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★Ｐｒｏｊｅｃｔ Ａｐｏｃａｌｙｐｓｅ 黙示計画 統合ナンバー：EC-X20501（CMS2130721C） |
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メイデンズ＆竜王＆学校アヤカシの“美少女戦隊”が、金芽台学校の閉鎖区画で戦闘を開始した頃。
サイトＧでも新たな“出会い”と“対策会議”が始まっていた。
１階の多目的室でテーブルを囲んでいるのは、ディガス大使のパドルと、
“ウルトラ戦士”のセイヴン（ただし人間体）、軍代表として防衛隊の富谷、警察からは先述の大賀警視。
因みにアイレスは、日向灘に出現した“謎の島”の調査に出向いているため、ここにはいない。
恐らく明日には東京に戻ってくるだろうと思われるが。
そして“宇宙捜査官”を名乗る黒髪の女性――ライカ・アルゴ。
「お前がここに来たってことは……“あいつ”も来てるってことだな？」
彼女の真正面に陣取ったパドルは、いつになく真剣な表情をしている。
その口調から、どうやら２人には慣れた関係があるようだ。
「えぇ……察しの通りよ。ゼルガ・ローヴがこの世界に侵入しているわ。
しかも逃走中にあたしの船を撃墜しようとした……どうやら機密情報がこの世界にあるようね」
ライカの言葉を聞いた富谷の表情が、わずかに変化した。
「どうやら……すでに疑わしい形跡があったみたいですね？」
「そのゼルガという存在については良く分かりませんが……怪しい事件は多発していますね」
「次元融合変動の背景に“人為”を疑う理由は、既に幾つかあるからな」
「ところでライカ捜査官、今回の事件とゼルガとの間にはどのような関係が？」
「決定的な証拠は掴めていませんが、ゼルガとゴーディスの間に縁があるとの情報がしばしば流れています。
宇宙マフィアとゾアクロイドの暗殺者ですから、十分あり得るコネクションでしょう」
「しかしゴーディスの犯行にしては、後始末が悪い……か」
「ゴーディスと縁があったとしても、一味の関係者の単独犯行ということはあり得るわね。
組織内で居場所がなくなって暴発的にやったものなのか、それとも……」
「それとも？」
考察を巡らすライカに、大賀が言葉を挟む。
「その単独犯をゼルガが手引きした――ということも考えられます。
このタイミングで、しかも次元融合変動で混乱してるこの世界で、２つの事件が偶然起きるのも妙だわ」
「そのゼルガという宇宙人は、なぜそこまでしてこの地球で悪事をするんですかね？」
「ゼルガは“闇の使徒”と呼ばれる組織の１員……その行動原理は読みづらいものがあります。
ですがもしも、この次元融合変動まで含めて、ゼルガが関与しているとしたら……悪夢かも知れませんね」
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ＰＲＯＪＥＣＴ ＡＰＯＣＡＬＹＰＳＥ
プロジェクト・アポカリプス 黙示計画
★ 第７章 無機物の生命体たち ★
2013年7月21日―日本・金芽台事件其の３
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そして舞台は再び最前線へ。
金芽台学校閉鎖地区の地下倉庫に作られた、怪人ジョルバの秘密基地。
ジョルバが使う謎の物質“黒い雨”によって銅像に変えられた少女たちの被害者を前に、
ジョルバの悪事を問い詰めるべく“臨戦態勢”を取っている２つの人影。
銅像アヤカシの二宮銀子と、“動ける鉱物娘”ルイである。
２人の初登場は５話や７話を参照していただくとして。
ルイが金色の刃――そういう能力があるのだ――を突きつける先に、ジョルバと百合子が立っている。
因みに百合子も銀子と同じ銅像アヤカシだ……ただし“銀メッキ”のために色合いが違うが。
プライドの塊である百合子は自分が銅像のアヤカシであることを認めたがらない。
そんな百合子にとって、銀子の「所詮銀メッキ」発言はかなりの深手となったに違いない。
「おぉー、凄いですねルイさん、そういう能力があるんですね♪」
「まーね、しばらく使うことないと思ってたけど、何がどう転ぶか分からないもんだねぇ」
因みに“能力開放時”ルイは人間と同じように声を出して会話できるのだが、普通は出来ない。
「さぁーて、この子達を元に戻してくれたら、見逃してあげなくもないですよ♪」
手に構えた青銅製の薪――背負ってたものだ――をクルクルと銃のように回転させて挑発する銀子。
銀子が余裕なのにはワケがある……相手のジョルバと百合子が、武器を持っていないように見えるからだ。
「くっ……ば、バカにしないでくださいな、そんな挑発に乗る白金院百合子では……」
