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★Ｐｒｏｊｅｃｔ Ａｐｏｃａｌｙｐｓｅ 黙示計画 統合ナンバー：EC-X20501（CMS2130722H） |
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一足早く“終戦”を迎えた金芽台。
サイトＧの玄関前に、“鬼人形態”のシドが白い小型ゾイド――デスピオンをずるずると引きずってくる。
彼自身が“焼き殺した”個体ではなく、採石場でラティスが撃破した個体だ。
小型でもトンはあるデスピオンをここまで引っ張ってこれるのは、シドくらいしかいなかったのだ。
その玄関前で、陽炎やスミレが唖然としてデスピオンの“遺骸”を眺めている。
「……何よ、これ」
「うわぁ……こんなのが暴れてたんですか」
沈黙したデスピオンの１体をここまで運び込んだのは、今回の事件の情報サンプルを得るためだ。
金芽台を襲撃した５体のデスピオンで、最も状態が良かったのがこの個体なのである。
３体はシド自身が焼き殺してしまい、１体はカービィが大破させてしまったからだ。
「くっそ、おっも……あーあ、ジーラさんやザラクさんがいればなぁ」
デスピオンの装甲に食い込ませていた太い爪を放し、シドが両手をぶらぶらとストレッチする。
「向こうも今は大変な状況だから、贅沢は言えないだろう」
「龍二さんはともかく、なんでラティスさん手伝ってくれないんだよ、いろんな能力持ってるじゃんか」
「ボクの能力は力仕事に向いてないもん」
そんなやり取りを横目に、黒潮や夕張、瑞鶴も玄関前に集まってきた。
その背後にはルイやルキの姿も、外光を反射してキラキラとした光沢を見せている。
「しっかし、見れば見るほどサソリやね……あのオートロンっていうのとはまた違うんかな？」
「どうなんだろう、やっぱり“生命体”なのかなぁ、深海棲艦みたいに」
（見た目はロボットにしか見えないよね）
（……あたしらも言えた義理じゃないけどねぇ）
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ＰＲＯＪＥＣＴ ＡＰＯＣＡＬＹＰＳＥ
プロジェクト・アポカリプス 黙示計画
★ 第８章 機械獣大進撃 ★
2013年7月22日―世界・異界機械獣紛争其の８
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そして葛西公園のゾイドテロ現場。
崩壊した首都高速湾岸線の瓦礫の中に、白い巨大ロボット“ガンダム”が倒れ込んでいる。
ガンダムをこういう状態にしたのは大型ゾイドのデスザウラーだ。
しかしデスザウラーは間合いを詰めてこない……ガンダムの武器は倒れた際に弾き飛ばされており、
今のガンダムはほとんど無防備に等しいはずなのにだ。
だがそれは警戒ではなく、決定的な“トドメ”をガンダムに加えるためだった。
デスザウラーの背中の集電タービンが再び回転を始める……これで終わりだと言わんばかりに。
まるで狩りのクライマックスを楽しむかのように、デスザウラーはゆっくりと口腔を開いていく。
「ぅわぁ……ガンダムーーーーーーーーーー！！」
大観覧車から“見守る”零児の悲痛の叫びがこだまし、万事休すかと思われたその時、
デスザウラーの後方より高速で接近してくる影があった。
それはさっきデスザウラーの攻撃で倒れていたはずのライオン型ゾイド、ライガーゼロであった。
ライガーゼロはデスザウラーの背後で大きく跳躍すると、
前肢の爪に高エネルギーを纏わせてデスザウラーに躍りかかる。
接近する妨害者に反応したデスザウラーの背中の対空ビームガンが火を噴き、
既に傷だらけになっているライガーゼロの白い装甲を焼くが、加速がついたボディは止まらない。
そして間もなくその爪――ストライクレーザークローがタービンに食い込んだ。
バリバリバリ、と派手な音を立ててタービンのフィンが火花を散らして弾け飛び、
じわじわと光を蓄え始めていた、デスザウラーの口腔が、ブレーカーを落としたように暗くなった。
そう――集電タービンがなければ、デスザウラーは荷電粒子砲を撃てなくなるのである。
デスザウラー自体の動きも鈍くなり、急に老いたようによろよろとした行動を取るデスザウラー。
その隙を見計らっていたかのように、倒れていたガンダムが立ち上がった。
そしてバックパックに手を伸ばす……そこには１本の白い筒――２本目のビームサーベルだ。
目の前の標的が起動したビームサーベルに気付いたデスザウラーがひときわ大きな咆哮を上げるが、
もはや切り札の荷電粒子砲は撃てない……そしてガンダムはその口に、ビームサーベルを突っ込んだ。
