える。
象牙質の体組織硬化の“名残”であり、皮膚の１部が硬質の外殻となって残った状態なのだ。
ただし関節を中心に、全身の半分ほどはフレッシュな皮膚組織が復元されており、
そこからじっとりと汗がにじんでいる……硬化標本にされていた時は剥製のように乾いていたが、
復元によって新たな体液が生成され、その１部が汗に変わっているのだ。
そのラングに寄り添うように、横のイスに腰掛けているのが、エヴァノイドのアレムである。
ラングと同じく“元エヴァノイド・フリージス”で、同様に皮膚の半分ほどが外骨格化している。
ラングもかなりグラマーな体形だが、アレムは更に大柄で身長は180cm以上ある。
目は淡い光を帯びる人工的な色彩を持っているが、実は実際に“義眼”を移植されている。
これは硬化処理されたエヴァノイド実験体は、眼球が小さく萎縮して機能を失ってしまうためだ。
復元されてもここだけは再生されないため摘出手術と共に義眼移植を受けたのである。
ゆえに――さっき復元されたばかりのラングの眼窩には、まだ虚ろな穴が開いている。
（画像予定）
ラングは過呼吸に近い荒い息をしている……つい30分ほど前まで“硬化標本”の状態であり、
実は息もしていなかった……復元で実に18年ぶりに呼吸を取り戻した形だが、
自然なテンポを忘れてしまった上に、復元直後の急激な回復をカバーするために息が荒いのである。
「あ”……う゛ぁっ……あっ……」
ラングは喘ぎながら、震える口をパクパクと動かすが、まだ上手く喋ることが出来ない。
呼吸や声帯は回復しているが、まだ舌が十分に回復しておらず、筋肉が弛緩した状態なのだ。
復元後の回復は脳や心臓など中枢的な器官から進むため、末端まで行き渡るには時間がかかる。
手足の筋肉も“後回し”のため、体は細かく震えるが、まだ手足を満足に動かせない。
「大丈夫、ボクはここにいるよ、ラング……安心して」
（……あ、アレム……？ ぼ、ボク……どうなって……）
テレパシーとも言える“心の声”でラングが呟いた……エヴァノイドにはこういう能力もある。
もちろんアレムにも同じ能力が備わっているが、アレムはあえて肉声を使う。
ラングもすぐに、声を取り戻せると示唆させるためだ。
「復元処理は成功したよ……でもまだ筋肉がしびれているみたいでね、もうちょっと待っていて」
アレムがそう言ってラングの手を取ると、ラングは震えながらもその手を握りしめた。
まだ力は弱々しいが、それでも自分の意志で指を動かせるようになったのだ。
（アレム……体が、熱いよ……何も、見えない……！）
「目は繊細な器官だから、そのままでは復元できないみたい、でも見えるようにしてくれるよ。
ボクも同じだからね……最初は何も見えなかった」
（そ……そう、なんだね……あ、あの……アリナスや、リネアは……）
「アリナスとリネアは、まだこれから復元される予定だって……でも、もうすぐだよ」
（……そう……は、早く……動けるように、なると良いね……）
汗びっしょりになりながらも、ラングの口元に、小さな微笑が生まれた。
目には穴が開き、眼球がないように見えるが、よく見ると白濁した小さな球体が奥に見える。
この濁ったビー玉のような物体が、元々眼球だったものだ。
体を復元しても眼球だけは戻せないようで、ラングは今の段階では光を感じることも出来ない。
体の方が十分に回復したタイミングを見計らって、義眼移植処理が行われるだろう。
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10数分後――アレムは医療設備の別の部屋を訪れていた。
ここは２年前に保護された、エヴァノイド・フリージス実験体の臨時保管庫になっている。
アレムたちを保護したのはアクエリアスの工作組織である竜王だが、
日本にあるアクエリアス・センターに移送するのは手間がかかることから、
アンデス・センターの医療設備の１部を間借りして、復元までの間保管する契約を結んだのだ。
センターの役員にはアクエリアスと縁深い者もいるため、快諾したようである。
立位で硬化されている数体の元実験体のうちの２人が、アリナスとリネアである。
体はベージュがかったアイボリーの彫像のようで、皮膚に細かい筋が入っているのが特徴である。
ラングがそうであったように、眼球は萎縮しているため、眼窩は虚ろに凹んで見える。
こちらは今も全く動かず、呼吸も戻っていない状態だが――
（……アレム……ラング……は……？）
 
（さっき復元が終わったよ……もちろん成功さ、失敗なんかさせるもんか）
（……ヨ……カッ……タ……）