「乗ってくれなくてもいいけどさ、何とかできるわけ、この状況？ 言っとくけどコレ結構切れ味良いよ？」
ルイが銀子に合わせて、腕から生やした金色の刃をひゅんひゅん、と鳴らした――その時だった。
――ワシの娘に手を触れるな――
「――！？」
「ほぇっ、今の何です？」
「し、知らないわよ……ヤな予感っ」
不気味な男の声が地下室を満たしたかと思うと、にわかに周囲がガタガタ音を立て始めた。
銅像化された被害者ではない……別の何かが音を立てている……まさにポルターガイストそのものである。
そして間もなく、壁から四角い物体が一斉に飛び上がった。
煤けた額縁のように見える、四角い物体は大小10数個ほどあろうか。
そしてその額縁の中に――同じ顔をした老人の絵が描かれ、いずれも鬼のような形相を浮かべている。
「なっ、何よこれ！？」
「「ワシの娘に……触るでないわーーーーー！！！」」
“老人の絵”はそう叫んだかと思うと、やおらルイたちに向かって突撃してきた！
10枚以上もある額縁が同じことを言うため、不気味な声が地下室に反響してやかましい。
「ぶっ……不細工な爺さんですねっ！？」
「「何をぅっ、この白金院菊蔵、これでも若い頃はモテモテだったんじゃあぁあぁぁ！！！」」
どうやらこの額縁老人、名を白金院菊蔵と言うらしい……不気味な登場だが、性格はかなり単純なようだ。
複数の声が飛び交うために、常にハモり続ける老人の雄叫び。
「あぁもう、うっさい！」
ざっくり。
ルイの腕から突き出た金色の刃が、特攻してきた額縁の何枚かをばっさりと両断した。
勢いを失ってばらばら、と床に散らばる額縁の残骸。
「「ほほぅ、お主なかなかやるではないか、ワシのこの愛の力に対抗できるかのう？」」
「愛の力ぁ？」
「何のことだかさっぱりですっ」
「「そうじゃとも、白金院百合子はワシの娘、目に入れても痛くない娘に手をかけるなぞ、万死に値する！」」
「……誰よあなた、わたくしに父などいませんわ」
「「ぬがっ！？」」
今にも入れ歯を吐き出しそうな形相になる菊蔵。
……しばし放心。
「「……ふっふっふ。良いのじゃ娘よ、記憶喪失などでこの菊蔵、取り乱したりはせぬ」」
「わたくしはゼルガ様によって生み出された存在。親子関係など、最初からありませんわ。
付きまとうのもそろそろやめて頂けませんこと？」
「「おおお、愛する娘よ、そのセル画とかいうのに洗脳されておるのか、およよよよ」」
ふよふよと空中に漂いながら、今度ははらはらと涙を流す額縁爺さん。
１言１言ハモるので、まるで出来の悪いミュージカルを見ているようだ。
「なぁるほど、そういうことですかぁ」
「……どういうこと？」
「つまりですね、この銀メッキさんは、額縁さんの娘さんをかたどって作られた銅像ってことです。
でも娘さん本人じゃないので知らないんですよ、ボクが二宮金次郎本人じゃないのと同じです」
「そこ銀メッキとか言わないでくださいなっ！」
「「えぇい、やめるのじゃ、ワシはそんな戯言、信じぬぞぉおぉ！！」」
……あんまり緊迫感がないが、戦闘中である、悪しからず。
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その頃地上。
「ふっ……こんなもの、僕には通用しない。そっくりそのまま、お返ししよう！」
言うや、ガスヴェイダーの禍々しいキラーホイールをがばっ、と持ち上げたのは太郎である。
精悍な外見にも関わらず、冗談みたいなパフォーマンスを見せつける。
カッコよさげなセリフを吐いているが、顔には先ほど花子が付けた靴跡がまだ、くっきりと残っている。
太郎に投げ返され、バウンドしながらキラーホイールがガスヴェイダーに戻って行く。
「おらおらおらおら、どうした、防戦一方か変態野郎っ！！」
太刀をぶんぶんと振り回し、ラッシュガイを攻め立てる花子。
ラッシュガイもその攻撃を鮮やかなフットワークで交わし続けるが、反撃の隙ができない。
そんな花子の斜め後ろから、今度はアロエビクスマングレートが仕掛けた。
「ホォオォォォッ！」
「んなろっ、でかいくせして横槍かてめぇっ！？」
ガキン――と花子の太刀とアロエビクスマングレートのアロエヘアが噛み合う。
見た目こそアロエの葉のようだが、その色彩に偽りなく、実際には金属並みの強度があるらしい。
アロエヘアで太刀を受け止めつつ、その太い金色の拳を花子に繰り出す。
バックステップで交わした花子だが――その間合いに今度はラッシュガイが飛び込んだ。
「シャァアァァァァッ！」
「そうは――させんぞぉっ！！」
太郎の豪快な回し蹴りがラッシュガイの脇腹を捉える――ストライプのスーツが真横に吹っ飛んだ。
「太郎――」
「ふっ、少しは惚れ直したｋぶるるごがごげごっ！？」