デスザウラーの頭部に激しい火花が散り、無人のコクピットのキャノピーが粉々に砕け散る。
その瞬間――キャノピーの下で輝いていた赤い目から光が消え、デスザウラーは力なく両腕を下ろした。
まるで弁慶の最期のように、デスザウラーは仁王立ちのまま機能停止したのである。
最後まで倒れ込むことこそなかったが、もはや戦闘不能なのは誰の目にも明らかだった。
「や……やったの？」
「す……すごい。やっぱり……」
興奮する安室姉弟が眺めていると、ガンダムは落ちていたシールドとビームライフルを拾い上げた。
そして大観覧車の方を向いてじっと立ち尽くす……“目”が合った零児は満面に笑顔を浮かべる。
もはやガンダムが“本物”なのかそうでないのか、彼にはどうでも良かった。
それからおもむろに踵を返し、沈黙したデスザウラーの背後でまだふらつくライガーゼロを横目に、
ガンダムはバックパックを噴射して、来た道を引き返すように飛び去った。
その先には、黒煙を噴き上げるお台場が見えている……向こうでも何かが起きているようだ。
「お台場の方に煙が上がってる……さっきは上がってなかったのに」
「きっと、別の敵を見つけたんだよ」
「やっぱり、あのテーマパークのガンダムだったの？」
「うーーーん……それは分かんないなぁ……」
それを見届けたかのように、今度はライガーゼロが力尽きるように脚を折り曲げた。
デスザウラーのタービン破壊時にビームを食らった所為もあって、その全身から白煙を噴いている。
元々“素体”に近いライガーゼロは撃たれ弱いのだ。
葛西公園の“激闘”が収束したのを見計らったように、警察や自衛隊の車両が何台も集まってくる。
停止した大観覧者に閉じ込められた観光客を救出するために、ずっと機を伺っていたのだ。
そしてその後方――公園の北側でも、まだ数本の灰色の煙が立ち上っており、
最初に出現した場所から公園に向かって、デスザウラーが刻み付けた爪跡がくっきり残っていた。
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そのお台場でも、今まさに激闘のクライマックスを迎えていた。
“敵性ゾイド紛争”の首謀者の１体である、ディスヴェリオンのディグドラスを認め、
単身乗り込んだオーディアンのガンバインは、ディグドラスを援護する“伏兵”と対峙していた。
人間を敵視する異形の金属生命体“バイオゾイド”の１体、バイオメガラプトル。
身長15m、全長35mはあろうかという肉食恐竜型の巨体は、しかし意外なほど機敏であり、
口から放つ火球以外目立った武器がないように見えるが、全身を覆う銀色の“外骨格”は非常に強靭で、
ガンバインのタキオンセイバーを持ってしても、決定打を与えられずにいた。
その表面を切り裂くことが出来ても、内側の器官まで切っ先が到達することがまずなかったのだ。
しかもワイルドな見た目に反して知的かつ戦術的であり、中々隙を見せない。
「人間に対する強い憎悪……ディスヴェリオンと手を組むのもそれゆえか！」
「黙れ、貴様こそ“機械人”のくせに、汚らわしい人間どもを援護するなど、恥を知れ！！」
先ほどガンバインの“先制攻撃”でダメージを負ったディグドラスは、２体の戦闘に加わろうとしない。
いや――密かにバイオメガラプトルの背後を動きながら、あるものに手を伸ばそうとしていた。
それはまさに、先ほど接近戦に際してガンバインが手放した、２基の大型レールガンだった。
間もなくレールガンを拾い上げたディグドラスは、メタリックな顔にニヤリと冷酷な笑みを浮かべる。
「ガンバイン――貴様の報い、この武器で思い知るが良いわ！」
「むぅっ、卑怯な！！」
「こやつが言っただろう、汚らわしい人間どもを援護した、貴様が悪いのだ！」
直後――ガンバインのレールガンの引き金が、ディグドラスによって引かれた。
ガンバインも自らが切り札として持ち込んだ武器には、暗証ロックのプログラムをかけていたはずだが、
それを解除できる程度には、ディグドラスも高いスキルの持ち主だったのである。
僅差でレールガンを交わすガンバイン……その背後で閉鎖されたビルのどてっ腹に大穴が開く。
更にタイミングを合わせて、バイオメガラプトルも火球弾を発射した。
タキオンセイバーで弾きながら間合いを取るガンバインだが、徐々に後退を強いられていく。
機動力には自信があるガンバインだが、“ボス格”の２体を出し抜くのは至難の業だ。
上空でスレームスキュレードと交戦する戦闘機――ハンプトンも苦戦を強いられていた。
何しろ相手はスレームスキュレード１体ではない……援護する“敵”が更に２体もいるのである。
とりわけ好戦的なレイラックの妨害行為は、ハンプトンにとって目障りだった。
