【Meking Memo／設定補記】
概念自体は2000年代からあったが、2020年代に改めて掘り下げている。
通常時空を支配するエーテルエネルギーと、その流れを反映する波動の概念、
更に超時空に由来する超因子の効果が論理的に結びついたのは2010年代以降であり、
これを改めて１つの論理に集約したものが、この概論である。
エーテルエネルギーのイメージソースは、1980年代頃から１部ＳＦやオカルト界隈で、
話題に上がってきた“宇宙エネルギー”であり、そのロマンを反映しているが、
銀河社会というＳＦ世界の背景を掘り下げる上では「十分ではない」と考え、
新たに「異なる効果を持つ現象」としてタキオンエネルギーの概念が生まれている。
そしてこの解釈が、超因子と波動の概念を大きく膨らませることになったのだ。
９種類の波動属性というコンセプトの原風景は魔法系ファンタジー作品にあるが、
これに該当する９種類の超因子があり、それぞれ独自の現象を司る、というのは我流だ。
またこの超因子に、重力子や光子、電子といったリアル科学の素粒子を混ぜることで、
銀河社会の科学大系が「リアル科学の延長線にある」という解釈を示唆している。
全く別次元の科学ではなく、何千年〜何万年も進化を遂げた未来の科学のイメージで、
「人類はまだその段階に到達していないだけ」という解釈になっているのだ。
因みにエーテルエネルギーの現在の解釈も、実はヒッグス粒子などを参考にしている。
ヒッグス粒子は「空間に充満している」と定義される仮想粒子であり、
光子の運動には制約を与えないが、電子や陽子の運動には制約を与えると解釈され、
あたかも「物質の運動に対する空間の抵抗」のように表現されているため、
ＧＤＷ世界観におけるエーテル波の解釈によく似ていると思い、参考にしたものだ。
（ただしエーテル波自体は「粒子ではない」という解釈の違いがあるのだが）
タキオン波が空間シールドに穴を開ける、という解釈も独自路線と言えるだろうか。
単純に巨大なエネルギーで敵を撃滅するという、パワーインフレに警戒していたのと、
「複数の技術ソースをテクニカルに使いこなす」アイデアに関心があったため、
波動効果の異なるエネルギーを併用したアイテムや兵器のアイデアが生まれたのだ。
現実世界だって様々なアイテムを使いこなすことが「賢い」はずだからだ。
実はG-maが核兵器に批判的なのも、パワーインフレと似通った考え方なのも１因だ。
単純に巨大なエネルギーで敵を殲滅するという、乱暴かつ無駄の多い兵器だと言える。
核兵器は今でこそ放射性降下物の悪影響が強調されているが、
開発された当初は「１発の爆弾が町１つを焼き尽くす」チートな破壊力に魅せられ、
生み出された経緯があり、リアルパワーインフレそのもののアイデアだった。
（米ソが放射性降下物の悪影響を知ったのは広島や長崎の悲劇の後である）
だから「人類より発展した銀河社会では重視されるべきではない」と考えたのである。
エーテルドライブとリパルサードライブの「エネルギー循環」という解釈も、
オカルト界隈でよくネタになる“永久機関”を説明するためのコンセプトである。
エーテル波を動力化するエーテルドライブと、重力波を制御するリパルサードライブ、
双方が互いに影響を与えることでエネルギーが循環し、永久駆動すると解釈しつつ、
「動力炉が物質である限り寿命があり、完全な永久ではない」との制約を設け、
これをカバーするためにリパルサードライブ・スタータの設定が生まれ、
そのメカニズムを「核融合炉の延長線」とすることでリアル科学との接点を意識した。
生命現象と関連付けたのも2010年代のコンセプト掘り下げが１つのきっかけである。
生命現象に「２重の存在場がある」という解釈自体は2000年代からあり、
生命に肉体と魂（霊魂）を想定する精神世界の解釈に原点があるが、
「超時空と通常時空に潜在する２重存在場によって波動能力が使える」という解釈は、
2010年代の掘り下げて新たに出てきたコンセプトだったりする（笑）