そして――背後から飛んできたキラーホイールの下敷きになった。
「いや、後ろと言いたかったんだが……遅かったな」
・
・
・
「ぐギぃイィっ！？」
ホーリーアクアの水刃・ムラクモに切り裂かれ――倒れ込む半魚人の妖魔・水霊。
その数ｍほど先では、ホーリーフレアの聖炎剣とホーリーライトの雷槍が、今し方猛霊を仕留めたばかりだ。
反対側ではラティスとシドが、10体近い妖魔の群れと大立ち回りを展開している。
だが――少女たちにはそろそろ、疲労の色が見え始めている。
幾ら倒しても、ナイトメイデンが次々に妖魔を召喚するため、キリがないのだ。
退魔の力を持つ少女たちと言えど、持久戦に打ち勝つだけのスタミナがあるわけではない。
“志願参戦”したスミレも同じだ……打たれ強さだけなら、ここにいる有志たちの中でもトップ級だが、
指先に展開した金属の爪――サイバークローで撃滅できるのは水霊１体か２体がやっとである。
「はぁ……はぁ……」
「い……いい加減……疲れてきたね……」
カラフルな衣装の隙間から汗に濡れる肌が除く様はある意味美しいが――本人たちはそれどころではない。
体力を消耗すればそれだけ霊力も低下する……しかしここで挫けるわけにもいかない。
薄笑いを浮かべて立っているナイトメイデンの黒衣の向こうに、地下室への階段がちらりと見えている。
あの階段の下では、この異世界で彼女たちが出会った“友達”が、助けを待っているのだ。
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疲労の色を隠せない戦巫女たちを前に、ナイトメイデンは再び嘲笑うような小さな笑い声を上げた。
９本に分岐した漆黒の裾の先端は淡く光り、まるで呪術の札か大蛇の目のようにも見える。
「ふふ……少しは立場が分かったかしら？ 夜の力はこんなに偉大なの」
「それがどうした……どんな夜だって、いつかは明けるじゃないか」
「確かにそうね。けれどまだたっぷり５時間は明けないわよ……それまで戦い続ける覚悟はあるのかしら？
綺麗事で勝てるほど――現実は甘くはないのよ」
そう言ったナイトメイデンの白い顔が、ぎらりと殺気に満ちた。
不気味な笑みも、ここまで凄みを出すと、ほとんどモンスター同然である。
「光と闇は表裏一体……決して切り離すことのできないもの。
闇を軽んじた時点で……あなたたちは負けていたの、分かる？」
「みゃう、まだ……負けたと決まったわけじゃないもん」
「決まったようなものじゃない。もうそんなに疲れているのに、あと５時間持つと思ってるの？
わたしはまだ――本気を出していないのに」
言うや、ナイトメイデンは黒衣の裾を、更に大きく広げた。
全ての光を吸収する真っ黒な空間が、全ての景色を塗り潰す勢いで広がっていく。
底知れない闇の中で、これまた得体の知れない紫色の“オーラ”が、毒ガスのように揺らめいている。
「本当の夜は光のない闇の世界。 光と色に頼ってるあなたたちにはきっと想像もできないでしょうね。
想像できない世界は恐怖になり、そして絶望へと変わるの……耐える自信はある？」
「くっ……」
「自信などあるわけはないわよねぇ……だって普通の人は眠る時間だもの。
そして他愛もない夢を見ながら、光の蘇る朝を迎えるのだから。
この黒衣の中は絶対の闇、永遠の夜の世界。１度味わってみるといいわ――最初で最後でしょうけどね」
そう言って、ナイトメイデンが少女たちを漆黒の裾で包み込もうとした――その時だった。
「おいたはそこまでよ」
暗がりの世界に、突如スポットライトのような光が満ちた。
少女たちの視線が、反射的のその光の方へと注がれる。
柔らかい光の中に、赤茶色のパンツスーツをまとった、背の高い女性が立っている。
淡く金色を帯びた肌は透明感に満ち、真っ青な髪の横からは、エルフを思わせる長い耳が突き出ている。
光の中で悠然と立つその姿は――まるで神のように神々しい。
実はホーリーメイデンズにとっては、前にも遭遇した人物でもある。
長い爪を持った黒服の魔女、ネオザに襲撃され、負傷した冬雪と冬水の窮地を救った人物。
「みゃっ……！？」
「あの人は――！」
そしてそれと同時に――ナイトメイデンの白い顔から、凄みを帯びた余裕の表情が消えた。
どうやら……このエルフを思わせる、青い髪の女性を知っているらしい。
彼女が軽く歯軋りのような音を立てたことを――疲れた少女たちは気付いただろうか。
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「さっきカラ何をぶつぶつ言っているんダ、まったく、役立たずばかりだナここの連中は！」
地下室の端で、痺れを切らすように呟いたのはジョルバだ。
昆虫とゾウを掛け合わせたような赤と青の怪人が、やれやれといった素振りで手を振る。