２人はたどたどしいながらも、念話能力によって、アレムとコミュニケーションを取れる。
“硬化標本状態”では呼吸がないだけでなく、実は脳も硬化しているため、
通常の化学反応によって脳機能を使うことが出来ないため、思考停止を強いられることが多いが、
２人はアレムに触発されて「意識で思考する」能力を発現させているのだ。
これはメタロイドなど、脳を持たない種族にも見られる、波動能力の応用スキルの１つである。
因みにアリナスたちはまだ耳が聞こえないため、アレムもここでは念話能力で会話している。
実際――アリナスたちから少し離れたところに保管されている別の元実験体たちは、
その半数ほどが既に意識を取り戻しているが、まだ思考能力を復活させられていない状態にある。
アレムたちとは「言葉を交わすことが出来ない」が、感情で何とか意思疎通は可能だ。
アレム自身、思考が止まっていた時期があるため、彼らの意志も何となく読み取れるのである。
他者が見れば、眼窩の凹んだ不気味な象牙細工の女性像が並んでいる部屋だが、
アレムにはそういう感覚はない……ここにいるのが全員“同志”だと知っているからだ。
（リネアの言葉もかなりハッキリしてきたね……もうすぐ復元可能になるんじゃない？）
（……だと……良いけど……大丈夫……かな……？）
（……ボク……フク……ゲン……デキ……ル……カナ……）
（アリナスも、訓練していたらもっとイメージが鮮明になるはずだよ……大丈夫、諦めないで）
（…………、…………！）
（心配だよね、分かるよシル……でもすぐに、ボクみたいになれるはずだ）
（…………、…………？）
（気弱にならないで、シルはいつも気丈じゃないか）
（…………///）
横たわった姿勢で硬化されている10数体の元実験体のうち、ひときわ意識が鮮明なのがシルだ。
アリナスたちと同様に全く動くことはなく、呼吸もしていないが、
そこには“女体化改造された元少年”の意識があり、思考こそないが感情の発露が活発である。
アリナスたちとは少し質感が異なり、硬化した肌には金属のような光沢がある。
実際に象牙よりも、金属粒子を含む陶器に近い成分を含んでいると考えられているタイプだ。
（…………、…………）
（そうそう、ファンももっと色々イメージするようにしなよ、昨日より良くなってるから）
（…………？）
（嘘なんかつかないよ、自信を持ちなって）
こちらはファンと呼ばれる元実験体だ……この個体もシルに次いで気が強い。
傍目には光沢のあるマネキンの裸体がずらりと並んでいるように見えるが、いずれも元人間で、
しかも“元少年”から改造処理を受けたエヴァノイドなのである。
因みに個体名はアクエリアスの有志たちの協力を受けて「後から付けた」ものである。
アレムを含めて、エヴァノイド・フリージス実験体は15年以上“放置”されてきたため、
“少年時代”の記憶はほとんど失われており、自分の元の名前も覚えていないことがほとんどだ。
復元処理で思考を活性化させられる程度には脳も回復しているが、
記憶を司るシナプスの１部が劣化して回復していないのも、記憶を失っている理由の１つである。
そのため自我を再構成するためにも「新たな名前」が必要なのだ。
もちろん意識が戻っていない個体には、暫定的な名前しか与えられていない。
意識が戻ってから、あらかじめ用意していた幾つかの名前を提案し、本人に選んでもらうのだ。
そうすることで、意識がより鮮明になり、回復しやすくなるためだ。
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更に数十分後――アレムはセンターのサブロビーのソファに座り、休憩をしていた。
ここはアンデス・センターの複数のゾーンを結びつけるターミナルの１つであると同時に、
エヴァンスの交流拠点であるエヴァンス・ゾーンへとつながる連絡ロビーの１つになっている。
本来のメインロビーは別の場所にあるが、サブロビーが複数あるのだ。
「――アレム、大丈夫？」
「……えっあっ、イールさん」
小さな溜息を聞かれたか、アレムの黄色い頬がほんのり赤みを帯びる。
今アレムに話しかけたのは、エヴァンス・コミュニティの“役員”であるイール・アノグレスだ。
アレムを気遣いながら、イールがアレムの向かいのソファに腰を下ろす。
エヴァンスの貫頭衣のような衣装“エヴァンス・ガウン”からオレンジ色の素足が見える。
バスローブのようにも見えるこの白い衣装は、センター内を移動する際にエヴァンスがよく着る。
エヴァンス・ゾーン内に入った時にすぐ脱げるように、簡素な構造になっている。