見た目こそ“オスプレイ”だが、オートロンであるがゆえにその機動力はテイルトローター機のそれではない。
「無駄だオーディアン、死にたくなければさっさと消えろ！！」
「敵に情けは要らねぇぞスレームスキュレード、早く撃墜しちまえよ！」
因みに“機密奪取工作”に関わった３体のうちの１体、ヴェレーノは既に地上に降り立っている。
小型ヘリに擬態するヴェレーノは打撃力が弱い上、奪取してきた重要アイテムを守る使命があるからだ。
人型に変形を終えたヴェレーノの腕には、水晶に似た多面体がしっかりと握られている。
「そうだそうだ、やっちゃえぶーん！」
「ヴェレーノ、カリオスパークを放すでないぞ……ヴォイスバクター、ゲートを開け！！」
ディグドラスの指令と共に、交差点の真ん中に大きな光のサークルが出現する。
サークルの起点には小さなポリゴンブロックがある……ディグドラスが予め置いていたものらしい。
“ゲート”自体はブロックがなくても生成出来るが、安定させるために要るのだろう。
「ぬっ、グランドゲートか！」
「ガンバインよ、せいぜい苦虫を噛み潰しておけ、これは“革命”の序章となるのだ！
貴様らも適当なところで切り上げて来い、今回の作戦は終わりだ！」
「くっ、逃がすものか、ディグドラス！」
「このバイオメガラプトルが、貴様を簡単に通すと思うか、舐めるなぁ！！」
弾幕を張りながら、交差点に出現したゲートににじり寄っていくディグドラス。
――と、そこに１条のビームが撃ち込まれた。
ディグドラスは咄嗟に交わすが、持っていた大型レールガンの砲身が中ほどから吹き飛ぶ。
そして射線を見やると、そこにはまさに“ガンダム”が立っていた。
「……何っ、お前は、まさか！？」
「ちぃっ、さては貴様もオーディアンか！」
どうやらガンバインもディグドラスも、ガンダムの“正体”にすぐ気付いたようである。
そしてその言葉を受け取るように、ガンダムは彼らの目の前でおもむろに“３つの機体”に分かれ、
それぞれが異なる外観を持つ、より小さなロボットに“変形した”のである。
葛西公園に現れたガンダムは――３体のオートロンが、擬態して合体したものだったのだ。
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「――！？ 今度は何だ！！？」
デスザウラーが沈黙して間もなく、それぞれの戦場では新たな“異変”が起こっていた。
今だ街中に犇くゾイド軍団と対峙していたアッシュ・ハスラムが操るレイズタイガー及び、
セイナ・サフィーアの凱竜騎であったが、その動きに顕著な変化が起きていたのだ。
彼等の前に立ちはだかっていたゾイドの群れは突如として力なく倒れ伏したり、
あるいは棒立ちになってその動きを止めて行ったのである。
中には現れた時と同じように虹色の光に包まれて消滅するゾイドも多数おり、
しかもこれらの現象は東京だけでなく、世界各地の“ゾイド出現地”でほぼ同時に起きていた。
もちろん海上防衛艦隊や艦娘艦隊が対峙していた仙台湾も、
国連太平洋軍とセイヴンらが対峙していたハワイの真珠湾も同様である。
中には飛行中に突然システムダウンし、そのまま墜落したゾイドもいたようだ。
アッシュは今まで戦っていたゾイド達の動きが完全に停まった事を確認し、一息ついた。
「……全機ジェネレーター及びコンバットシステムの停止を確認、何だったんだコイツらは……」
するとその直後、この国の人間達の飛行兵器の部隊が集結し、今度はレイズタイガーを包囲し始めた。
もちろんこれについてアッシュはすぐに、自分の置かれた状況を理解した。
「……ふぅ、仕方が無いか」
アッシュはコクピットハッチを開くと、この国の人間に敵意がない事を示すため手を上げて立ち上がる。
この国――日本の航空隊のヘリコプター編隊も、すぐにその意図を理解したのか、
攻撃を加えることはなく、たたただレイズタイガーの周りを様子を見るように旋回していく。
一方のセイナも自分の機体を包囲する軍に対してはアッシュと同様に両手を上げつつ、
凱龍輝のコクピットから出てきて取り合えず投降の意を示している。
そしてこの状況は市ヶ谷の防衛隊・自衛隊総司令部でも映し出されていた。
「やはり人が乗っていたのか……連絡通りだったな」
「彼等か？ 昨日、江戸川区で保護した少年が言っていたという仲間というのは……？」
樋口や坂元が、モニタ越しに対策を議論していた黒木や武川、麻生たちと顔を見合わせる。
『江戸川区といえば、葛西公園を襲った機械獣と対峙した、新しいロボットも気になりますね』
「現地部隊の報告だと『ガンダムが飛来して機械獣と激突した』というが……どういうことだ？」
「ガンダムって……ＳＦアニメのキャラですよね、お台場に模型がありますが」