「あんたみたいな外道と一緒にされるくらいなら、役立たずの方がマシよ！」
「ひょっ、外道外道と失礼ダねキミは。何が正道で何が外道か、石像ごときに分かるのかネ！？」
「少なくとも人間を銅像にして売り物にしようなんて行動は外道で間違いないわよ！」
「宇宙は広いんだヨ、色々な価値観があるのサ、キミは視野が狭い、１度出直してきなサイ」
「はぁ！？ どの面下げて言ってんのよ、いい加減にしないとその鼻、斬り落とすわよ！」
かっとなったルイが、金色の刃をきらめかせてジョルバに飛びかかる――だが。
「――！？」
金色の刃は何故か空を切り、ルイはしたたかに壁に激突してしまった。
「あ、いたた……い、今のは！？」
「だからキミは視野が狭いと言ったんダ」
ふとルイが顔を上げると、目の前でジョルバがひょひょひょ、と笑いながら見下ろしている。
「くっ――！！」
すぐさまルイが刃を振るう――だが、目の前にいるはずのジョルバを斬れない。
「これは――まさか、幻覚！？ そんな、光のトリックぐらい、すぐに分かるのに！」
「宇宙は広いと言ったロウ。身の安全を守る方法ダッテ、幾つもあるんだヨ」
「「やめときなさい、君。その男は空間を捻じ曲げておる、普通の方法じゃ斬れんよ」」
ぼそりと呟く額縁老人――菊蔵に、ジョルバは眼を細めて睨みつける。
「……言わんでも良いことヲ。あなたは私の味方なのデスか、それとも敵なのデスか！？」
「「ワシが守るべきは百合子ただ１人！！」」
「……はぁ」
「ふーん……あ、そーれっ」
すかーんっ
「ぎゃふんっ！？ ど、どうして、私に当てることガできたのデスかっ！？」
「いやぁ、何となく当てられそうな気がして？」
ジョルバに投げつけた青銅の薪――なんかゲームにありそうだ――をくるくる廻しながら銀子が言う。
「「……ふむ。霊力のあるアヤカシなら空間を捻じ曲げる幻術は効かぬようじゃな」」
「霊力がカギなわけ！？ ……だったら、あたしでも何とかなるかも」
「余計な事ばかり言わんでクレ、立場が変わったじゃナイカ！」
「「お主と契約した覚えはないからの」」
「ねぇお父様、ジョルバはゼルガ様の大事なお客さまよ、丁重に扱ってあげて？」
「「――なんじゃそうだったのか、ならば話は早い、ここから先は誰も通さぬぞ！」」
……何と分かりやすい。
「ちょっ、あんたさっきまで、誰よとか言ってたじゃないのよ！？」
「あら何のことかしら、覚えてませんわ、ねぇお父様♪」
「「そうじゃそうじゃ、変な言いがかりはやめて頂こうかのう？」」
……小学生かこの爺さんはｗ
「残念だな――タイムオーバーだ、ジョルバ殿」
ふと――そんな声がして、一同は地下室の奥を見た。
いつの間にか……ベージュ色のローブをまとった長髪の男が、別室の入口辺りに立っている。
その姿を見たジョルバは、妙に狼狽した。
「あ、イヤ、その……もっ、もう少し、待ってクレ！」
「……ジャンキーマスター様」
「慌てるなジョルバ殿。別に今回で用済みというわけではない、だが今回は時間切れだ。
貴公の名誉挽回は次の機会ということさ」
「……あのロン毛さんもアヤカシみたいですね」
「……なんかヤな感じ」
ぼそぼそと呟くルイに気付いたジャンキーマスターが、ふと言葉を振った。
「お前がルイか、メドゥアス殿から話は聞いている……なるほど、確かに気が強そうだな」
「……！！！ あ……アイツを知っているの！？」
ルイは愕然とした表情を浮かべた……無理もない。
今し方ジャンキーマスターが言ったある人物の名前――メドゥアスこそ、ルイが追っていた人物だったからだ。
「ふふ、食い付いたな、メドゥアス殿が言ったとおりだ……誘った甲斐がありそうだ」
「……やめて。それ以上そんな顔でアイツのこと言ったら――斬るわよ？」
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「……なるほどね、あなたがゼルガ様が言っていた“光の刺客”ということね？
確か名は……ライカ・アルゴ。宇宙刑事さんですってね」
「ゼルガを知っているのね……やはり、つながっていたようね」
再び地上戦の現場にて。
漆黒の裾を天幕のように広げるナイトメイデンと、“光の刺客”ライカが10ｍほどの間を開けて対峙している。
その間には、連戦で疲労したホーリーメイデンズと可愛い仲間たち（をぃ）
「“神族”に出張られたらどうしようもないわ……今夜はここまでのようね」
「……神族？」
「あら、あなた何も知らないのね……彼女は神々の子孫よ、人間とはまるで次元の違う存在。
不公平よねぇ、神々は夜を祝福してくれないのだから」
「皮肉を言う余裕があるのね、それは諦めの言葉なのかしら？」
「まさか。ここで終わったらこの世界に生まれた意味がないわ」