実はアレムも、今はエヴァンス・ガウンを着ていたりする……ここでの普段着のようなものだ。
（画像予定）
「アレム……キミも被害者なんだから、あんまり気負わないで」
「は、はい……分かっては、いるんですけどね……」
そう言って、アレムは苦笑いした……淡く光る義眼の瞳が、ちらちらと視線を逸らす。
「ボクが最初に復元されたから……ラングやリネアを、リードする義務があると思って……」
「責任感が強いよねアレムは……エヴァンス・コミュニティにスカウトしたくなるくらいだよｗ」
「え……あっいやでも、ボクはエヴァンスじゃないから……」
「エヴァノイドは人工的なエヴァンスみたいなものじゃない、大して違わないよ」
「そうですかね……？」
（――そうそう、細かいことは気にしない方が良いって！）
「えっ……？」
ふと――イールの反対側から、念話の波動がアレムに向けられた。
アレムが振り向くと、灰色の砂岩とチャート石に似た質感の、大小の“石像少女”が立っている。
「アレム、紹介するよ……フィナとシーナ、日本からやってきたメタロイドの有志さ」
「メタロイド……つまり、体が石で出来てるっていう……」
「そう――この２人も、ボクやアレムと同じく、元々は男子だったそうだよ」
「えっ、そうなんですか？」
アレムは目を見開く……膨張する眼窩の中で、義眼が細かく震えた。
（アレムさん、だよね……話はキジアさんから聞いてるよ、ボクはフィナ、宜しくね）
（自分はシーナです……ところでイールさん、有志は言い過ぎですよｗ）
チャート石に似た背の高いメタロイド――シーナが苦笑いの表情を浮かべる。
その横で、小柄な“砂岩娘”フィナが人懐っこそうに笑う……見た目は完全に少女のようだが、
イールが紹介した通り、実はどちらも元々は男児である――そんなんばっかりとか言うな。
（画像予定）
しかも――このシーナとフィナも、エヴァンス・ガウンを着ているのだ。
「そういえば日本から来たって……」
（ボクら、元々は日本人なんだよ……今はこんな成りだけどね）
「はぁ――と、ところで、その服装は……」
（あ、これ？ いやさ、イールさんのご招待でｗ）
（１度、アンデス・センターのエヴァンス・ゾーンを体験してみないかって、言われまして）
そんな言葉を「聞いた」アレムが、再び義眼の視線をイールに向けると、イールは笑った。
「エヴァンス・ゾーンはミュータント御用達のリラックス・ゾーンだからね♪」
「はぁ……」
「良かったらアレムも今からおいでよ、急ぐ用事がないなら、少し“解放”しておかない？」
「うーん……そうですね……」
「――何だぁ、煮え切らないな、ほらほら、早く立ち上がって！」
「えっちょ、ピアスさん、いつからそこに！？」
いつの間にか――イールの“妹”ピアスがアレムの背後に立っている。
ピアスは朗らかに笑いかけながら、しかし半ば強引にアレムをソファから引っ張り上げた。
「ボクら“アノグレス姉妹”に捕まったら、エヴァンス・ゾーンに行く決まりだよｗ」
「えぇっ、いつ決まったんですか！？」
「今さっきｗ」
「そっそんなっ……」
「アレムは行きたくないの？」
「いやその、行きたくないってわけじゃ……あぁあ……」
そしてアレムはそのまま――イールやフィナと共に、ピアスに連行されて行った。
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再び――日本のアクエリアス・センター。
数時間前にアイたちが入っていた入浴設備に、今度は淡いピンク色のメタロイド集団がいる。
ケオ、フィオ、ラオ、ピオ、キオ、セオの“元サッカー部組”である。
2013年にＭＢＳの擬装施設で、エヴァノイド化の上で石化を強いられた“元少年”たちだ。
アイたちと同様、意識を取り戻したのは６年前のことである。
（……何だかなぁ……）
（うん、どうしたんだ、ラオ？）
（いやその……自分正直、まだこの体に慣れられなくって……）
“６人組”の中でも大柄なラオは、ひときわグラマーな体形が映えるのだが、
性格自体は気の強い少年そのものであることから、自分の姿に対する戸惑いが強いのである。
何しろグラマーな女体になっている上、桜色のセラミック像と化しているのだから。
（……今更と言えば、今更なんですけどね？）
（俺はピオみたいに割り切れないんだよ……その適応力、少し分けてくれよ）
（まぁ分かるよ……リハビリに集中してた頃は、そんなこと考える余裕もなかったしね）
（あ、それボクも分かります……何かその……恥ずかしいですよね///）