「あれはあくまでも模型だろう……うーむ、一体どうなっているんだ、脳の処理が追いつかん」
防衛出動命令が出ている“戦時下”で、クエスチョンマーク症候群に罹患している場合ではないが、
理解が追いつかないものは仕方ない……樋口は今日何度目かの溜息を吐く。
『――司令部、真珠湾の国連軍から、パウエル大佐が連絡事項があるとのことです』
通信兵の連絡に、樋口は表情を変えた……ハワイから通信が来たということは、
今まで世界中を混乱に陥れていた、大規模な“電波障害”がなくなったことを意味するからだ。
「つないでくれ……防衛隊の樋口だ、パウエル大佐、無事で何よりだ！」
『樋口幕僚長、良かった……通信網も急激に回復しているようですね。
真珠湾基地は何とか陥落を回避しています……被害は大きかったですが、最悪の事態は何とか』
モニタの片隅にアイザック・パウエル大佐の映像も出た……やや煤けているようにも見える。
アイザックは将官クラスではないが、国連太平洋軍の外交部で情報交換を担当することも多いのだ。
『世界各地で、突然出現した機械獣が、今度は突然停止したり消滅する現象が起きているようです、
日本はどうなっていますか！？ つながったということは、総司令部は無事のようですが』
「……大佐が言う通りだ、日本も似たような現象が起きている」
戸惑いの表情を浮かべながら樋口はそう言った……坂元や麻生、黒木の表情も同じである。
世界中を突如悪夢の戦時下に叩き込んだ前代未聞の大事件は、今まさに急激に収束しつつあった。
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１方お台場の激闘は、単戦から“混戦”に変わっていた。
ガンバインとハンプトンだけだったオーディアン側に“飛び入り参加”したのはアレクシウス兄弟。
ガンバインの直接の配下ではないが、オーディアンの外部メンバーに当たる。
先ほどガンダムに擬態していた３体のオートロンであり、血縁関係を持つ３人組である。
数の上ではこれで互角になった……ディスヴェリオン側にはバイオメガラプトルという伏兵がいるが。
アレクシウス兄弟の中で最も小柄な“アレイコア”が、素早くゲートの近傍に駆け寄り、
体格が近いディスヴェリオンの工作兵、ヴェレーノの進路を妨害する。
青と赤のツートンカラーが特徴的だ……ガンダム擬態時には“コアファイター”を担当していた。
「ヴェレーノ、カリオスパークを渡せ！」
「やなこったバーカ、誰が渡すもんかぶーん！」
「小僧……出しゃばった真似をすると、スクラップにしてしまうぞ！！」
ヴェレーノの背後でディグドラスが大声を張り上げてアレイコアを威嚇する。
その光景はまさに、ディグドラスの威を借るヴェレーノ。
「ディグドラス、俺たちのことは無視か、舐められたもんだな！」
その横から、更に２体のオートロン戦士――アルトップとダネックスがディグドラスに迫る。
こちらはガンダムの上半身と下半身に擬態していた個体で、アレイコアの“兄”だ。
アルトップはガンダムのビームライフルを構え、ダネックスはビームサーベルを構えている。
ガンダムの半身に擬態していただけあって、２体ともディグドラスと体格が余り変わらず大柄だ。
「ふん――大口を叩くな若造、どうせあの火を吐く大型ゾイドと戦っていたのだろう、程度が知れるわ！
バルザス、レイラック、貴様らも降りて来い、そのオーディアンの相手に３体も必要はない！」
指令を受けて、戦闘ヘリに擬態していたバルザスと、オスプレイに擬態していたレイラックが変形し、
次々にゲートの前に降り立ち、アルトップとダネックスに向き直った。
それを確認するや、ディグドラスも腕の大型ブラスターを展開し、臨戦態勢を取る。
「アルトップ、グランドゲート基部のブロックを壊せ、それを潰せばゲートは不安定化する！」
「させるかよ、オーディアンの犬め！！」
ゲートにビームライフルの銃口を向けたアルトップに、レイラックが踊りかかった。
テイルトローターを高速回転させて、ビームライフルの光線も拡散させる。
実はこの特製ローターは単なる回転刃ではなく、光線を反射するコーティングを施しているのだ。
ライカ戦で使うことはなかったが、それは器用な彼女の手数に追いつけなかったに過ぎない。
１方バルザスはビームサーベルを“２刀流”で振りかざすダネックスに、アウトレンジで対峙する。
デスザウラーの装甲も切り裂いたサーベルも「当たらねばどうということはない」のだ。
バイオメガラプトルも長い尾を振り回し、オーディアンの有志たちを牽制しつつ後退して行く。
「近寄るな、人間に味方するガラクタどもめ、汚らわしい！！」
間もなくディグドラスがゲートのすぐ横に立つ――その瞬間、再びニヤリとした笑みを浮かべた。