ナイトメイデンの言葉にタイミングを合わせるように、“黒衣の闇”の中から２つの人影がぬっ、と染み出した。
狐面の魔女と鎧の怪人――１人は錦糸町事件でも出現したジャガンである。
狐面の魔女の方は“初登場”だが、どうも――正体を知っている者がいるようである。
ナイトメイデンのバックボーンに驚愕した玄武ら神獣たちが、明らかに忌まわしそうな表情をしたからだ。
「この女か……ゼルガの言ってた神族の娘は……なかなか斬り甲斐がありそうじゃねぇか」
「神族相手では我々アヤカシは分が悪い、余り暴れ過ぎるなよ」
「時間稼ぎだろ、どうせ……ゼルガも人使いが荒いぜ、今度抗議しておかんとな」
そう言いながら――ジャガンは刀をすっ、と抜いてライカに向ける。
ぶつぶつ愚痴りながら、しかし静かに臨戦態勢に入って行く姿は、不気味なほど自然だ。
「……みんな、離れて」
ライカの静かな、しかし緊迫した声を聞いて、少女たちが間を開けつつ離れて行く。
ある程度の間合いが取れたことを見計らって、ライカもジャケットから得物を取り出す。
ネオザと対峙した時にも使っていた、半円形の武器だ。
「ふん、マルチセイバーか……そんなもので、俺の剣を止められると思ってるのか？」
「お生憎様、これはあたし専用の特別製なの」
ライカの周囲を覆っていた柔らかい光が、しぼむように消えて行くのを少女たちは見た。
いや、単に消えて行くのではない……腕に向かって集束しているようだ。
集束した光が手首に達したと同時に――半円形の武器＝マルチセイバーからまばゆい光の刃が生成された。
「……なるほどな、“霊剣仕様”か、神族らしいぜ――」
そう言ったか言わなかったかのうちに――ジャガンがライカに仕掛けた。
鋭い突きから瞬時に切り返して袈裟掛け、引き戻して抉るような回転斬り――全てが瞬きする間のことだが、
ライカもその全てを見切ったかのように切り返し、受け流して行く。
少女たちには速過ぎて、何が起きたのかすら見ることはできなかっただろう。
剣技だけではない――ジャガンは空いた手脚で打撃も繰り出す。
とりわけその長い脚を使った回し蹴りの切れは、ラッシュガイを蹴り飛ばしたあの太郎も及ばないほどだ。
普通、体が回転して背を見せると隙になるが、ジャガンはその瞬間も全て攻撃に変えてくる。
剣や手脚はもちろん、鎧から突き出た角やトゲも全て、戦闘術に組み込んでくるのである。
時間にしてみればほんの数秒ほどだったが――その間に何度斬り結んだのだろうか。
２人はいったん、離れて間合いを調整した。
「ふぅん……思ったよりも器用じゃない」
「余裕だなてめぇ……腹が立つが、あのゼルガが念を押すだけのことはあるらしいな！」
「もう１本剣を持ってるみたいだけど？」
「馬鹿にすんな。１本しか持ってない相手に２本出すほど野暮じゃねぇ、こいつは乱戦用だ」
「あら、意外とフェミニストなのね」
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他方――狐面の魔女は、疲労した少女戦隊の前に立ちはだかっていた。
肩で息をしながらも、ホーリーアクアたちはこの魔女に対し、最大限の警戒を取っている。
更にその手前に、サイバークローを展開したスミレが、メイデンズを守るように立っている。
不意を突かれても、自分ならある程度の攻撃に耐え、メイデンズを守れるという自信が彼女にはあった。
攻撃力こそ限られているが、防御力なら誰にも負けない自負があるのだ。
「ほぅ、健気じゃな娘……メドゥアス殿が傑作と言うだけあって、中々頑丈な体を持っておるようじゃな」
「……！！ あんたもあいつのことを知ってるの！？」
「それが闇の深さというものじゃよ……そう言えば地下には貴様の知り合いもいたようじゃな、
名前は確か――ルイと言うたか……」
「る……ルイさんが、ここにいるの！？」
激しく動揺するスミレ……実は今地下室でジョルバたちと対峙する“鉱物娘”ルイは、彼女の親友なのだ。
いやそれどころか、ルイがいなければ、スミレも自分の意思で活動する機会がなかっただろう。
スミレにとっては親友であると同時に、恩人とも言える存在なのだ。
「さてはナイトメイデンを仕立て上げたのは……お前か、こっくり！？」
ホーリーアクアの肩で、玄武が緊迫のオーラを漂わせながら狐面の魔女を睨みつける。
魔女は狐面のために表情が分からないが、ふと威圧感を強めたように見えた。
「気安く昔の名で呼ぶんじゃないよ……わしも新たな存在“マインドクラッシャー”に進化したのじゃ」
「冬雪から冬水を切り離したり、ダークメイデンのお膳立てをしたりしてきたお前のことだ、やり兼ねない」
「だったらどうだというのじゃね、その小さな体でわしを倒してみるか？
わしの新たな能力のイケニエになる覚悟があるんなら、その他愛もない命で試してみるがいい」