生命現象が有する波動能力と、銀河社会の技術に互換性がある解釈もこの時確立した。
外力制御のコンセプトも、無茶なパワーインフレを避けるためのアイデアの１つだ。
様々な種族とその個体が相互交流する銀河社会の基本構造から考えても、
無限大にパワーアップを繰り返すパワーインフレの考え方は「相性が悪い」のだが、
それでも「最強キャラに対する憧憬」から、こうしたアイデアを好む人は少なくない。
G-maも「ルールで縛るだけ」なのは創作の裾野が広がらないと思っていたため、
ルールを逸脱しない「抜け道」として外力制御の概念が生まれた（爆）
これは「周囲のエネルギーの流れを活用する」カウンター的な考え方の延長である。
例えばボクシングのクロスカウンターや合気道など、格闘技にもこうした技能があり、
ダイソンのリング型扇風機は風の流れを制御することで省エネを実現している。
（扇風機が生んだ風で周囲の空気を引き込むために穴が開いているのだ）
こうしたエネルギーの有効利用スキルは、当然銀河社会にもあるだろうという考えだ。
もちろん外力制御というスキルがあっても、「無限大の強化」は無茶だと思うので、
「倍率が上がるほど獲得困難になる」という解釈を導入しているわけだ。
本文でも例証を挙げたように、普通の人間がトラックや戦車を自在に扱うとなれば、
（ただ走るだけでなく、体の１部のように使いこなすというレベルである）
チート級のスキルであるというのは容易に想像が付くだろう。
ただし厳密に言えば、トラックや戦車には「エンジンや制御装置がある」ために、
それを自由に制御するだけでは、この質量全てが外力制御の成分になるわけではない。
しかし現実世界には「動力のない数十トンのアナログ機械」がほぼ存在しないため、
（あったとして風車のように地面に固定するものがほとんどである）
実は「リアルの例証で例えることが難しい」ことも事実なのである（苦笑）
そして逆説的に言えば、それだけ「無茶なスキル」だということなのだ。
このため、実は「版権創作キャラとの比較」という補助コンテンツも用意している（笑）
余談だが、これは「後天的に強化された兵士」などのアイデアにも応用が可能だろう。
生まれつきではなく、後から強大な能力を与えられた場合、
それを「上手く使いこなせない」というリスクは十分に考えられるためである。
普通の人間が、いきなりトラックや戦車と同等のパワーを与えられて使いこなせるか。
パンチ１発で人間を殺すどころか「粉砕してしまえる」ほどのパワーなのだ。
人間としては「最強になれる」かも知れないが、その能力を使いこなせられなければ、
危なっかしくて「誰も近寄れない」孤独を強いられることになるだろう。
力加減を知らずに握手したり抱き締めるだけで、相手を「握り潰してしまう」のだ。
自分の周囲の人間を全て、腫れ物のように扱わないと日常生活出来ないのである。
そんな日常が、その人物にとって幸せな生き方か、くらいは考えられるべきだろう。
こうしたエネルギーの“バランス”を考えられないと、インフレ抑制は難しいと思う。
ただしＧＤＷ世界観でこうしたインフレじみた設定を必ずしも禁止していないのは、
それが「銀河社会の裾野を拡げる題材」にもなり得るからである。
ちょっと力加減を間違うだけで、握手した相手を絞め殺し兼ねないような異種族が、
銀河社会で平和に暮らして行くには、どんなアイテムで補完すれば良いか、
どんなスキルでカバーしていけば良いか、を考えるきっかけが生まれる可能性もある。
そしてそうしたアイデアは、確実に銀河社会のオリジナリティに貢献するのだ。
インフレめいたパワーのコントロールも、「簡単ではない」ことは確かであるが、
例えば現実の人間も卵を割らずに持ち運んだり、アリやハエを殺さずにつまめるわけだ。
こういう「繊細な力のコントロール」が出来て初めて、優れた能力やスキルと言え、
「力任せにチートなパワーを乱用する」ということが「幼稚なこと」だと気付けなければ、
銀河社会という共同体の秩序を理解することも恐らく難しいことだろう。
|