その無気味な笑顔に、ガンバインが不吉な予感を感じた次の瞬間。
ゲートの中から巨大な槍のような物体が何個も飛び出し、牽制するガンバインたちを襲った。
「これは……なんだ！？」
「バイオケントロ、良いタイミングだ、そのまま我々が戻るまで援護しろ！」
「ちっ、ゲートの向こうに、やつらの仲間がいるのか！」
槍のような物体は巡航ミサイルのように次々に飛び出してくる。
そしてその隙にディスヴェリオンの戦士たちはオーディアンの有志と距離を取り、
背中を向けたまま次々にゲートに飛び込んで消えていった。
そして最後にディグドラスとバイオメガラプトルが残った――各々の“主砲”を向けながら叫ぶ。
「これで終わると思うなガラクタども、人間を滅ぼすまで我々の戦いは終わらぬのだ！」
「革命は間もなく始まる……オーディアンよ、首を洗って待っていろ！！」
そしてディグドラス自らゲートの基部にあるブロックを撃ち、同時にゲートに飛び込んだ。
ガンバインとアレイコアが突っ込むが――ゲートは見る見る縮小し、消えた。
「くそっ――ディグドラスめ、自らゲートを壊して逃げるとは！」
ゲート消滅を見計らい、上空でハンプトンと交戦していたスレームスキュレードも急速離脱した。
そしてゲートが消滅した交差点に、５体のオートロン勇士だけが残されたのである。
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やはり同じ頃、富士宮市では。
「ふん！ いっちょあーがり！」
エリル・メイオンのケーニッヒウルフは、激戦の末にライトニングサイクスを仕留めていた。
これでこの街の危機はひとまず去ったという事で、
さっさとイズルのホバーカーゴに戻ろうとしたケーニッヒウルフであったが、
こちらでも防衛隊の攻撃ヘリ部隊やＧフォースのサンダーバード部隊が現場に複数飛来し、
今度は眼下で動いている機械獣――ケーニッヒウルフを包囲しはじめた。
「えっ、ちょっと何？ なんなの！？ ねぇイズル！？」
いきなりの事にパニックになるエリル。
思わずホバーカーゴで待機するイズル・ティアリスに助けを求めるが――
「ごめん、こっちもどうにもできそうにない……」
こちらもサンダーバード部隊の包囲網にかかってしまっていた。
全高50mもある巨大構造物であるホバーカーゴなど、空から見ればバレバレなのだから当然であろう。
２人にはこの航空部隊こそ、この国の“治安維持機関”だという事はすぐに理解できた。
という事はこれに歯向かえば、自分達がさっきまでこの街で暴れていたゾイドと同じという事になり、
自分達がこの国でどういう立場になるであろうかという事も何となくであるが想像できる。
流石にそこまでの覚悟はないエリルやイズルにとってこの状況はどうしようもなく、
となるとこちらも残された選択肢はただ１つ。
「すみませーん！！ 私達敵じゃないでーす！！ このゾイドとはかんけーありませーん！！」
エリルはケーニッヒのコクピットを開いてそこから顔を出すと、
出来る限りの大声で自分達が悪者じゃない事をアピールし、
一方のイズルもホバーカーゴの外部デッキに出ると、航空部隊に向かって手を振った。
「はぁあ…… ――ねぇ、あれは君たちの国の治安部隊なの？」
溜息を吐きつつ、振り向いて訪ねたイズルの先には、先ほど地上で出遭った２人の“宝石少女”たち。
彼女たちはまさに――ルイと同じ世界から来た“鉱物娘”のエミとサラであった。
２人はイズルの言葉を受けて、思わず顔を見合わせた後に、申し訳なさそうに首を振る。
（えーと……たぶん、違いますよねサラさん？）
（たぶん、ですけどね……少なくとも記憶の中にはないです、エミちゃんは？）
（あたしもないですよ……ヘリコプターじゃないっぽいですし）
イズルに２人の“心の声”は届いていないようだが、警戒を解いてくれたのは不幸中の幸いだった。
（というか、イズルさん、でしたっけ……この人が言ってる“ホバーカーゴ”も何が何だか……）
（たぶんこの大きな“建物”のことですよね……最初天文台に見えましたけど）
（……これ、もしかして、動いたりするんですかね？）
そうなんです、動くんです、なんせゾイドですから。
因みに地表でイズルを窮地に立たせ、エミたちとの出遭いの原因を作った巨大昆虫――メガヌロンは、
サンダーバード部隊のジェット音を聞きつけて、森の中に姿を消していた。
彼らが小さな群れの個体だったのか、“女王”の配下だったのかは、知る由もない。
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更に同じ頃、上野駅前。
弾痕が生々しい駅前広場に、警察のマイクロバスが停まった。
中から10人ほどの少年と少女が、ゾロゾロと降りてくる。