面の下から、不気味な声で不敵に語る魔女――マインドクラッシャー。
確かにこの狐面の魔女はかつて、こっくりと呼ばれるアヤカシだった時代があった。
姿は大きく変わったようだが――玄武たちはこの魔女に、見知ったアヤカシと同じ気配を感じていた。
マインドクラッシャーは腕にぶら下げた幾つもの数珠を鳴らし、余裕の手招きをする。
“精神の破壊者”を名乗る以上、そういう能力を持つのだろう。
「玄武？ それじゃ、ナイトメイデンはただのアヤカシじゃないってこと？」
「あの黒衣はかつて、“聖光の法衣”と呼ばれた法具の成れの果てみたいだからね……だとしたら、
“法具の芯になっている人間”がいるはずだよ」
「以前の終里みたいに、闇に取り込まれた人がいるってことだね……」
「えっそれじゃ、あの黒い人も、元々は人間だってこと？」
振り向いたスミレの言葉に、玄武は頷く……隣ではホーリーライトが白虎と言葉を交わす。
「聖光の法衣……初めて聞く言葉だな」
「そういえばまだ秋綺にも話してなかったにゃあ、話す必要もないと思ってたにゃ」
「何それ、冬水、聞いたことないよ？ とーてつ知ってる？」
「俺だって聞いたことねぇよ……どーせ、こっくりが知ってるんじゃねぇのか？」
ホーリーダビデ＝冬水と契約した４凶獣の１体、饕餮がじろりとマインドクラッシャーを睨む。
視線に気付いたマインドクラッシャーは何も言わず、ただ不気味な含み笑いを返した。
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――ガシャアァアァン！！
緊迫する空気を破るように、突如“戦場”の背後で大音響が響いた。
居合わせた全員が、思わず音がした方向――旧校舎の地下室へ続く階段の方を見る。
さっきまで真っ暗だった階段室の入口に、砂埃のようなものが立ちこめている。
そして間もなくその中から、人影が２つ、ふらふらと飛び出してきた。
だが普通の人間ではない……１人は銅像のようで、もう１人は宝石細工のようだ。
銅像のような人影は階段室に背を向けて、何やら慌てているように見えるが、
宝石細工のような人影は階段室に向き直って、何かを警戒しているように見える。
「あわわわわ……ばっ、バケモノですうぅっ」
銅像のような人影の方から、怯えたような声が聞こえた……どうやらこの人影もアヤカシの１種らしい。
「銀子――どうした、何があった！？」
ホーリーメイデンズの背後から駆け寄ってきた花子が、銅像のような影に向かって声を投げた。
銅像のような影の主は――先ほどまでルイと地下室にいた、二宮銀子であった。
そして“宝石細工”の方はもちろん、ルイである。
「はっ花子さん、たっ大変ですよっ、バケモノですっ、紫の怪人です！」
「アヤカシにバケモノ呼ばわりされるって……いったいあの地下室に何が出たんだ！？」
因みに太郎は、アロエビクスマングレートらと今も孤軍奮闘中――おっと、いちおうシドが支援中か。
そーいやこいつも、相手をバケモノ呼ばわりしてたな。
そして次の瞬間、階段室の中で巨大な気配が膨れ上がったかと思うと、
鉄板が割れるような嫌な音を立てて、入口の防火扉が外に向かって吹き飛んだ。
転がってくる鉄の塊を交わすように、ルイと銀子は斜め横に転がるようにして飛び退く。
「くっ――！」
「ひゃぁあぁあぁぁっ！！」
再びもうもうと立ち込めた砂埃の中から、紫色の肌を持つ男が、ぬぅっと現れた。
ゴリラのように太いその両手には、パリパリと火花を散らす、黒いムチが握られている。
「何だありゃ……あれもアヤカシか、今まで見たことのない奴だな！」
「あれってまさか……ジャンキーマスター！？」
しかし――メイデンズには見覚えがあった。
賢者のような風貌を持ちながら、戦闘時には狂人のように変貌する強化アヤカシの１体、ジャンキーマスター。
ラッシュガイやガスヴェイダーらの“親玉”とも言える存在である。
錦糸町事件の際に、百鬼夜行衆の首領ぬらりひょんと“高見の見物”をしていた男だ。
ただし当時はこんな不気味な肌ではなかったが……戦闘形態の際には、別人としか言えない姿になるのだ。
「なるほど、確かに紫の怪人だね……」
「アヤカシって言うだけあって、ほんとに怪しいな……まだこのグローブ野郎の方がマシかも」
前触れもなくシドに比較されたラッシュガイが、「シャッ！」とまんざらでもない顔をする。
言葉こそ話さないが、いちいちリアクションする様が実に人間臭い怪人なのだ。
「また嫌らしそうなのが現れたわね……」
ジャガンと対峙するライカも、“紫の怪人”ジャンキーマスターを視界に入れ、眉を潜めた。
そのジャガンは首をシャフ度に傾け、“相棒”に言葉を投げる。
「おいジャンマスよ……あの変態に退却命令しに行ったんじゃなかったのか？」