湯船に下半身を沈めているキオが、やや照れくさそうにそう「言った」。
手持ち無沙汰のように、水面で指を絡める……カチャカチャと小さく無機質な音が響く。
“活性化処理”されて間もない頃はほとんど動かなかった指だが、６年経ってかなり慣れた。
（それにピオが“適応力オバケ”なのは間違いないしｗ）
（ちょっとキャプテン、あんまりですよ！）
（でも“サッカー部再編”して３年は経つけど、リフティング出来るの、まだピオだけだからね？）
（いやいや、ケオ先輩やラオ先輩だって出来てるじゃないですか！）
（……あれは、出来てると言えるのかなぁ）
湯船の中に立って、苦笑いを浮かべる“マネージャー”セオ。
ラオよりは小柄だが、発達した胸部が良く目立つ、コンパクトながらこちらもグラマーな体形だ。
因みに“キャプテン”というのはフィオのことである。
元々サッカー部の部長だったのに加えて、このアクエリアス・センターで活性化された際にも、
改めて「サッカー部を復興」しており、そこでも引き続きキャプテンを務めているからだ。
そんな時――脱衣場の扉がガラガラと音を立てて開かれ、アイボリーホワイトの２人組が現れた。
ケイとミアだ……やはりセラミック質のメタロイドだが、こちらは元々女性である。
先に入浴していた、アイやティア、ミオなどの“同期”で、色彩も彼女らとほぼ同じだ。
“元サッカー部”の６人は彼女らに比べて、やや桜色がかっている……元々は男子なのだが。
（あっ……な、なぁ、女子来たけど……）
真っ先に困惑の表情を浮かべたのはラオだ。
今や自分もあんまり変わらない見た目なのだが、メンタルは男子のままなので戸惑いがあるのだ。
（んー、別に大丈夫じゃね？）
困惑するラオに対して、セオはそうでもないらしい……元々クールな性格なのもあるが。
ただセオも２年くらい前までは、まだ自分の姿に慣れられていなかった。
（そうそう、別に大丈夫だよ……だって、いつも見てるじゃない）
（だよねぇ、前にも時間が被ったことあるしさｗ）
（いや、あれはその……）
ミアたちも全く気になっていない様子だ……見た目に大差がないのに加えて、
今やお互いに「人間ですらない」し、同じ苦労を経験した“同志”とも言えるからだろう。
ケイはラオの目の前でアイボリーホワイトの裸体をさらしながら、普通にシャワーを浴びだした。
彼女は女子だが気が強い性格で、しばしばラオの方が圧されるくらいなのだ。
（あ、ケイさん、ボク背中流しましょうか？）
（おぉ、気が利くねピオ君、じゃあご厚意に甘えようかなｗ）
（……やっぱお前、適応力オバケだよ）
そんな“セラミック娘”の参戦を見たケオが、湯船から桜色の体を引き上げた。
（それじゃ、ボクらはそろそろ上がります、キャプテン？）
（うーん、そうだなぁ）
（気にしないで良いよケオ君、まだ湯船全然余裕あるじゃない、それとものぼせた？）
（メタロイドにのぼせるって感覚あるのかな？）
（どうなんでしょうねぇ？）
（……ピオ、お前なんで当たり前みたいに……いや、もーいぃ）
ラオの体が音もなく、静かに脱力した――もう、どうでも良くなってしまったらしい。
それを見たケオとフィオが、こちらも軽く音のない苦笑をした。
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【Meking Memo／設定補記】
2024年に初めて書いた極秘画廊向けのショートストーリー。
保護されたジェネティック実験体、特にメタロイドの集合画を何個か作っており、
これを１つのエピソードの挿絵としてまとめたものである（笑）
（ついでに新たに複数挿絵を追加しているが）
メタロイド・プロトグラシス系の活性体の集合画が先行していることから、
彼らが意識を取り戻して活性化処理を受けた、2040年以降のイメージで考証しており、
これにエヴァノイド・フリージス実験体の「保護後の情景」を追加した。
廃棄されたアンデス基地のエピソードが先にあるので、実質その後日談となっている。
アンデス・ミュータントセンターが舞台になっているのは、
日本のアクエリアス・センターは南米からかなり遠いことに加えて、
過去にここでジェネティックが保護されるエピソードを試験的に書いたのも背景だ。
日本と南米のエピソードは、同じ時期の話だが直接的にはつながっていないため、
接点を結びつけるのも兼ねてシーナとフィナを“出張”させている。
２人にエヴァンス・ガウンを着せたのもこれが初めてだ（爆） |
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