駅東部の路上で保護されることになった、ホーリーメイデンズと被災した少年たちである。
因みにメイデンズ６人は既に変身を解いており、疲労のために皆どこかぼんやりとしている。
「……また上野駅に戻ってくるなんてね」
「どうも地域の対策本部が、この駅に作られていたみたいね」
同伴したアリシェイルが、苦笑しながら情報を捕捉した――その時。
「――冬雪！！」
「――母さん！？ ……母さん！！」
聞き覚えのある声がして、疲労で半分寝ぼけていた冬雪に覚醒スイッチが入った。
と同時にその声の主にマッハで飛びつく……ホーリーフレア＝夏月に再会した時と同じように。
「良かった……本当に無事で良かった」
「みゃー、おばさん良かったー！」
「皆も無事で良かったです、僕らホント、気が気じゃありませんでしたよ」
「桃ノ木、ずっと駅で待ってたのか！？」
「あぁいえ、最初は線路伝いに避難していたんですが、ライカさんから状況が変わったって聞いて」
三四郎はそう言って、ライカの方に向く……ライカも“地球人モード”に戻っている。
「あの機械獣たちの敵意や殺意が消えたからね、もう大丈夫だって警察や軍の人に伝えたのよ」
「１駅分も離れていないのは幸いでしたね、上野動物園も結果的に被災を免れてますし」
ライカの隣にも背の高い機械の勇士……アリシェイルの同志、ファルレーンである。
「ファルレーンもお疲れ様」
「まぁ、私はライカ捜査官の指示に従って撃ってただけだから……」
「とんでもない、凄く助かったわ……頑丈なオートロンが援護してくれるのはやっぱりありがたいわよ」
「そう言っていただけて光栄です」
「――おぉ、やはり君たちだったか！」
その言葉に振り向くと、警察高官の制服を着た、見覚えのある中年男性が立っていた。
「あれっ、確か金芽台の事件の時にいた……でもどうしてここに？」
男性は“金芽台アヤカシ事件”の時にも現場に立ち会った、大賀警視である。
そしてその隣には、１時間余り前に“雑居ビル脱出作戦”を提案した、明日也少年が立っている。
「“彼”が大きな世話になったと、部下から聞いてね」
「えっ、警視さんのお子さんだったり？」
「あぁいや、そうではないんだが、彼の親戚筋が警視総監でね、面識があるんだよ」
「あぁそう言えば、さっきそんな話を聞いたような……」
「ん、確かに言ったな……大賀さん、お久し振りです」
「小堀川君も災難だったな、無事で何よりだ」
「確かに大変でしたけど……でもまぁ、貴重な経験になりました、夏休みのレポートにします」
大賀に声をかけられたのは、“オタク少年団”のリーダー格、小堀川竜太郎である。
雑居ビルで会話していた時も、最も口数が多かったのがこの少年だ……大賀警視も知ってるらしい。
あの時は不安そうだったが、大賀と会話する雰囲気は、三四郎にも似て優等生的だ。
大賀がここに来たのは、メイデンズの６人に“独自聴取”するためでもある。
彼はメイデンズたちが「異世界から来た」ことを知っている、数少ない警察関係者だからだ。
今も灰色の煙が数本立ち上る上野の空には、サイレンの音がひっきりなしに鳴り響いている。
「そう言えば……お腹空いたな」
そして母と再会して安心したのか……冬雪がぼそりと呟いた言葉に、周囲から笑い声が上がった。
あれだけ駆けずり回ったのだから、きっと今日の食欲はひときわ旺盛だろう。
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午後２時、防衛総司令部。
「どうやら……終わったということかな」
大きな溜息――いや深呼吸をしたのは、防衛隊幕僚長の樋口である。
総司令部の大きなテーブルの向かいでは、自衛隊の幕僚長である坂元が背筋を伸ばしている。
通信が回復した世界各地から入ってきた情報により、暴れていた全ゾイドが停止ないしロストし、
救助隊などが被災した市街地に展開することができるようになっていた。
江戸川区に出現したデスザウラーが無差別攻撃を開始してから、実はまだ６時間も経っていないのだが、
その６時間弱の間に、日本だけでも20ヶ所を越す都市や軍事拠点が襲撃を受け、
更に世界の10ヶ国以上の地域で、突如出現した何十というゾイドが文字通り破壊の限りを尽くし、
翻弄される人類を嘲笑うかのように過ぎ去って行ったのである。
東京湾に展開した防衛艦隊やメーサータンクなど、火力に優れた兵器群は必ずしも無力ではなかった。
都心部にこれらの兵器が投入されなければ、官庁街まで敵の侵入を許したことは想像に難くない。
現にこれら軍部隊が何とか撃破に成功したゾイドもかなり存在するのである。
だが――その“成果”の何倍もの“損失”を被ったことも事実である。
総司令部の窓からは幾つもの黒煙が空に立ち上っているのが見える……怪獣事件の際にも見た光景だが、