「行ったさ……だがそこの娘どもにちょっと抵抗されてねぇ。少し遊んでやることにしたのさ」
そう言ってジャンキーマスターは、不気味に光る目をライカの方に向ける。
「おやおや……どなたかと思えば、ゼルガ殿の天敵ではないか」
「あんたもゼルガを知ってるのね……どうやら、今回の事件の背後にもあいつがいるのは間違いなさそうね」
「ゼルガ殿から聞いたぞ……大気上層部で乗ってる船を撃墜されかけたそうじゃないか。
神族にとって、超音速の空気抵抗はどんな体験だったのかな？」
「……それをあんたに語って何になるというの？」
「くくく……聞いたとおり勝気な娘のようだな。楽しくなってきたが、今回はお開きだ。
宴の続きは、またの機会に廻すとしようか」
「このまま帰るつもり？ その地下室に被害者がいるんでしょ、放置したまま逃げる気かしら？」
「神族の貴公なら、復元することも可能だろう、後はお任せするよ」
「あたしに丸投げするつもり？ 随分と舐めたことしてくれるじゃない」
「とんでもない、貴公の実力を正しく評価しているつもりさ――それに。
まだ夜は明けていない……今が本来はまだ、我々の時間であることを忘れて頂いては困るな？」
ジャンキーマスターの言葉に呼応するように、ナイトメイデンが不気味な笑みを浮かべた――その時。
ナイトメイデンの黒い裾が再び大きく持ち上がり、そのまま一気に周囲の風景を呑み込まんばかりに広がった。
それはちょうど――加奈が昼間、グリーンベルト公園でナイトメイデンに遭遇した時のように。
「この術は――！」
「こいつ――何する気だっ！？」
「くっ――！」
「覚えておくがいい、若き神族と霊力の巫女達よ……真理は闇にあるのだということを！」
闇の中で、ジャンキーマスターの不気味な声が、木霊のように反響し、フェードアウトしていく。
やがて視界が再び開けた時……そこに“闇のアヤカシたち”の姿はなかった。
少女たちが気付くと、そこは静かな旧校舎の外れ。
夏の虫が小さな音色を奏でる、のどかな夜の風景だけが広がっていた。
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「文字通り、闇に紛れて逃げたか……やりにくい相手ね」
ライカはふぅ、と小さな溜息をつき、“神族のオーラ”を封印した。
真っ青だった髪が黒くなり、金色に輝いていた肌が人間のそれに変わり、長い耳も消えていく。
いつしかその姿は、サイトＧで“会議”していた時と同じ、黒髪の女性の姿に戻っていた。
「……終わったの？」
「そうみたいですね……」
ライカはマルチセイバーをジャケットの裏にしまうと、ホーリーアクア＝冬雪たちに近づいていく。
「あ、あの……」
「よく頑張ったね、もう変身解いてもいいよ？」
そう言って、にこりと人懐っこい笑みを浮かべるライカ。
隣で半分呆けたような顔で、銀子が呟く。
「か……神様だったんですね……」
「あはは……カミサマとか言われるとくすぐったいなぁ、あれは格付けみたいなもんだし」
「確か寝台特急の時にも……」
「そうね、君たちもあの“化け猫”相手によく持ち応えたわ、危ない相手だったのよ」
「化け猫って……あのネオザとか言う……」
「そ。あの時は人間に化けてたけれど、本性は鎧を着た化け猫みたいな魔族よ」
「あの……もしかして、今回の出来事がどうして起きたのか、知ってるんですか？」
「十分知っているとは言い難いな、彼女は本来、お尋ね者を追う刑事なんでね」
その声に少女たちが振り向くと、パドルが立っていた。
横には陽炎や黒潮、アイナの姿もある。
更にその後ろにはカメラを首からぶら下げた少女が……“陸自娘”の福知山凜子だ。
深夜ということもあって、セーラー服ではなく私服姿であるが。
「あっ、アパートの管理人さん？」
「なんかホントに“妖怪案件”だったみたいねコレ……」
「あー終わっちゃったんですかぁ、ちょっと残念」
「福知山はんって青葉はんみたいやなー」
ほんとそれな。
因みに黒潮がここで言っている青葉とは、加奈のことではない。
「お疲れ様。惜しかったわね、今逃げられちゃったところよ。あんただったらどうにかなったかも」
「要するに“闇の使い手”か。嫌らしい相手だな、ますますゼルガとの縁が濃厚らしい」
「パドルさんと知り合いだったんですね……」
「ほら、みんなもう変身解いて。疲れてるでしょ、今回復させるから」
ラティスの言葉に、少女たちが変身を解く……私服姿になる６人。
その横にアイナが歩いて行く。
「シド、ラティスさん、どんな相手だった？」
「そのものずばり、典型的な妖怪だね……でも結構組織的だったかも」
「あのガスマスク野郎とかアロエ野郎とかは、典型的とは言えないんじゃね？」
そう言いながら、シドも“鬼人形態”から元の姿に戻った……身長も頭１つほど、小さくなる。
「ありゃ、アヤカシの強化型らしいよ……俺も又聞きだったから、遭うのは今回が初めてだけどな」
「百鬼夜行衆が１枚噛んでると聞いたことがある、赤マントなら知っているかも知れん」
隣で情報を補完したのは花子だ……太刀をどこかにしまい、ぐっと伸びをする姿は普通の少女である。
更にその隣で太郎が言葉を追加する……さすがに鼻血も靴跡も残っていない。
「そーいや、可愛い顔して似合わない口調だなあんた……つまり秋綺ちゃんなんかと同じ口かｗ」
「……悪かったな、何ならあんたも女になってみるか？」
「いやいやごめんって。そういうのはラティスさんやアイナさんで十分だよ」
「あぁ……あの青いのも、元男子か……そんなの多いな」
どーもサーセン。
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そしてライカは、半ば放心状態で立っている、もう１人の少女の方へと歩いていく。
全身真っ赤な、ルビーそっくりの質感を持つ石の少女……ルイだ。
ルイはすでに“戦闘形態”を解除したらしく、赤１色の姿に戻っていた。
「君までこの世界に巻き込まれるとはね……」
（……あ……も、もしかして、ライカさん！？）
「お久し振り。多分“あの時”行方不明になってから、この世界に飛ばされたのね」
「ルイさん、このカミサマ知ってるんですか？」
（う、うん……前にちょっとね）
そう――ライカはルイと面識があった。
元々彼女がいた世界で起きた、ある事件の調査と解決のために、ライカもパドルもその世界に行ったことがある。
そこで出会った最初の“同志”が、ルイだったのである。
（そう言えばさっきの紫……アイツの話してた。なんか、あたしと知って巻き込んだみたいな……）
「メドゥアスは元々魔修羅の科学者だから、魔物と縁があっても不思議じゃないけど……
ということはあの連中、魔修羅と関係があるということかしらね――」
「ルイさん！！」
（えっ――あっもしかして、スミレさん！？）
そしてそのルイに、ライカの後ろから駆けて来たスミレが、がばっと抱きついた。
鉱物と強化セラミックの体が服越しに擦れ合い、ガラス瓶がぶつかるような高い音が響く。
「良かった、無事だった……会いたかったよぉ」
（スミレさん……スミレさんも、あの変な事件に巻き込まれたのね……
あっ、そうだ、こうしちゃいられない。ライカさん、地下室で大変なことが！）
「そのようね。あの子たちも行方不明の友達を探してここに来たの。早く開放してあげないと……」
そう言って、ライカは背後でラティスの回復術を受けていた少女たちを見た。
少女たちの方はというと、気力を取り戻したのか、すでに地下室に向かいかけている。
そのうち数人が、ライカの横に立っている、ルイの姿を目に留めた。
「えっ……新しい人が……スミレさんに似てるけど」
「あぁ冬雪さん、紹介するよ。 こちらルイさん、あたしの親友♪」
「ってことは、スミレさんみたいに、元は人間だったってこと？」
（えぇと……まぁその、はい）
少女たちに囲まれた形になったルイは、真っ赤な顔にちょっと照れ臭そうな表情を浮かべる。
（あっそうだ、スミレさん、森の奥に残してきた仲間がいるんだけどさ……）
「えっ、もしかしてエミちゃんやサラさん！？」
（ううん、エミちゃんたちじゃないんだけど……なんて説明したら良いかなぁ――）
そしてルイは“心の言葉”で、“分離独立”してしまった、同志たちのことを話し始めた――
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| （８章１話） |
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【Meking Memo／設定補記】
2013年頃に草稿を作成したエピソード。
当時は旧ＯＷ企画のエピソードであり、基本的なプロットは変わっていないが、
本公開の前に企画が打切になったため、ＰＡシリーズでサルベージする課程で細部を修正している。
また登場人物の入れ替えをした都合上、物語の順序も変わった。
（旧ＯＷ企画では８章“敵性ゾイド襲来編”の後の事件だったが、直前の事件に変えている）
こっくりが自らを強化した魔女マインドクラッシャーは、旧ＯＷ企画では少し前に出番があったのだが、
再編の都合上でこのエピソードが初登場となったため、メイデンズなどのリアクションを変えている。
因みに時系列上、艦娘とよく似た属性を持つ陸自娘もこの頃にはサイトＧの世話になっているのだが、
まだ「慣れていない」ため、今回の騒動では共闘関係を設定していない（汗）
（全く干渉しないのも寂しいので、陸自娘の好奇心担当・福知山を最後に出しておいたが^^;） |