今回はこうした光景が、世界規模に及んでいるのである。
軍の被害も甚大だ……兵器の損失や基地の被害だけではない、何より兵士や隊員の犠牲が痛い。
どう少なく見積もっても、数百人単位で兵士が死傷しているだろう。
いや兵士だけではない……市民の人的被害は恐らく、その10倍以上に達しているはずだ。
世界中で見れば、最悪数万人という死傷者を出している恐れすらある。
勃発から収束までわずか数時間だったとは言え、まさに戦争と表現する以外にない大惨事である。
世界中で確認されている怪獣を全て動員したとしても、この時間でこれだけの破壊が出来るだろうか。
「樋口幕僚長……」
「分かっています、坂元幕僚長……戦火が起きれば、こうなることも想定の範囲内です」
決して誰も望んだ事態ではないが、想定できなければ軍事組織の運営など出来ないだろう。
「組織の総合的な再編が必要だと言われた矢先にこんな事態が起きるとは……天を恨みたくなりますよ」
「運を呪っても仕方ない……だがこれで、少なくとも世界は理解したでしょう、今そこにある危機を」
『同感です。こう言っては何ですが、防衛組織を再編する動きに弾みがつくことでしょう』
モニタ越しに語りかけてくる麻生に、樋口は今度は大きく頷いた。
「事態は待ってくれないということがハッキリしました……１刻も早く再編を完了させねばなりません」
「――その件ですが、自分から１つ提案があります」
その声にふと樋口らが振り向くと、総司令部の入口に東郷が立っていた。
少し息が上がっている……シェルターにつながるエレベータから、ここまで走ってきたのだろう。
東郷を含め、政府関係者は防衛出動決定後、シェルターに退避していた。
「東郷部会長……まだ避難命令は解除されていませんよ？」
「分かっています……しかし敵の攻撃は終結したようですし、じっとしている場合ではありません」
「それで、提案というのは？」
「再編後の組織構成について、総司令部で草案を作って頂けないでしょうか？」
東郷の提案に、樋口らは困惑の表情で顔を見合わせる。
「ですが東郷部会長、まだ再編に必要な法案が出来上がっていないのでは？」
「分かっておられるはずですよ、樋口幕僚長。法案の作成を待っている時間などないと」
「確かにそうですが……法を逸脱するわけには……」
「逸脱する必要はありません、ですが法案を待っている時間もないわけです。
今回の事態で、軍の再編が必要だと感じた者は数多いはずです、なら先手を打たねば。
構想を組み上げておけば、法案が可決すると同時に、最も早く合理的にスタートできるはずです」
「なるほど……！」
樋口と坂元は改めて顔を見合わせた……モニタ越しの麻生も頷いている。
「政府内に軍事の専門家はそれほど多くありません、本音は誰もが専門家のリードを待っているはず。
しかし軍事政権でもない以上、表立って軍が主導することは出来ないでしょう。
ですが草案を組み上げておけば、政府もそれを下敷きに法案を組めますし、議会も判断しやすい」
『それは良い案だと思います、Ｇフォースも今あるネットワークを総動員して協力したい。
真珠湾の国連太平洋軍にも号令をかけておきましょう、パウエル大佐もきっと賛成するはずです』
「皆が２度とこんな事態を繰り返したくないと思っている今だからこそ、最大限に動くべきです。
樋口幕僚長、麻生司令官、坂元幕僚長、ぜひ協力を願います！」
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こちらも“終戦”を迎えた仙台湾。
被弾し航行困難になった国連艦隊の艦艇が、タグボートに曳航されて石巻軍港へと帰っていく。
その横に、第３艦隊旗艦のナガトが同じように帰港しつつあった。
ナガトの後部飛行甲板上には、“迎撃作戦”に参加した、６名の艦娘が立っている。
そのまま港まで自力で戻ることも出来たが、参戦を許可した豊田が“回収”を命じたものだ。
午後２時を過ぎ、ちょうど気温が最高になる時間帯であるが、海上を吹く海風が真夏の暑さを和らげる。
「諸君、本当に良くやってくれた」
「いえ……弾薬が十分だったラ、もっと出来たと思いマスが……」
「いいや、十分過ぎる活躍だったよ、まさかここまで戦えるとは正直思ってなかった、済まない」
済まなそうに言う有賀に、吹雪や鈴谷が笑顔を返す。
「有賀艦長に、そう言っていただけるだけで十分ですよ♪」
「吹雪ちゃんの有志も映えてたよね、いつもの装備と違うから新鮮だったし？」
「す、鈴谷さん///」
「けれども……これで、私たちが持ってきた弾薬はほとんど使ってしまいましたわね」
「仕方なかったことだけどな……」
不安そうな表情を隠さないのは熊野だ……木曾も相槌を打つ。
それに対して、今度は村埜が口を開いた。
「その件だけど……フィラデルフィアのクルーが、サポート出来ないかどうか検討しているようだよ。
全く同じ武器ではなくても、近い装備があれば良いんじゃないかってね。
実際今回も、君たちはミフネ副艦長から託された武器を扱うことが出来たわけだから」
「確かに……扱い方さえ分かっていたラ、違う装備でも使えることは、ハッキリしましたネー」
「そうですね……これも１種の“近代化改修”になるのかも」
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そしてこちらも終戦を迎えた立川基地。
司令部で部下から受け取った隊員名簿を見て、武川と黒木が小さく溜息を吐いた。
名簿にはぽつりぽつりと、黄色や赤色のマーカーが引いてある。
黄色のマーカーは今回の負傷者、そして赤色のマーカーは“殉職者”を意味していた。
“死傷者”は基地で勤務する防衛隊と自衛隊、全隊員の実に２割――数百名に達していた。
しかもこれは立川基地だけの数字である……怪獣との交戦でも、中々出てこない数字かも知れない。
もちろんそれは「立川基地自体が戦場と化した」ためでもあったが。
「戦時になれば、誰かが犠牲になることは想定していたが……空しいものだな」
「全くです……それにしても、１度ならず２度までも“本拠地”でこういう事態に遭うなんて」
「力及ばず申し訳ないです……陸上自衛隊は私たちにとっても本拠地なのに」
「いや、収拾に参加してくれただけでもありがたいことだ、気にしなくて良い、むしろ誇ってくれ」
「武川司令の言われる通りだ、君たちが作戦に加わったことでかなり負担が軽減されている」
しゅんと頭を垂れる市ヶ谷愛に、武川と佐津間が労いの言葉をかける。
「そう言えば……高山殿の同志に重傷者が出たと聞いたが」
「キトラ殿のことですね……重傷ですが幸い、命に別状はないようです」
「……確か“機関砲”を食らったのではなかったかね？」
「受けた銃弾の８割以上は弾かれているようでして……等身大の怪獣のような体みたいですし」
黒木の言葉に、武川は静かながら驚くような表情をする。
確かに対物機関砲を受けて、命を持って行かれない存在など、自衛官にとっては非常識だろう。
この辺りは、銃器が効かない生物――怪獣を知っている黒木の方がまだ冷静だ。
武川はぽかんとした顔をしたが、すぐに顔を引き締めた。
「……まぁ、感傷に浸っている暇はないか、東郷部会長が言っていた再編構想を急がねばな」
「そうですね、こんな事態は今度こそ終わりにしなければ！」
そう……“ゾイド紛争”はゴールではない、むしろ“スタート”なのである。
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| （９章１話） |
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【Meking Memo／設定補記】
2013年頃に飛石武氏が投稿したエピソードを監修・再編したもの（2020年以降に書いた成分が多い^^;）
ただし旧ＯＷ企画とは登場人物に変更があるため、ＰＡシリーズでは細部のプロットに修正を加えている。
初期のプロットに大きな変更はなかったが、ハイライトが佳境に差し掛かるほど変更点は大きく、
この“第８話”では旧企画時の草案部分は１部にしか残っていない（苦笑）
収束までの基本的な流れに大きな変更はないが、途中が大きく変わっているためである。
大きな修正点となったのは登場キャラが変更になった上野パートと葛西公園パートのクライマックス、
それに仙台湾バトルや青木ヶ原樹海のシーンとお台場の“ボス戦”が新たに付け加えたパートである。
仙台湾の戦闘シーンはもちろん、新たに参戦した艦娘艦隊の見せ場を作る意図があった。
青木ヶ原のシーンは、原文では途中で忘れられた存在になった（涙）イズルを再確認したかったのと、
ＰＡで“新登場”させることを決めたエミとサラのフラグを確立させる意図があった。
お台場のボス戦も、原文では“様子見”でフェイドアウトしたディグドラスとバイオメガラプトルを、
ガンバインらと接触させることで、因縁関係を強調する狙いがあった。
加えて旧ＯＷ企画でエピソードが確立していたのは、実はこの８章までであり、
旧企画打切りの都合で白紙化された設定はあるが、９章以降の展開は構想段階で止まっていたため、
ＰＡシリーズになって８章が完結したことで、ようやく「新たな展開」を描けるようになった所もある。
８章までは実質的に「旧ＯＷ企画の再編」が作業の主だった目的であったが、
９章からは（構想はあったものの）ようやく「本当の新シリーズ」が始まると言えるのである。 |
